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“cafe Maki”に来ていた最後のお客も帰り、もう少しでバイトも終わる時間となっていた。
竜はお客のいなくなったテーブルを片づけている。
「ああ、そうだ。今日も晩ご飯を食べていくだろう?」
「え、あ、はい」
「確認しとるみたいな言葉やけどほぼ確定になっとらん?」
使った食器や料理道具などを洗い終えたマキの父親がテーブルの片づけをしていた竜に声をかける。
晩ご飯を食べるかどうかの確認をしているはずの言葉なのだが、マキの父親の表情と口調からすでに結論が出ているように竜とついなは感じた。
「ええと、ご馳走になります」
「といっても今日はちょっとだけいつもと違うのよねぇ」
マキの父親の言葉に竜が頭を下げると、マキの母親がにこにこと楽しそうに笑みを浮かべながらなにやら意味深なことを言う。
マキの母親の言葉に竜は不思議そうに首をかしげるが、マキの母親は答えるつもりはないようで、そのまま店内の掃除に取りかかってしまった。
「どういう意味だったんだろう?まぁ、とりあえず外掃いてきちゃいますね」
「冷えてきてるからあまり長い時間やらなくていいからね」
マキとゆかりがマキの自宅で料理をしていることなど知らない竜は首をかしげることしかできない。
そして気にしていても仕方がないと頭を切り替え、店の前を箒で掃くことをマキの父親に伝えて外に出るのだった。
◇ ◇ ◇
“cafe Maki”の前。
箒を持って竜は落ち葉やゴミなどを集めていた。
「やっぱ冷えるな・・・・・・」
「暗くなってきとるんもあるかもなぁ」
ふいている冷たい風に体をブルりと震わせながら竜はつぶやく。
季節的に寒いというのもあるのだろうが、それに加えて日が落ちてきて暗くなってき始めているというのも寒さの原因の1つなのだろう。
「うん?あれは・・・・・・、ウナ?」
「あ、ほんまや。撮影をしとるみたいやね」
ふと、なにやら機材を持った人たちが歩いている姿を見かけた竜は、その中にウナの姿があることに気がつく。
マイクを持って何かを話しているウナの様子から、何かの撮影をしていることがうかがえる。
「こんな時間でも撮影があるとか大変だな・・・・・・、ん?」
ジュニアアイドルとして活動をしているウナではあるが、年齢的には間違いなく小学生であり、そのハードな生活を想像した竜は少しだけ同情的な思いを抱いてしまう。
不意に、竜はウナの視線が自分に向いたような気がした。
撮影をしているウナたちとは少しばかり離れており、なにを言っているかまではさすがに分からない。
しかし、それでも顔の向きくらいは分かることができた。
「まぁ、声をかけたりするわけにはいかんし。軽く手を振る程度にしておくか」
「スキャンダルはあかんもんね」
ウナが自分のことに気がついたのかは不明だし、声をかけるなんていうことは
もしも仮にスキャンダルになんてなってしまえばウナに迷惑がかかることは間違いない。
それを理解して竜は軽くウナに向かって手を振る程度にした。
「あ、反応したわ」
「してもうたな」
竜が手を振るのが見えたウナは嬉しそうに笑顔を見せて手を振り返す。
ウナの反応にウナの周囲にいた機材などを持っているスタッフたちは不思議そうに首をかしげ、ウナが誰に手を振っているのかを探そうとした。
そして、竜はもう一度ウナに向かって手を振り、“cafe Maki”の中へと戻るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ