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竜の家の前。
帰りの車の中では“ヴァーチャルランド”での楽しかったことや気になったことなどを話しており、気がついたらいつの間にか竜の家の前にまで到着していた。
家の前に着いていることに気がついた竜は自分の買ったお土産を手に取って車を降りる。
「なんかあっという間な感じだったな」
「楽しいと時間を忘れるって言いますけど、本当ですね」
車から降りた竜は軽く背中を伸ばしながら呟く。
そんな竜の言葉に同じように車から降りたあかりが答える。
2人が車から降りると、護衛の黒服の人はそのまま車を家の中へと移動させていった。
「というか、車の中でも聞いたんだが・・・・・・。本当に“ヴァーチャルランド”の入園料とかお昼ご飯代とか良いのか?」
「竜先輩はマジメですねぇ。良いんですよ。それに、お金は持っている人がどんどん使って経済を回した方が良いっていうのがお父さんの考えですから」
確認をするように竜はあかりに尋ねる。
竜が気にしているのは“ヴァーチャルランド”の入園料と、お昼ご飯の代金のこと。
これらはどちらもあかりが払ってくれており、帰りの車の中であかりにいくら払えば良いのかを聞いたところ払わなくて良いと言われたのだ。
一般的な人がこういったことを言われた場合の反応は分からないが、竜は後輩の女の子に払ってもらうということが気になってしまい、何度も確認してしまっていた。
そんな竜の言葉にあかりは笑いながら気にしなくて良いと答えた。
「まぁ、そこまで言うなら・・・・・・」
「ふふふ、そういうところが竜先輩の良いところなんですけどね」
渋々といった様子で竜はあかりの言葉に甘えることにする。
どこか納得のいかなさそうな竜の様子にあかりはニコリと笑みをこぼし、ムニッと竜の頬を指でつつくのだった。
「さて、いなも待っているだろうし。帰るかな」
「今度は茜先輩たちやいなちゃんも一緒に行きましょうね」
「だな。ああ、ちょい待った」
「はい?」
ぼちぼちそれぞれの家に帰ろうかという話になり、あかりが竜に向かって手を振ると、不意に竜がなにかを思い出したようにあかりを見た。
竜の言葉にあかりが首をかしげていると、竜がポケットから小さな紙袋を取り出してあかりに向かって差し出してきた。
紙袋にはVLという文字が書かれており、これが“ヴァーチャルランド”で買ったものだろうということが分かる。
「これは・・・・・・?」
「えっと、まぁ、なんだ・・・・・・。今日は楽しめたからそのお礼?みたいな感じかな」
首をかしげているあかりの手に紙袋を渡し、竜はざっくりと簡単にどういった理由で渡したのかを答えた。
「それを見たときにあかりっぽいなぁって思ってな。もしかしたらもう持ってたかもしれないけど」
「星の・・・・・・、キーホルダーですか?」
竜の言葉を聞き、あかりは紙袋の中身を取り出して確認する。
紙袋の中から出てきたのはオレンジ色の2つの星がずれて重なった形をしたキーホルダーだった。
その形は紲星グループのマークにも似ているように見え、あかりはキーホルダーをまじまじと見た。
「竜先輩、ありがとうございます。大切にしますね」
「そうしてくれると俺も嬉しいよ」
キーホルダーを両手でしっかりと握りしめ、あかりは竜にお礼を言う。
あかりの言葉が本心なのか、はたまたお世辞なのかの判別は竜にはできなかったが、それでもあかりならば大切にしてくれるだろうと竜は考え、あかりの言葉にうなずいて応えるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ