・
お土産を買い終わった竜とあかりは“ヴァーチャルランド”の出入り口の門に向かって歩く。
竜が買ったお土産はあかりの護衛をしている黒服の人に先に車にまで運んでもらっており、あかりのお土産の方は量が多いために別の車で配送するという形になっている。
「いつのまにやらこんな時間かー」
「きれいな夕焼けですね」
空の色は赤く染まってきており、遠くではカラスが数羽飛んでいる。
竜たち以外にも帰ろうとしている人はおり、その誰もが楽しそうに笑みを浮かべていた。
「夜までいればパレードも見れたんですけど・・・・・・。そこまでいると帰り道が大変なんですよね」
「パレードを見たらほとんど同じタイミング辺りで帰る人が一気に来そうだしな。まぁ、今の時間でも帰る人は結構いるみたいだけど」
“ヴァーチャルランド”では夜になってから園内をさまざまなキャラクターや乗り物、仮装をしたスタッフたちが練り歩くパレードもおこなわれており、とても人気のある催しの1つだ。
また、このパレードは季節や時期によって仮装などの種類も違っており一年を通して楽しむことができると有名なのだ。
なので
夜になればどこから現れたのかと言いたくなるほどにカップルや家族などがパレードの移動するルートに集まり、リア充の空気を作り出すのだ。
それに加えてパレードによって普通なら通れる道も封鎖されて遠回りを余儀なくされたりもする。
そして極めつけはパレードが終わったあとに一斉に出入り口に向かい始める人、人、人。
しかも出口に向かっているのは自分たちの近くだけではなく他の場所でパレードを見ていた人たちも含まれるので、単純に考えて出入り口に向かう人の数は自分たちの周囲にいる人数のおおよそ数倍はいるのではないだろうか。
つまり、簡潔に言うのであればパレードを見たいのであれば近くのホテルかどこかに宿泊をすることを考えておいた方がだいぶ楽だということだ。
まぁ、パレードを見ていたら帰るのが遅くなるという考えから早めに帰ろうとする人もいるので、一概に早めに帰るのが正解というわけでもないのだが。
「竜先輩、今日は楽しんでもらえましたか?」
「そりゃあもちろん。そもそもとして俺、遊園地とかなかなか行かないしな」
歩きながらあかりは竜に今日一緒に遊んで楽しかったかを尋ねる。
竜が楽しむことができたのか、自分は空回りしていなかったか、おどけたようにあかりは尋ねているが実際にはそんな不安が胸中にはあった。
あかりの言葉に竜は笑みを浮かべながら答える。
竜の頭の中に浮かんでくるのは今日の楽しかった思い出たち。
そのどれもがとても楽しく、思い出すだけで笑顔が浮かんでくるものだった。
「んー・・・・・・。なぁ、今度はみんなで来ないか?」
「みんな、というと。茜先輩たちですか?」
顎に手を当て、少しだけ竜は考えるような仕草をすると、1つの提案をする。
竜の言う『みんな』が誰のことを言っているのか理解したあかりは確認をするように聞き返した。
「そうそう。この今日の楽しさをあいつらにも教えたくてな」
あかりの言葉に竜はうなずいて肯定する。
『みんな』それはあかりの言った茜を初めに、葵、ゆかり、マキの4人のことを指している。
自分は今日“ヴァーチャルランド”に来てこんなに楽しかった。
それを仲の良い4人にも知ってほしいと竜は考えたのだ。
「なるほど・・・・・・、そうですね。では今度の長期休暇にでもみなさんで来ましょうか」
「だな」
竜の言いたいことを理解したあかりはいつ辺りに来るかをざっくりと決める。
そして、出入り口の門を潜り抜けた2人は今日の楽しかった思い出などを話ながら車に戻るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ