いやぁ、これも書く予定はなかったんですけどね・・・・・・
クリスマスとかを書いているわけですし、やっぱり書かないとなぁって思いまして。
けっこう遅れてしまいましたが、こちらが私から皆さまへのバレンタインとなります。
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2月14日
それは女の子にとっても、男の子にとっても特別な日。
街はどことなく桃色に淡く光っているような空気になり、誰もかれもが浮き足だっているような日。
───────ではない。
今日という日は乙女にとっての一大イベントの1つ。
このイベントに並ぶものがあるとすればそれはクリスマスというイベントのみ!
そう。
この日は、前日までに準備した自身のすべてを意中の人間に届ける日!
甘い予感がする?
ドキドキして恥ずかしい?
否!
2月14日、今日この日は乙女たちがチ(ョコ)でチ(ョコ)を洗うような苛烈な心理戦が繰り広げられる日。
そんな生易しい気持ちでは意中の相手はどこぞの誰かに掻っ攫われてしまうだろう。
ゆえにこそ、今日という日は自身のすべてを発揮し、思いを伝えねばならないのだ!
◇ ◇ ◇
ところ変わって紲星家のキッチン。
紲星家のキッチンというだけあって設備はかなり整っており、包丁やナベなどの調理器具の類もかなり良いものがそろえられている。
そんな紲星家のキッチンに茜、葵、ゆかり、マキ、あかり、イタコ、ずん子の7人がいた。
「さーて、どんなんを作ったらええんやろか?」
「全員が別々に作っちゃったらかなりの量になっちゃうし、何人かで分かれてケーキとかにしたらいいんじゃないかな?」
「それではどんなふうに分かれますか?とりあえずお菓子作りの腕の順で行くと葵さんとマキさんが少なくとも分かれた方が良いでしょうけど」
「そうだね。イタコ先生と生徒会長がどれくらいお菓子を作れるのかは分からないけど・・・・・・」
「私たちは和菓子でしたら作れますけど。洋菓子となりますと少々自信はありませんわね」
「とりあえず、ずんだ餅を作るのは得意ですよ!」
世間一般(個人的な偏見交じりの意見)とはうって変わって、茜たちはどんなチョコを作ろうかと話し合いをしていた。
ちなみに、ここにいないウナ、きりたん、ひめ、みこと、ついなはクリスマスのときと同じように別室で遊んでおり、今回は竜もそこに加わっている。
今日はバレンタインデーということで、紲星家に集まって簡単なパーティーをしようという話になり、そこから料理のできる女性陣だけでお菓子を作ろうということになったのだ。
イタコやずん子がいる理由は竜がウナときりたんに声をかけて、そこから保護者枠ということで参加したからである。
お菓子を作ることができるのは7人。
本来であればついなも料理をすることはできるのだが、竜だけで子供グループ(?)を相手するのは大変だということで、竜の手伝いとしてついなも子供グループに入っていた。
7人で別々にお菓子を作るとなれば合計の量はかなりのものとなってしまう。
そのことを危惧した葵は、何人かで分かれてお菓子作りをすることを提案する。
葵の提案に反対の人は誰もいないようで、どのようなグループで分かれるかを話し合い始めた。
なお、ずん子の発言に触れるものは誰もいなかった。
◇ ◇ ◇
紲星家、子供グループ(?)のいる部屋。
「ぬあぁぁぁあああん!また妨害されてしまったばい!!」
「ふっふっふ、隙を見せたものから狩られていく。それがゲームというものですよ」
「そう言っている東北も隙ありだけどなー」
「・・・・・・騒がしいなぁ」
「そうですねぇ」
「騒いどるのはほとんどひめだけみたいやけどな」
竜たちは部屋に置いてあった大きなテレビを使って6人でマリオカートをやっていた。
つい先ほどまで先頭を走っていたひめだったが、カーブの終わりの地点にちょうどよくバナナを投げられてスリップしてしまい、そのままコースの外へと落ちていってしまう。
そんなひめの姿にきりたんはニヤリと笑みをこぼしながら追い抜いていき、直後に不幸にも背後から迫ってきていた赤塗りの高級甲羅に追突されてしまった。
赤甲羅を受けて止まってしまっているきりたんの横をウナは悠々と追い抜いていく。
そこに続いていくのは竜、みこと、ついなののんびりと走っているメンバーだ。
白熱した様子を見せているひめ、きりたん、ウナの3人とは違い、竜たちはとてものんびりとした様子を見せている。
「負けんったい!うちは速攻魔法発動!
「私も負けませんよ!私はトラップをオープンです!
「・・・・・・なんだろう、普通にキラーとかスターって言っているはずなのに変な漢字に聞こえた気がしたんだが」
「奇遇ですね。ボクにもそう聞こえました」
落下して一気に順位を落としたひめと、不幸にも赤甲羅に追突してしまって順位を落としてしまっていたきりたんは同時にアイテムを使用する。
するとひめの操作していたキャラクターが巨大な弾丸のような形状のマリオシリーズの敵キャラクター、“キラー”へとその姿を変え、きりたんの操作しているキャラクターが虹色に光り輝き始めて加速していった。
マリオカート。
このゲームはかなり有名なマリオシリーズのゲームの1つで、マリオシリーズのキャラクターや、任天堂で出しているゲームの他のキャラクターを操作して1位を目指してレースをするというゲームだ。
操作しているプレイヤーの腕はもちろんのこと、落ちているアイテムボックスから出てくるアイテムを使って他のプレイヤーを妨害していくことがこのゲームでは重要になってくる。
そして、ひめの発動したアイテムときりたんの発動したアイテムはどちらもとても強力な部類のもので、使用すれば一気に逆転することも夢ではないものだった。
「やったー!ウナがいっちばーん!」
「っと、俺が2位か」
「ボクは3位ですね」
「うちが4位かぁ。操作難しいなぁ」
───────まぁ、ひめときりたんに
しいて言うのであればひめときりたんはそのアイテムを入手するのが一歩遅かったというところだろう。
竜たちがゴールした後のゴールをキラーとなっているひめの操作しているキャラクターと、虹色に光り輝いているきりたんの操作するキャラクターがほぼ同時に通り抜ける。
「あ、あ、あぁぁあああんまりだぁぁぁぁぁ・・・・・・」
「そんな、ありえません!この私がっっ!!」
「なんでこの2人はジョジョネタをやっているんだ・・・・・・」
「さぁ?ウナはよく分かんないぞ」
膝をついて声を上げるひめと、顔に手を当て驚愕の声を上げるきりたんに竜は思わずツッコミを入れる。
そんなひめときりたんの様子にみことは呆れたような視線を向けていた。
「そういえば今日はバレンタインデーだったよな。お兄ちゃんにウナからチョコをあげよう」
「ん、ありがとうな。でも、これからみんなでバレンタインのパーティーをやるのに用意してくれたのか?」
そう言ってウナは自分のカバンから包装された箱を竜に手渡す。
渡された箱を落としたりしてしまわないように気をつけながら竜は自分のカバンに箱をしまう。
「うん!お母さんにちゃんと渡しておきなさいって言われたんだー!」
「そうなのか。わざわざありがとうな」
竜の言葉にウナはニコニコと笑みを浮かべながら答える。
笑みを浮かべるウナに、竜は微笑みかけながら優しく頭を撫でた。
「・・・・・・しれっと抜け駆けをしていますね」
「抜け駆け?なんばしよったと?」
「あ~、まぁ、ひめは気にしなくてよか」
竜に頭を撫でられているウナのことを見ながらきりたんは小さくつぶやく。
きりたんの呟きの意味が分からなかったのか、ひめは不思議そうに首をかしげていた。
そんな風に竜たちがゲームで遊んでいると部屋の扉が開き、あかりが現れた。
「準備ができましたから来てください!」
「お、できたのか。それじゃあ行くかー」
「レッツゴーやね」
「いきますよー、1919」
「なんで“じゅうきゅう”って2回言ったと?」
「よく分からないけど汚い気がしたのはなんでだろう・・・・・・?」
そして、あかりに連れられて竜たちはパーティーをする部屋へと向かうのだった。
◇ ◇ ◇
竜たちが部屋に入るとそこにはすでにいくつかのチョコレート系統のお菓子などが用意されていた。
特に目を引くのは中央に置かれている大きなチョコレートケーキだろう。
さらに見れば少し離れたところにチョコレートファウンテンをするためのチョコの噴水まで用意されている。
ちなみに、テーブルに置かれているお菓子たちの中に一部だけ緑色のものが見えたが、竜は特に気にしないことにした。
「これは、すごいな・・・・・・」
「みんなで頑張りましたからね。でもやっぱり葵先輩が一番すごかったですね。あのケーキなんてほとんど葵先輩が作っちゃったんですよ?」
用意されているお菓子などを見て竜は思わず言葉を漏らす。
竜の言葉にあかりは中央に置かれているチョコレートケーキを指さしながら答えた。
そして、部屋の扉が開いた音で竜たちが来たことに気がついたのか茜たちも集まってきた。
「おー、待っとったで!」
「えへへ、ちょっと張り切りすぎちゃったかな」
「張り切ったで済ませて良いレベルなんでしょうか?」
「んー、でも美味しそうだし良いんじゃない?」
「ちゅわ、洋菓子は少々不慣れでしたが頑張りましたわ!」
「ですね。洋菓子作りも楽しかったですね」
口々に茜たちはお菓子作りをした感想を言う。
お菓子作りに疲れはしただろうが、それでもとても楽しく作ることができたのだろうということが話し方からうかがうことができた。
「それじゃあ、今日はバレンタインデーですし。竜先輩、こっちに来てもらえますか?」
「うん?」
あかりに手招きされ、竜は不思議に思いながら移動する。
そして、竜は茜たちと向き合う形で立った。
「やっぱりこれはキチンと言っとかなあかんもんな」
「忘れちゃいけないことだもんね」
「お決まりって感じですからね」
「あ、きりたんたちも言うんだよ?」
「私たちもですか?」
「でもウナたちは作ってないぞ?」
「そんなことは気にしなくても大丈夫ですわ」
「ええ、気持ちが大切なんですよ」
「ええっと、なんて言うんやったっけ?」
「ひめ、ここにメモがあると」
「みんなで一斉に言うらしいから、まだ言ったらあかんで?」
竜が前に移動し、茜たちはやや恥ずかしそうにうっすらと頬を染める。
「それでは竜先輩・・・・・・、せーのっ!」
『
誰のヤンデレが読みたいですか?
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結月ゆかり
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琴葉茜
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琴葉葵
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鶴巻マキ
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紲星あかり