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みゅかりさんから貰ったアクセサリーを手で弄りながら竜は考える。
といってもそんなに重いことを考えているわけではない。
「これ、どこに着けるかな・・・・・・」
竜はみゅかりさんから貰ったアクセサリーをどこにつけるか悩んでいた。
アクセサリーと言うことで手首に着けるのが無難かもしれないが、手首に着けているとどこかにぶつけたりしてしまいそうで怖く、かといってバッグなどに着けるのも不安がある。
残った着け方としてはチェーンを通してネックレスのようにすることだが、それをするにしてはアクセサリーのサイズが大きかった。
「とりあえず手首に着けてみるかな」
どこに着けるにしてもどんな風になるのかを確認しておかないといけない。
そう考えた竜はアクセサリーを手首に着ける。
アクセサリーは特に引っ掛かるようなこともなく手を通すことができ、意外なことに邪魔になるような感覚もなかった。
これならば仮に普段から着けていたとしても特に問題はないのかもしれない。
「ん・・・・・・?」
アクセサリーを着けた感覚がどんなものか分かって外そうとしたとき、竜は首をかしげながらアクセサリーを見た。
着けるときにはなんの抵抗もなかったはずなのにいくら外そうとしてもアクセサリー外れないのだ。
「・・・・・・ふんっ!ぐぎぎぎぎぎ・・・・・・」
アクセサリーが壊れたりしないように気を付けつつ、竜はアクセサリーを外そうとする。
しかしアクセサリーはピクリとも動かず、どうやっても外すことができない。
竜は外そうとするのを止めて改めてアクセサリーを見た。
「・・・・・・どうなっているんだ?」
見ることのできるあらゆる方向からアクセサリーを見ながら竜は呟く。
どこからどう見てもアクセサリーに変わったところはなく、外れない理由が分からなかった。
仕方なく竜はアクセサリーを外すことを一旦諦めるのだった。
◇ ◇ ◇
アクセサリーを外すことができなくなった翌日。
外すことを諦めた竜はアクセサリーを着けたまま学校に来ていた。
「寝て起きたら外れてないかと期待したけどダメだったかぁ・・・・・・」
外れる様子のないアクセサリーを見ながら竜は小さくため息を吐く。
一抹の希望を込めて外すことを諦めて寝たのだが、アクセサリーは外れることなく手首に着いたままだった。
「ゆかりん、おはよー!」
「ああ、マキさん。おはようございます」
教室の扉が開いて1人の女子生徒────弦巻マキが入ってきた。
マキは自分の机に荷物を置くと、友達である女子生徒────結月ゆかりのもとへと小走りに向かって挨拶をする。
マキの挨拶に応えるゆかりを見て、竜はゆかりの姿がいつもと違うことに気がついた。
「あれ?ゆかりん、今日は髪を纏めてる輪っか1つしか着けてないの?」
「ええ、ちょっとした気分転換ですよ」
いつもであればゆかりは髪の毛を2つのリングで左右それぞれに纏めている。
しかし、今日の髪型は左右の髪を後ろにまとめて1つのリングで纏めていたのだ。
「・・・・・・ん?」
聞こえてきたマキとゆかりの会話に竜はちらりとゆかりを見る。
そこで竜は自分の手首に着いているアクセサリーとゆかりが髪を纏めているリングが似ていることに気づいた。
「偶然か・・・・・・?」
「なにが偶然なん?」
「うぉ?!」
アクセサリーを見ながら考えていると声をかけられ、顔を上げると目の前に茜の姿があった。
いきなりのことに竜は驚き、思わず仰け反ってしまう。
驚いて仰け反る竜の姿に茜はケラケラと笑い、茜のすぐ近くにいた葵も小さく笑っていた。
「にゃははは、すごい驚きようやな」
「ふふふ、ちょっとボクも驚いちゃったよ」
「お、お前らか・・・・・・」
目の前にいたのが茜と葵だと気づいた竜は誤魔化すように頭を掻きながら姿勢を元に戻すのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ