・
“ヴァーチャルランド”で人気のアトラクションの1つ、ジェットコースターの“グレートエレキファイアーマウンテン”。
これは2つの大きな山を凄まじい速さで昇ったり降ったりするジェットコースターで、走っている最中にVRによるとてもリアルな壁を突き抜けたり、巨大な落石から逃げたりととてもスリルのあるアトラクションである。
ちなみに、“グレートエレキファイアーマウンテン”の隣には子どもや絶叫系が得意ではない人用に“パープルキャットリトルマウンテン”という、2つのほぼ平地と呼べるような山をゆったりと走りながらVRを楽しむことのできるアトラクションもあったりする。
「ちゃんと並んでいる人たちには悪いと思うが・・・・・・。まぁ、ありがたく享受させてもらうか」
先を歩くあかりの後を追いながら竜は小さく呟く。
ちらりと竜が横に視線を向けると、そこには“グレートエレキファイアーマウンテン”に乗るために並んでいる人たちがいる。
彼らがこのアトラクションに乗るためにどれくらい並んでいるのかは分からないが、自分とあかりは並んで待つことなくこのアトラクションに乗れてしまう。
そのことに竜は少しだけ申し訳なさを感じつつも、それと同じくらいに優越感を感じてしまっていた。
「それにしても・・・・・・、入り口の外にも並んでいるとは思ったが中でもかなりの長さで並んでいるんだな」
「逆に言うと中で並んでいるから外での列があれくらいで済んでいるとも言えますよ?」
延々と続いているのではないかと思えるほどに並んでいる人たちの量に竜は驚き混じりの声で呟いた。
このアトラクションの入り口の時点でもそこそこ並んでいるように思えたのだが、入り口の中に入ると外以上に人が並んでおり、それが竜にはとても驚くべきことだった。
竜の呟きにあかりは、アトラクションの中にこれだけ並んでいる人たちがいるからこそアトラクションの外が進行の邪魔にならない程度の列で済んでいるのではないかと言う。
「それよりも竜先輩、乗るところに着きましたよ。ついさっき走り出したみたいなんで私たちが乗るのは次ですね」
「へえ、乗るところはなんて言うか遺跡みたいな感じなんだな」
竜とあかりが会話をしているといつの間にか2人はジェットコースターに乗るところに着いていた。
どうやら2人が着く少し前に走り出してしまったようで、コースターの姿はそこにはなかった。
自分たちが乗るのがまだ少し先なのだと聞き、竜はキョロキョロと周囲を見渡す。
本当に石でできているのか、はたまた石に見えるように加工した別の素材なのかは分からないが、上の方から差し込む光とデコボコとした質感をした壁や石柱。
それらが合わさってコースターへの乗り場は遺跡のような雰囲気を醸し出していた。
キョロキョロと乗り場を見回す竜の姿にあかりは微笑ましそうに笑みを浮かべているのだった。
◇ ◇ ◇
黄色の毛玉を抱き抱えた少女と、青色の布のようなものを頭に乗せた少女が“ヴァーチャルランド”の中を歩いている。
2人の少女はどこか落ち込んでいるように見え、その足取りもどこか重そうに見えた。
「ぎゅーん!ぎゅーん!」
「くっ・・・・・・、あそこで負けなければ逆の立場だったはずでした・・・・・・」
「後悔シテモナンノ意味モナイー」
「なー、うちお腹空いてきたんやけどー・・・・・・」
抱き抱えている毛玉から聞こえてくる鳴き声に少女は悔しそうな声をあげる。
そんな少女にもう1人の少女の頭の上に乗っている青色の布のようなものから声が投げ掛けられた。
青色の布のようなものからかけられた言葉に少女はガックリと肩を落とし、もう1人の少女は近くにある飲食物を見ているのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ