変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第265話

 

 

 

 

 VR技術によって作られた薄暗い森の中。

 竜とあかりは懐中電灯を片手に歩いていた。

 

 お昼ごはんを食べ終わったあとはのんびりとしたアトラクションに行くのではなかったのかと思うかもしれないが、すでに竜たちはいくつかののんびりとできるアトラクションを遊んだ後にいまいるアトラクションに来ていた。

 なので充分に体を休めることはできているのだ。

 

 

「なかなかに視界が悪いんだな・・・・・・」

「雰囲気ありますよね。実際の森だったら危なくてこんなことできませんけど、ヴァーチャルなら安心ですしね」

 

 

 竜とあかりのいるアトラクションは“ザ・フォレスト”という名前のアトラクションで、薄暗い森の中を懐中電灯を持って脱出するという内容のホラー系統のアトラクションだ。

 もちろん、ただ薄暗い森の中を普通に脱出すればいいというわけではなく、さまざまな驚かしや異形の化け物などから逃げながら脱出をしなくてはいけないのだ。

 ちなみにこのアトラクションの脱出成功率は30%ほどで、脱出するのはなかなかに難しいレベルとなっている。

 

 

「ん?・・・・・・露骨に怪しいものが出てきたな」

「これは、井戸ですか」

 

 

 しばらく歩いていた竜たちの前に小さめな井戸が現れた。

 ホラー系のアトラクションで井戸が出てくると連想してしまうのはどうしても世界的に有名とも言えるあの女性の幽霊だろう。

 

 井戸を見た竜は嫌そうに顔をしかめる。

 

 

「・・・・・・無視しよう」

「まぁ、触らぬ神になんとやらとは言いますしね」

 

 

 井戸を確認するかどうかを少しだけ考えた竜は井戸を無視することに決め、先に進むことにした。

 竜の決定にあかりもとくに不満はないようで、うなずいて歩きだした。

 

 なお、この井戸は覗き込んだ瞬間に中から女性の幽霊が現れて執拗に追いかけ回され、捕まってしまえば即座にゲームオーバーというなかなかに嫌らしいトラップだったりする。

 追いかけられるくらいなんてことないと思う人もいるかもしれないが、目を血走らせて髪を振り乱した女性に追いかけられながらまともに薄暗い森の中から脱出できるのかを冷静に考えてみるといいだろう。

 

 竜たちが井戸を無視して歩いていると、道の先に1人の人間がたたずんでいることに気がついた。

 薄暗いために性別までは分からないが、それでも人間であることは間違いないように見える。

 

 

「あれも逃げなきゃいけない敵ですかね?」

 

 

 正体の分からない人影を指差しながらあかりは竜に声をかける。

 しかし、竜はあかりの言葉に答えずに人影を見ていた。

 竜の様子がおかしいことにあかりは不思議そうに首をかしげる。

 

 そして、人影に動きがあった。

 竜たちの声が聞こえたのか、人影はゆっくりと顔を竜たちの方に向ける。

 顔を向けられたことによって最初に目に入るのは真っ赤な瞳。

 白目も黒目もなく、ただただ赤い瞳にあかりは小さく悲鳴をあげた。

 

 

「ひっ・・・・・・?!」

「マジか・・・・・・。ホラー系のアトラクションだからって本物(●●)まではさすがにいらねえぞ?!」

 

 

 VRで作られているとは到底思えないほどにリアルなその姿に竜は思わず悪態をつく。

 

 聞いたことはないだろうか。

 お化け屋敷には本物の幽霊が集まってくる、という話を。

 これは、幽霊がお化け屋敷のお化けを仲間だと勘違いして集まってくるからだとか、幽霊を題材としているアトラクションだから引き込みやすいだとかいろいろな説がある。

 

 

 閑話休題(それはともかく)

 

 

 竜たちの目の前に現れたこの本物の幽霊も、恐らくはそういった理由でこのアトラクションの中に入ってきたのだろう。

 

 竜は霊を見ることしかできず、あかりはそもそもとして霊に対抗する手段がない。

 2人は近づいてくる霊から距離を取りつつ、警戒をしていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ
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