はやくあの子も出したいんですけどねぇ。
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スコープを覗き、撃ち抜くべき場所を確認する。
狙うべきは1発の弾丸で殺すことのできる部位の頭部。
スコープの中心の位置が銃口から放たれた弾丸の着弾点と重なるので、それを意識して狙いを定めていく。
息を止め、意識を集中してトリガーに指をかける。
狙撃をする上で大切なのは銃口をブレさせないこと。
銃口がブレてしまえば、撃ち出されたときのズレが小さくても最終的にはかなりズレた位置に着弾してしまうことになる。
ハンドガンやアサルトライフル、ショットガンなんかであればかなり近い位置から撃つことの方が多いのでそこまで気にはならないのだろうが、スナイパーライフルとなれば銃口を一切動かさずに撃つということは基本中の基本になるのだ。
まぁ、そのブレすらも計算に入れて撃つことができるのであればなんの問題もないのだが。
「ッスゥー・・・・・・・・・・・・、シッ」
「ナイスや、ねっ!」
頭部を撃ち抜かれて倒れていく敵。
それに喜ぶことなく竜は次に撃ち抜くべき敵を素早く、そして正確に狙っていく。
このシューティングゲームでは頭部を撃ち抜いた際にダメージがかなり跳ね上がるように設定されており、正確に頭部を撃ち抜くことができればほぼすべての敵を確殺できるほどのダメージが出せるので、いかに無駄なく正確に狙えるかが重要となっている。。
“ヴァーチャルランド”でのシューティングゲームは弓を使っていたために微妙な結果になってしまっていたが、一番得意としているスナイパーライフルを使うことができれば竜はかなり安定して敵を倒していくことができていた。
倒れていく敵の姿に竜がいる場所とは別の場所にいるついなは感心したような声をあげる。
ついなが扱っている武器は銃ではなく弓。
ついなの手から放たれた矢はまっすぐに飛び、正確に敵の喉を貫いていった。
銃ではなく弓。
どう考えても弓よりも銃の方が射程も威力も上で、弓を使う利点はないように思われるかもしれないが、弓には銃にはない強みがある。
それは静音性。
銃は火薬を扱う以上どうしても火薬の爆発音が付きまとってしまう。
それに対して弓は火薬を扱わず、あるとすれば風切り音のみ。
そのため普通に銃を使うよりも敵に気づかれにくいのだ。
「・・・・・・とりあえず一通りは倒せたみたいんだな」
スコープを覗いて周囲に敵の姿がないことを確認した竜は、スナイパーライフルを肩に担ぎながら場所を移動する。
スナイパーライフルを扱う上で位置取りというのもかなり気をつけていかなければならない要素の1つだ。
ずっと同じ場所で狙撃を続けていれば跳んでくる銃弾の向きから狙撃をしている場所が割り出され、背後をとられてしまう可能性がある。
そのため、1発撃ったら移動するくらいの考えでいた方が安全なのだ。
「ん、ボスが出てきたか」
「うへぇ、全身ガッチガチやん・・・・・・」
しばらく移動していると、離れた位置に全身をガッチガチの鎧に身を固めた敵が出現した。
出現したボスの姿を確認したついなは嫌そうに顔をしかめる。
敵の着ている鎧には隙間がほとんどなく、弓で狙うのであれば鎧の頭部に空いている穴を狙うくらいしかないだろう。
「いなは周りから湧いてくる雑魚の方を頼む。あいつは俺が狙ってみる」
「りょーかいや。頼んだで、ご主人」
ボスの出現がトリガーとなったのか、周囲から何体かの雑魚敵が出現し始めた。
どうやら雑魚敵はボスを倒すまで無限湧きのようで、ついなが倒してもすぐに追加で雑魚敵が出現してしまう。
雑魚敵が無限湧きなことに気づいた竜は、まだスナイパーライフルの方が鎧のボスと戦いやすいと判断して雑魚敵の処理をついなに任せた。
「ッスゥー・・・・・・・・・・・・」
深く息を吸い、呼吸を静めていく。
狙うべきは鎧の頭部に空いている視界を作るための穴。
近づいてくる雑魚敵の処理は完全についなに任せ、竜はボスの頭部を撃ち抜くことにだけ意識を集中させていった。
「シッ・・・・・・」
ただ狙い、ただ頭部を撃ち抜く。
特別なことはなに1つない。
ただ当然のことをして当然に敵を撃ち抜く。
そして、竜の放った弾丸は正確にボスの頭部を撃ち抜くのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ