寒さが厳しい・・・・・・
朝の布団は魔物ですよ。
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竜、茜、葵、ゆかりの4人が会話をしながら歩いていると、不意に近づいていた学校の方から大きな声で挨拶の声が聞こえてきた。
聞こえてきた挨拶の声はなかなかに多く、何人いるのかいまいち分からない。
しかし、その聞こえてきた声の中に聞き覚えのある声も混じっているように聞こえた。
「おはよーございまーす!」
「あれは・・・・・・、あかり?」
「朝の挨拶をしているみたいですけど・・・・・・。今週は挨拶週間なんてありましたっけ?」
「いや、うちは聞いてへんな」
「ボクもちょっと分からないかな」
学校の校門が見えるところにまで着いた竜たちは、何人かの生徒に混ざってあかりが大きな声で挨拶をしている姿を見つける。
なぜあかりたちは校門で挨拶をしているのか。
そのことに竜たちはそろって不思議そうに首をかしげる。
少なくとも竜たちのクラスでは挨拶週間のようなものがあるという話は聞いていないし、それに類似するような話も聞いていない。
ゆかりの言葉に茜と葵はそろって首を横に振り、そんな話は聞いていないと答えた。
「あ、先輩がた!おはようございます!」
「おう、おはよう。あかり」
「あかりさん、おはようございます」
「おはよーさんやでー」
「おはよう。あかりちゃん」
あかりたちの姿に不思議に思いながら竜たちが校門に近づくと、竜たちの姿に気がついたあかりが元気よく挨拶をしてきた。
元気の良いあかりの挨拶に竜たちはそれぞれ応える。
「朝のメッセージはこれのことだったのか。しかし、なんでまた挨拶運動?」
「あー、えっとですね・・・・・・」
竜の言葉にあかりは言いづらそうに頬を掻きながら視線を動かす。
どうやら少しばかり言いにくい事情があるようだ。
「同じ学年の恥と言いますか・・・・・・。なんか、休みの間に問題を起こした1年生がいたらしいんです。それで連帯責任ってことで私たちも一緒に朝の挨拶をしているんですよ」
「なるほど。となるとあそこで先生が見張っているのがその問題を起こした生徒ですか」
「なんちゅーか、完全にとばっちりやん」
「あはは・・・・・・、他の生徒が同じようなことをしないようにって意味もあるんだろうけどね」
あかりの口から説明された内容にゆかりは問題を起こしたであろう生徒たちに呆れた視線を向け、茜は肩をすくめた。
そんな2人の反応に葵は苦笑を浮かべつつ、他の生徒まで一緒になって挨拶をしている理由を推測していた。
「まぁ、まさか毎日やるって訳じゃないんだろ?」
「そうですね。問題を起こした生徒以外は1日だけやって終わりですので、明日からはまた一緒に登校できますよ!」
「ま、罰なんやからその辺は当然やね」
「そうだね。それじゃあ、僕たちは行くね」
「挨拶運動、頑張ってくださいね」
竜の言葉にあかりはうなずいて答える。
あかりが校門に立って挨拶をするのは今日だけで、明日からはまたいつものように一緒に登校をすることができるようになるようだ。
そして、竜たちはあかりに手を振って学校の中へと入っていった。
「あ、みんな、おはよー」
「おはようございます。マキさん。どうかしたんですか?」
どことなく元気がないように感じられるマキの声にゆかりは不思議そうに首をかしげながら尋ねる。
ゆかりの言葉にマキは困ったような表情になりながら答え始めた。
「えっとね、なんだか最近肩が凝っちゃっ──────」
「はい、それじゃあ教室に向かいましょうか」
「せやなー」
「そだねー」
不思議そうにしていたゆかりに元気がなかった理由をマキは答えようとしたのだが、話の途中でゆかりたちがはや歩きになって歩き出してしまった。
いきなりはや歩きになった3人をマキは慌てて捕まえる。
「ちょっと、なんで教室に行こうとするのさ!」
「理由なんて分かってるでしょうが、このおっぱいお化け!」
「せやせやー、その乳をうちらに分けろやー!」
ゆかりたちの行動にマキはプンスコと怒りながら文句を言う。
そんなマキの言葉にゆかりと茜が同じようにキレ気味に答えた。
まぁ、ゆかりたちからすれば自分たちと無縁そうな悩みを相談されたのだから、イラッとしてしまっても仕方がないだろう。
「肩が凝ってるってなんでだろ?疲れてるとか?」
「あー、そうだな。“つかれてる”かもなぁ」
マキとゆかりのやり取りを見つつ、葵はマキが肩が凝っていると言っていた理由を考える。
そんな葵の言葉に竜はマキの“肩に乗っている女性”を見ながら答えるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ