このペースなら完全に年末かその辺りに番外話の可能性が出てきました。
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楽しく会話をしながらお昼ご飯は進み、残るは葵の作ってきたデザートを残すのみとなっていた。
葵が作って持ってきたデザート、それはチョコチップの練り込まれたパウンドケーキだった。
ちなみに、葵が食べているパンケーキだけ鮮やかな水色をしているのだが、そのことにツッコミを入れるものは誰もいなかった。
「うん。やっぱりお菓子作りは葵の方が上手やなぁ」
「えへへ、こればっかりはお姉ちゃんには負けない自信があるからね」
「こんなに美味しいならうちで出してもいいレベルだよね」
「これだけ見ればかなりの女子力なのに家ではどうしてあんな・・・・・・」
パウンドケーキを摘まんで口に運びながら茜たちはパウンドケーキの感想を言う。
ふんわりとした触感と、口に含んだ瞬間に広がるチョコレートの甘さとほのかな苦み。
店売りのものと言っても納得ができそうなほどのクオリティのパウンドケーキがそこにはあった。
「あむ。そういえば、同級生が問題を起こしたから朝の挨拶運動をする羽目になったんだったよな?」
「あ、はい。そうですよ」
パインドケーキを摘まみながら、竜はふと今朝のことを思い出してあかりに尋ねる。
竜の言葉にあかりはチラチラと葵の前に置かれている水色のパウンドケーキに向けていた視線を戻してうなずいた。
「それってなにをやらかしたとか分かってるのか?」
「たしか説明はされましたね。えっと・・・・・・」
いったいどんなことをやらかせば朝の挨拶運動をやらされることになるのか。
そのことが気になった竜は
葵から水色のパウンドケーキを1つ受け取りながらあかりは教室で聞かされた内容を思い返す。
「ああ、そうそう。えっとですね?なんでも昨日のお昼ごろにアイドルを見かけたとかで騒いで、そのアイドルを見つけるためにいろいろなところに迷惑をかけたって話でしたね。そこらへんにアイドルが出歩いているとは思えないので見間違いなんじゃないかって私は思ってるんですけどね」
「昨日のお昼ごろ・・・・・・、あー、あれか」
あかりの説明に竜は昨日の出来事を思い出し、納得する。
おそらくはやらかしたという1年生は“
もしかしたらすれ違ったりしたのかもなぁ、と思いながら竜は曖昧な表情を浮かべることしかできなかった。
「ありゃ、先輩もその人を見かけたんですか?」
「たぶんだけどな。他にも同じようなことをしている人を見かけたから相当な人気アイドルでもいたんじゃないか?」
「実際にいたんやけど教えるわけにはいかんもんなぁ」
竜の様子からそのやらかした1年生を見かけたのかと考えたあかりは竜に尋ねる。
そんなあかりの問いに竜はもしかしたらその1年生を見たかもしれないと答えた。
さすがに1年生の顔を覚えているわけがないので、“UNA”のことを探していた人たちの中の誰なのかはさっぱり分からないが。
竜の言葉にテーブルの上に置いたハンカチの上に座っていたついなはうなずきながら呟いた。
「まぁ、先生たちにしっかりと怒られたらしいので、もう同じことは繰り返さないんじゃないですか?」
「それなら良いんだけどな・・・・・・」
あかりの言葉に竜は微妙に信頼しきれないまま答える。
正直に言って、アイドルである“UNA”のことを探すためにいろいろなところに迷惑な行為をする1年生なので、先生に怒られた程度で本当に反省するのかが竜は気になっていた。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ