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土曜日の朝。
普段であればまだ布団で横になってゴロゴロとしていて、ついなに思いっきり布団をひっぺがされて強制的に起こされている時間。
そんな時間に竜は着替えを終わらせてリビングでコーヒーを飲んでいた。
「普段からこのくらいに起きていた方が健康的やと思うんやけどなぁ」
「いやぁ・・・・・・、ちゃんとした予定があるなら準備とかのために早起きはできるけどね・・・・・・」
コーヒーを飲む竜についなはやや呆れたような視線を向ける。
普段からもこのくらいの時間に起きていれば平日に学校に行くために起きるのもスムーズになり、休日だとしても布団でゴロゴロとしているよりも有意義に時間を使うことができるのではないか。
別に竜のことを起こすことが嫌というわけではないのだが、それでも平日に布団でゴロゴロとしているのはあまり健康的ではないとついなは考えていた。
「っと、そろそろ時間か。ついな、悪いな今日は連れていけなくて」
「ううん。今日はあかりとの約束やろ?そんならしゃーないわ」
時計を確認した竜は財布などの必要なものをまとめて玄関へと向かう。
いつもなら竜のポケットか頭の上に小さくなったついなが移動するのだが、今日は小さくならずに玄関まで見送るだけとなっていた。
見送りをするついなに竜は申し訳なさそうにしながら言う。
そう。
今日は以前にあかりと約束をして行くことができなかった遊園地に行くという約束を改めて果たすのだ。
そのため、ついなは着いていかずに竜とあかりの2人だけで出掛けるのを見送っているのだ。
本音を言うならついなも着いては行きたかったのだが、あかりから直々にお願いをされてしまったのだから仕方なく家で待つことにしていた。
「それじゃあ、いってきます。なにかお土産になりそうなものがあったら買って帰ってくるからな」
「そんなに気にせんでもええよ?気ぃつけてなぁ」
靴を履き終え、竜はヒラヒラと手を振って玄関を出た。
竜の言葉についなも手を振って答えるのだった。
◇ ◇ ◇
家から出た竜はそのまま向かいにあるあかりの家へと向かう。
そこは女の子と2人で出掛けるのだからどこかで待ち合わせかなにかをするのではないかと思うかもしれないが、できる限り竜と早く会って一緒にいたいというあかりの考えから家で集まってから遊園地に向かうということになったのだ。
「竜先輩、おはようございます!」
「お、おう・・・・・・。おは・・・・・・よう」
竜があかりの家のインターホンを鳴らすと、少ししてから玄関を開けてあかりが姿を現した。
元気よく話しかけて来たあかりに竜は少しだけ驚く。
そして、あかりの姿を見て竜は思わず言葉に詰まってしまった。
それは別にあかりの姿がクソださいだとかそういうことではない。
むしろとても可愛らしく、普段の格好とはまた違った魅力を放っていたのだ。
竜が言葉に詰まったことに気がついたあかりは不思議そうに首をかしげる。
「どうかしましたか?」
「いや、その・・・・・・。なんでもない」
竜の様子にどこか違和感を感じたあかりが尋ねるも、竜は頬を掻きながら適当に誤魔化す。
竜の答えにあかりは首をかしげることしかできなかった。
「と、とにかく遊園地に向かうとするか」
「まぁ、そうですね。それではこちらの車に乗ってください」
あかりの視線を受けながら竜は話題を変えるために遊園地に向かおうと提案する。
竜の言葉にあかりはいつの間にか用意されていた車を指し示す。
運転席には普段あかりの護衛をしているであろう人が乗っており、どうやらその護衛の人が運転をするようだ。
そして、竜とあかりを乗せた車はエンジンを鳴らして走り出した。
竜たちを乗せた車が走り出した後。
少し離れた電信柱の影に複数の影がいたことに竜たちが気づくことはなかった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ