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竜がひめによる腹部へのダイレクトアタックを受けてヤ無茶しやがってな状態になった翌日。
竜は気まぐれでゲームセンターに来ていた。
土曜日に“ヴァーチャルランド”に行って体には少なくない疲労も溜まっているはずなのになぜゲームセンターに来たのか、これが分からない。
“ヴァーチャルランド”でお土産を買うのにお金を使っているのだから遊べないのではないかと思うかもしれないが、竜は銀行ではなく貯金箱にお金を貯めるタイプで、家を出る前に貯金箱からそこそこのお金を取り出していた。
「んー、やっぱクレーンゲームかな。・・・・・・って、うわぁお。あの人の指の動きヤバ・・・・・・」
「ほんまや。なんであんなスピードで動かせるんやろね?」
竜は基本的にゲームセンターに来ると、クレーンゲームのあるエリアに向かう。
たまにシューティングゲームなんかもやったりするのだが、それでもハッキリとゲットしたものが分かるクレーンゲームの方が竜としては好みだった。
クレーンゲームに向かう途中、7つの鍵盤を叩いてディスクを回すタイプのコントローラーのリズムゲームをやっている男性に気づき、その指の動きに竜は思わず声を漏らした。
画面を見ればかなりの速度でノーツが大量に落ちてきており、そのすべてに男性は反応しているようだった。
ちなみに、ノーツとはリズムゲームで流れてくるオブジェクトのことで、分かりやすい例を挙げるのなら“太鼓の達人”の『ドン』や『カッ』のようなものと考えれば良いのではないだろうか。
竜の言葉に竜の頭の上に乗っていたついなも男性の手もとを見て驚きの声をあげた。
そして、そのまま竜はクレーンゲームのあるエリアに向かうのだった。
なお、竜たちが通りすぎてからしばらくしたあと。
この男性はプレイしているリズムゲームの中でも最難関と言われている、フルコンボを達成している人が0.8%しかいない曲をフルコンボして雄叫びをあげていたりするのだが、竜たちの耳にその声が届くことはなかった。
「ふむふむ。フィギュアにぬいぐるみ、あとはコップとかか」
「いろいろ女の子のキャラクターのものが多いんやね。ご主人はどれを狙うん?」
竜は並んでいるクレーンゲームの中にある景品を一通り眺める。
クレーンゲームの中にある景品は基本的にアニメやゲームなんかのキャラクターのものが多く、たまに携帯充電器やイヤホンなんかもあった。
いろいろと並んでいる景品たちについなはどれを狙うのかを竜に尋ねる。
「んー、俺はどれかを狙うってよりは取りやすそうなやつを見つけてそれに挑戦するって感じなんだよ」
ついなの言葉に竜は自分はクレーンゲームをやる場合は景品で選ぶのではなく、取りやすいかどうかで選んでいることを答える。
まぁ、そのやり方で遊んでいるためにゲットしている景品自体は多いのだが、その中には特に欲しかったわけでもないけれど取りやすそうだったからという理由でゲットされているものもあった。
「これは、ちょっと角度が微妙だな。こっちのは・・・・・・、少し外れてていけそう?保留かな」
「ふむふむ。景品の位置とかを見とるんやね」
並んでいるクレーンゲームの景品を確認し終えた竜はどのクレーンゲームが取りやすそうかを見ていく。
初期位置に置いてあるもの、少し動いていて斜めになっているもの、誰かが先に挑戦してみたのか箱が立っているもの。
基本的に狙い目だとすれば景品が下に落ちかかっているものだろうが、そんなものはそう都合良くあるものではなく。
むしろだいたいの人がそういった状態の景品を狙うはずなので、運良く見つけることができたのならば挑戦してみても良いだろう。
とはいえ、下に落ちそうに見えて実はぜんぜん動かない、なんてこともあり得るのでその辺りの判断も重要なのだが。
「さて、とりあえずこれをやってみるかな」
そして、挑戦するクレーンゲームを決めた竜は100円をクレーンゲームに入れるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ