変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第18話

 

 

 

 

 竜ときりたん、お互いにデッキからカードを引き、モンスターを操って戦っていく。

 先ほど起きた悲劇(ワンキル)はなんだったのかと思うほどのデュエルに客達も興奮気味に見ていた。

 

 

「普通に戦えるのになんでワンキルデッキなんて使ったんですか!」

「お前が人の話を聞かないでしつこく彼女彼女と弄ってきたからだよ!」

 

 

 怒った口調のきりたんはモンスターで攻撃しながら先ほどのワンキルを批難する。

 きりたんの言葉に竜はワンキルした理由を答えながらモンスターの攻撃を罠カードで防いだ。

 そしてきりたんはターンを終わらせる。

 

 

「イングナルの素材を使って効果!場のカードをすべて手札に戻す!そしてイングナルをリリースしてスノードロップを特殊召喚!さらにスノードロップの効果で手札のヘレボラスを特殊召喚!」

「くっ・・・・・・、イングナルの効果に対して私はなにも発動することができません・・・・・・」

 

 

 竜ときりたんの場のカードが1枚を残して全て消え、1体のモンスターが残る。

 きりたんは残ったそのモンスターの効果に悔しそうに言った。

 そして残っていたモンスターが消え、傘を持った白い服装の女性と、同じく傘を持った紫色の服装の女性が現れた。

 

 

「しかも手札は効果で戻したカードだけ!竜の勝ちや!」

「スノードロップとヘレボラスで攻撃!雪恋六花(せつれんりっか)双天(そうてん)!」

「うわあぁあああ!!」

 

 

 フラグ染みたセリフを茜が言うも、特に逆転などはなく。

 それぞれの女性の攻撃力の合計はきりたんの残っているライフを越えており、あっさりときりたんのライフを消し飛ばした。

 

 

「くっ、私を倒したからといっていい気にならないでください。いずれは第2、第3の私が現れてあなたのことを・・・・・・」

「いや、お前はどこの世界の大魔王だ」

 

 

 決着がついて悔しそうにしながら言うきりたんの言葉に竜はツッコミを入れる。

 デュエルも終わり、竜は茜と合流する。

 

 

「さて、と・・・・・・。デュエルも終わったし、さっさとカードを買うか」

「せやねー」

 

 

 竜の言葉に茜は頷き、店内のレジへと向かった。

 レジに着いた茜は予約の紙を店員に差し出し、遊☆戯☆王のカードパックを出してもらう。

 そして竜と茜はお金を払ってカードパックを買うのだった。

 

 

「そ、それにしてもカップルに間違われるとは思わへんかったな?」

「そうだな。きりたんの奴にも困ったもんだ」

 

 

 カードを買い終えた帰り道、茜はやや照れた様子で呟く。

 茜の言葉に竜は同意するように頷く。

 

 

「まぁ、あのくらいの年の奴は男と女で一緒にいたら何でもかんでもカップルだなんだと言うから仕方がないのかもな」

「・・・・・・それもそうやね」

 

 

 欲しかった竜の反応とは違ったのか、茜はやや不服そうに答える。

 そんな茜の様子に気づいた様子もなく、竜は普通に歩いていた。

 

 

「別に・・・・・・、うちは本当にそうなっても良かったんやけどね・・・・・・」

「え・・・・・・?」

 

 

 竜の隣を歩く茜はポツリと言葉をこぼす。

 その言葉は少女マンガのように竜の耳に届かない、などと言うことはなく。

 しっかりと竜の耳に届いていた。

 茜の言葉に竜は驚いて茜を見る。

 

 

「うちは、きりたんが言ってた関係に本当になってもええんよ?」

「な、え・・・・・・、あ、茜?!」

 

 

 驚いて自身を見る竜に、茜はジッと目を真っ直ぐに見つめ返しながら言う。

 見つめられながら言われた言葉に竜は混乱し、上手く言葉を返すことができなかった。

 

 

「・・・・・・・・・・・・ぷっ。な~んて、冗談や。どや?ドキッとしたやろ?」

「は・・・・・・?」

 

 

 しばらく2人が見つめ合っていると、茜が思わずといった風に吹き出して言った。

 茜の言葉に竜はポカンと呆けた顔を浮かべる。

 そんな竜の顔を見て茜はさらに笑うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ

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