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赤色のハート型のケーキにフォークを刺し、少しだけ削り取って口に運ぶ。
直後に口の中に広がるのは甘酸っぱい酸味とクリームの甘さの合わさった味。
一口食べただけで竜はハートのケーキになにが使われているのかが分かった。
「ハートはイチゴのケーキなんだな。表面はこう、なんていうか・・・・・・、ジャムみたいなやつで包まれてて中はクリームとスポンジの」
ハート型のケーキの削れた部分から中を覗いてみればクリームとスポンジが見える。
赤色のハート型ということで赤色から連想されたイチゴが使われたのだろう。
続けて竜は黒色のスペード型のケーキにフォークを刺し、少しだけ削り取って口に運んだ。
黒色のケーキが口に入った瞬間に最初に感じたのは強い苦味。
しかしそれは一瞬のことですぐに苦味は甘味にへと変化した。
「これはビターチョコレートか?でも苦いだけじゃなくて甘さもある・・・・・・」
口の中に広がる苦味と甘さの絶妙なバランスにどんなチョコレートを使っているのかが気になった竜は興味深そうにスペード型のケーキを見る。
スペード型のケーキの削れた部分からは生地と一緒に中に入っていたらしいチョコレートソースが垂れてきていた。
微妙に外側のチョコレートと色が違うので違う種類のチョコレートなのだろうということが分かった。
次に竜はオレンジ色のダイヤ型のケーキにフォークを刺して少しだけ削り取った。
削り取ったケーキを食べようと口に近づけると、不意にふわりと柑橘系のさっぱりとした香りが竜の鼻をくすぐる。
「ふむふむ。オレンジがメイン・・・・・・かな?あと苦味もあるしマーマレードっぽい感じかな」
さっぱりとした甘味の中にほのかに感じる苦味に気づいた竜はオレンジを使ったジャム、マーマレードに近いものが使われているのではないかと考える。
ダイヤ型のケーキの削れた部分から見えた中はいくつもの層になっており、ミルクレープのようなケーキだということが分かる。
そして、竜は最後のケーキ、緑色のクラブ型のケーキにフォークを刺して少しだけ削り取った。
「緑色は・・・・・・、やっぱり抹茶味か。でもそこまで抹茶っぽさは感じないな。むしろ食べやすいから苦手な人でも食べられそうな・・・・・・」
緑色のケーキということで味の予想が少しだけできていた竜はケーキを口に運んで納得したようにうなずく。
竜が予想していた通りクラブ型のケーキは抹茶味のケーキで、口に入れた瞬間に抹茶の風味が一気に口の中に広がっていった。
しかし、それでいて抹茶の風味はそこまで強くないようにも感じられ、竜は不思議そうに首をかしげた。
「どのデザートも美味しいですよね。作り方は企業秘密らしいので私も知らないですけど」
「そうなのか。というか食べるの早いな・・・・・・」
竜が“ワンダーランドデザート”のケーキを一つ一つ味わって食べていることに気がついたあかりがフォークを軽く振りながら言う。
そんなあかりの前に並べられていたデザートたちはすでにほとんど形は残っておらず、どれももう最後の一口レベルにまで小さくなっていた。
いつの間にかあかりがデザートのほとんどを食べ終えていたことに気がついた竜は驚いた表情を浮かべつつ、自分の前に並んでいるケーキにフォークを刺していく。
「たしかに食べるのは早いかもしれませんけど、これでもちゃんと味わってますからね?」
「うん。まぁ、そこに関しては別に疑っていないよ」
竜の言葉にあかりは少しだけ頬を膨らませながら言う。
どうやら竜の言葉がちゃんと味わって食べていないのではないかと言われたように感じたらしい。
あかりの言葉に竜はヒラヒラと手を横に振りながら答える。
竜の頭の中に思い浮かぶのは食事をしているあかりの姿。
食事をしているときのあかりはとても嬉しそうで、料理一つ一つの味を堪能しているのだなと分かるほどに嬉しそうに見えるのだ。
少しだけ頬を膨らませるあかりのことを見ながら竜はデザートを食べ進めていくのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ