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あかりに手を振り、竜は家の扉を開けて中に入る。
玄関に入るとリビングの方からテレビの音が聞こえてきたので、ついながテレビを見ているのだろうと竜は理解した。
「ただいまー、って、あれ?」
「あ、おかえりなさい。竜さん」
洗面所で手洗いうがいをしてリビングに入った竜は、そこにいた意外な人物に少しだけ驚いた声をあげる。
リビングでソファーに座ってテレビを見ていた人物、それは鳴花みことだった。
みことの手にはお茶の入った湯呑みがあり、おせんべいなどが置かれていることからお茶を飲みながらテレビを見ていたのだということが分かる。
「どうしてみことが?」
「えっと、ひめが退屈だって言って昼間に遊びに来たんです。それでそのまま・・・・・・」
みことがなぜ家にいるのかが気になり、竜は首をかしげながら尋ねる。
竜の言葉にみことは自分の頬を軽く掻きながら答えた。
「ふぅん?えっと、ならひめは・・・・・・。あ、あれか?」
「はい。ついなさんと騒いで、それであそこに・・・・・・」
みことがいるのだからひめもいるはずだろうと竜はみことに尋ねながら部屋の中を見渡す。
そして、みことに尋ねながら竜はテーブルの影から誰かの足が出ていることに気がついた。
竜がテーブルの影から出ている足に気がついたのだと理解したみことはうなずき、手で指し示す。
テーブルの影から出ている足の持ち主を確認するために竜はテーブルの反対側に移動する。
「ああ、ここについなもいたのか」
テーブルの反対側に移動した竜は、そこに足が見えていたのとは別にもう1人いたことに気がついた。
テーブルの影にいた2人はどちらもぐっすりと眠っており、大きく口を開けて間抜けなような表情で可愛らしく寝息をたてていた。
「完全に寝てるな。まぁ、自然に起きるまで寝かせておくか」
「あはは・・・・・・、ゲームで対戦したりで結構騒いでしまったのでそれで疲れたんだと思います」
大きな声を出してしまわないように気をつけつつ、竜はみことの座っているソファーの方に移動する。
よく見ればテレビの前にはゲーム機が置かれており、コントローラーが3つ置かれていることから3人で遊んだのだということが分かる。
「んーっと、ならみことに渡しておくか。ほい、お土産」
「あ、ありがとうございます。“ヴァーチャルランド”っていうところに行ってきたんですね」
眠っているついなとひめのことをちらりと見て、竜は少しだけ考えてみことにお土産を手渡した。
竜がみことに渡したお土産は小さなお菓子の詰め合わせで、中のお菓子の形が花びらの形になっている。
竜からお土産を受け取ったみことは嬉しそうにお土産を抱き締める。
「んん・・・・・・。なぁん・・・・・・?」
「お、起きたか?」
不意に、小さな呻き声のようなものがひめから聞こえてくる。
見ればひめが目元をくしくしと擦っており、起きたのだということが分かった。
「んー・・・・・・。んぅ・・・・・・?」
どこかぼんやりとした表情でひめは竜を見、コテンと首をかしげる。
どうやらまだ頭がハッキリとはしていないようだ。
そんなひめの様子に竜は思わず笑みをこぼす。
そして、ひめは竜のことを見ながらしばらく目をパチパチとさせる。
「・・・・・・・・・・・・!竜お兄さん、お帰りったい!」
「ちょ、ひめっ?!」
「うごぁっっっ?!?!」
しばらく目をパチパチとさせていたひめだったが、竜が帰ってきたのだと理解した途端にすごい勢いで竜に向かって飛びついていった。
いきなりのひめの行動にみことは驚き、竜は上手くひめのことを受け止めることができずに鳩尾にひめの突撃を受けることになった。
「なぁん、もう。みこと?なして起こしてくれんかったとー」
「2人がぐっすり寝とったけん。起こすんは悪いと思ったんよ。それよりひめ、竜さんが・・・・・・」
「おごごごごごごご・・・・・・」
竜の鳩尾にしがみつきながらひめはみことにどうして起こしてくれなかったのかを尋ねる。
そんなひめの言葉にみことは起こさなかった理由を答える。
ひめとみこと、2人の会話を聞きながら、竜は鳩尾の痛みに呻き声をあげることしかできなかった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ