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驚いて仰け反った姿勢から戻った竜は改めて茜と葵を見る。
「おはようさん!ええ、朝やな!」
元気いっぱいといった様子で茜はやや大きな声で挨拶をする。
その声は近くにいた竜にとってはうるさいと感じられるレベルのもので、教室内にいた他のクラスメイトも何事かと茜の方に視線を向けた。
とはいっても大きな声を出したのが茜だとわかるとすぐにクラスメイトたちは思い思いに「おはよう」と朝の挨拶を返していた。
これは明るくて社交的な茜だからこそできることなのだろう。
ちなみに茜の近くにいた葵も当然ながらクラスメイトからの視線を受けるので恥ずかしそうにしていた。
「えっと、おはよう。腕を見てたみたいだけど何かあったの?」
「おう、おはよう。まぁな」
茜が他のクラスメイトたちに挨拶をしている間に葵は小さく竜に挨拶をしながら尋ねる。
葵の言葉に竜は挨拶を返してから隠すことでもないと思って手首に着いているアクセサリーを見せた。
竜の手首に着いているアクセサリーを見て葵は驚いた表情を浮かべる。
「えっと・・・・・・、これ、どうしたの・・・・・・?」
「いや、昨日みゅかりさんにこれを貰っただろ?それを試しで手首に着けてみたら外れなくなってな」
「・・・・・・なんやて?」
竜の手首に着いているアクセサリーを指差しながら葵はやや震える声で竜に尋ねる。
葵の言葉が震えていることに気づかぬまま、竜は困った様子で苦笑しながら答えた。
クラスメイトたちへの挨拶を終えた茜も竜の手首に着いているアクセサリーに気づいてやや固い声を出した。
「お、
「おー、おはようさん。・・・・・・やのうて!外れなくなった?!」
茜のクラスメイトへの挨拶が終わったことに気づいた竜は改めて茜に挨拶をする。
竜の挨拶に茜は普通に答えたが、すぐに机に手を着いて竜の方へと身を乗り出しながら叫んだ。
なお、茜が叫ぶのはクラス内ではいつも通りのこととして認識されているのでそこまで気にしているクラスメイトはいなかった。
「まぁな、どんだけ引っ張っても全然抜けないんだよ。と言ってもそこまで邪魔にはならないからまだ良いんだけどな」
「な、なんてこっちゃ・・・・・・」
竜の言葉に茜は驚いた表情のままヨロリと数歩ほど下がった。
そんな茜の隣では葵がジッと竜の手首のアクセサリーを見ていた。
「それって昨日みゅかりさんから貰ったやつだったよね」
「ん、おう2人も見てただろ?」
「ならみゅかりさんと同じようにすれば外せるんじゃないかな」
「なるほど、一理あるな」
葵の考察に竜は頷き、昨日のみゅかりさんがアクセサリーを外しているときを思い返した。
今さらではあるがアクセサリーの見た目は真ん中に紫色のラインがあってそれを挟むように2つのリングが取り付けられている。
「たしか・・・・・・、リングの片側を回してたような・・・・・・」
そう呟きながらアクセサリーを弄ると、カチリという音とともに手首からアクセサリーを外すことができた。
アクセサリーが外せた瞬間、茜と葵は嬉しそうにハイタッチをし、竜もホッとしたような表情を浮かべた。
「一生外せないかと焦ったけど、良かったぁ・・・・・・」
「最終手段では手首を落とすことも考えてたんやけど、無事に外れて良かったわぁ」
「片手がなくてもボクたちならお世話できたしね」
「おう、怖いから冗談でも止めてくれ」
笑いながら言う茜と葵の言葉に竜は机にべしゃりと潰れながら言う。
机に潰れていた竜は気づかなかった。
2人の声は冗談のようでも潰れている竜を見る目には冗談の色がなかったことを・・・・・・
そして、アクセサリーが外れたときに残念そうな表情を浮かべているクラスメイトがいたことを・・・・・・
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ