・
アクセサリーを外すことのできた竜はしげしげとアクセサリーを見てから再び手首にアクセサリーを着ける。
▶️茜の視線が10強くなった!
▶️葵の視線が10鋭くなった!
▶️誰かの好感度が10上昇した!
▶️どこかから誰かの嬉しそうな声が聞こえたような気がした・・・・・・
「なんで外れたのにまた着けとるんや」
「せっかく外れたんだから外しておけばいいのに」
「いや、外し方は分かったし着けておいた方が失くしたりしなくて安全かな、と」
茜と葵の2人の視線が鋭いことを疑問に思いながら竜はアクセサリーを再び手首に着けた理由を話す。
竜の言葉に2人は納得はしないでも理解はしたのかそれ以上の追求はしなかった。
「っと、そうや忘れるとこやったわ。新しい遊☆戯☆王のパックが今日発売やろ?」
「そういや言ってたな。でも予約してないと買えないんじゃないか?」
「ちっちっち、うちがそんな初歩的なことを忘れてると思ってるんか?」
アクセサリーのことで忘れかけていたが、茜はもともと話そうと思っていた内容を思い出して言う。
茜の言葉に竜は気になったことを尋ねた。
竜の疑問は最もなことで、遊☆戯☆王の最新パックはほとんどが発売日には売り切れているのだ。
竜の言葉に茜は指を振りながら自慢げに言う。
そんな茜の姿に竜と葵は顔を見合わせた。
「わりと宿題とかを忘れてるよね?」
「休み時間にヒーヒー言いながらやってるのをよく見るよな」
「せやねー、今日も1個だけやり忘れてるんよ。・・・・・・って、それはどうでもいいんや!」
「「いや、良くないでしょ(だろ)」」
竜と葵の言葉に茜はやっていない宿題を取り出してノリツッコミをする。
とは言っても宿題をやっていないのは事実なので、このあと宿題を提出する3時間目の授業に間に合わせるために必死にやることは確実だった。
「ぐぬぬ・・・・・・、まぁええわ。とにかく、最新パックをうちは予約しといたんや!」
葵と竜の言葉は正論なので茜は悔しげに唸り、むりやり話題を元に戻した。
茜が正論に負けてむりやり話題を変えるのはそれほど珍しくはないので竜と葵は少しだけ苦笑しながら話題を変えたことに対してなにも言わなかった。
「おー、なら放課後に買いに行くのか?」
「せやで。竜の分もいちおう予約してあるんやけど・・・・・・その、一緒に買いに行かへん?」
先ほどまでの勢いはどこへやら。
茜はもじもじと人差し指を合わせながら竜に尋ねる。
パックの予約をしたのは完全に茜の独断であり、竜自身は断ることもできる。
茜の言葉に竜は少しだけ考えるように黙った。
「そうだな。新しいカードも気になるし、茜が予約してくれたんだしな」
「ボクは今日は日直だからちょっと遅くなっちゃうし。2人で行ってきてね」
パックを買うのは安い出費では無いが、それでも茜が自分のために予約をしてくれたもの。
それを断る理由が竜にはなかった。
そんな2人の会話に葵は少しだけ寂しそうにしながら言った。
このクラスでは日直は男子と女子それぞれの名前の順で日毎に変わる。
そしてそれが今日はちょうど葵の日だったのだ。
「むー・・・・・・、葵を置いていくんはちょっとなぁ・・・・・・」
「大丈夫だよ。それに明日はお姉ちゃんが日直でしょ?それと・・・・・・放課後デート頑張って」
「せ、せやね。すまんな、葵。お詫びに帰りにチョコミントアイス買ってくことにするわ」
「えへへ、お願いね」
心配そうにする茜に葵は竜に聞こえないように小さな声で最後に付け加えた。
葵の言葉に茜は意識をしてしまったのか顔を少しだけ赤くする。
そして一緒に買い物に行けない葵のためにチョコミントアイスを買うと約束するのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ