・
“フォックストーク”をはじめ、“グリーンビーンズMOTIアーチェリー”や他にもいくつかのアトラクションを楽しんだ竜とあかりはお昼ごはんを食べるためにレストランに来ていた。
なお、レストランに向かう前にあかりは近くにいたスタッフにどこのレストランに行けば良いかを確認しており、今現在2人のいるレストランは完全に貸し切りの状態となっていた。
2人のために貸し切りにしてしまっては売り上げがでないのではないかと思われるかもしれないが、あかりがどこかのレストランに入った時点でその店の1日の売り上げに相当する分の金額が“紲星グループ”から支払われるため、基本的にマイナスになることはないのだ。
「ここは・・・・・・、不思議の国のアリスがモチーフになっているのか」
「はい。まぁ、遊園地のレストランのモチーフとしてはややありきたりな感じもありますけどね」
レストランの壁に貼られているトランプのマークや、入り口にいた時計を持ったウサギに天井近くでニヤニヤと笑みを浮かべているネコなどの飾りから竜はこのレストランが不思議の国のアリスをモチーフにしているのではないかと考えた。
竜の言葉にあかりはうなずいて竜の考えが当たっていることを肯定する。
そして、あかりは店員を呼んだ。
「すみません。とりあえずこのページに載っているものをお願いします。竜先輩は何にしますか?」
「んーっと、俺はこの“レッドクイーンスパゲティ”と“ワンダーランドデザート”っていうやつにするよ」
「注文承りました。こちらのページの料理と“レッドクイーンスパゲティ”と“ワンダーランドデザート”ですね。でき次第お持ちしますので少々お待ちください」
しれっとあかりが開いたメニューのページに載っているものすべてを頼んでいるが、特に誰かが驚くこともなく注文が済まされていった。
竜があかりの注文に驚かないのは慣れているからの一言で済んでしまうのだが、どうやらそれはこのレストランも同じだったようで、むしろお互いに驚いている様子がなかったことに少しだけ意外そうな表情を浮かべていたくらいだった。
注文を確認した店員はペコリと頭を下げると、そのままキッチンの方へと向かっていく。
キッチンへと向かっていく店員を見ながら、“cafe MAKI”でバイトをしている竜はバイトをしているときの自分とは比べ物にならないほどに洗練されている店員の所作に尊敬の念を抱くのだった。
「お昼を食べ終わったらどのアトラクションに行くか」
「そうですねぇ。午前中は比較的激し目なアトラクションが多かったですし、午後はのんびりとしたアトラクションを回ってみましょうか」
竜とあかりが午前中に回ったアトラクションは最初に乗った“グレートエレキファイアーマウンテン”と同じようにいわゆる絶叫系に位置するアトラクションが多かった。
一応、“フォックストーク”や“グリーンビーンズMOTIアーチェリー”などそこまで激しくないアトラクションも回ってはいたのだが、それでも比率で見れば激し目のアトラクションの方が多いのだ。
たしかに絶叫系はとても楽しいのだが、それと同じくらいに疲労も知らず知らずのうちに溜まってしまう。
そのため、楽しく遊園地を遊びたいなら絶叫系ばかりではなくときどき落ち着いた種類のアトラクションに乗って体を休めたりした方が遊園地を楽しむことができるだろう。
「そうだな。のんびり系ってどんなのがあったかな・・・・・・」
「えっと、この川下りのやつとかはスピードもゆっくりで周囲を見渡すこともできますよ」
“ヴァーチャルランド”ののんびり系のアトラクションはどんなものがあるのかが気になり、竜はパンフレットを開いて調べてみる。
竜の開いたパンフレットを横から覗き込みながらあかりはのんびりできる種類のアトラクションを説明していくのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ