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茜の作ってくれた絶品のエビフライを食べ終え、竜とみゅかりさんは満足そうにお腹をさする。
竜とみゅかりさんのお腹はどちらもポッコリとしており、それぞれが大量に食べたことを物語っていた。
そんな1人と1匹の姿を見て茜はニコニコと嬉しそうに笑う。
「うんうん。満足してくれたみたいで良かったわ」
「満足どころか大満足だ・・・・・・」
「みゅぅう、みゅぅう・・・・・・」
茜の言葉に竜は答えることすら辛そうにしながら答える。
その隣ではみゅかりさんがユラユラと揺れながら竜と同じようにやや辛そうにしながら答えていた。
そんなになるまで食べなければいいのではないかと思われるかもしれないが、茜の作った料理はそれほどまでに美味しかったのだから仕方がないのだろう。
「こんだけうまいなら他の料理もうまいんだろうな」
「せやねぇ、うちとしては普通にできている方やと思っとるけど・・・・・・」
竜の言葉に茜は頬に指を当てて答える。
茜本人としては双子である葵と比べて得意という程度の認識であり、揚げ物に関してはエビフライを美味しく作るための過程で上手くなっただけなのだ。
「そうなのか。まぁ、あんだけうまかったら毎日食っても良さそうだけどな」
「ま、毎日・・・・・・」
茜の答えに竜はお腹が楽な姿勢になりつつ笑って言った。
竜の言葉に茜は顔を赤くしてプイッと顔を逸らす。
そんな茜の様子に竜は首をかしげるが、お腹が楽な姿勢を維持することに意識がむいて、茜の顔を見る余裕はなかった。
そして顔を逸らした茜はというと。
竜の言葉を聞いて妄想が暴走していた。
「毎日っちゅうと、つまりはあれやんな・・・・・・。えへへ・・・・・・」
小さく呟きながら茜は自分の頬に手を当ててクネクネと体を動かす。
茜の頭の中では家に帰ってきた竜を玄関で出迎えて「ご飯にする?お風呂にする?それとも、う・ち?」と言う、まさに新婚夫婦のテンプレイメージのようなものが浮かんでいた。
竜はそんな茜の様子に気づかずに揺れているみゅかりさんのお腹をフニフニと撫でていた。
竜が撫でているときにときどきみゅかりさんが小さくこらえるように「みゅっ・・・・・・みゅみゅっ・・・・・・」と口元を押さえて鳴き声をあげているが、吐きそうという様子には見えないので竜は気にしなかった。
「お姉ちゃん、洗い終わったよ」
「ハッ?!あ、ありがとうな葵!」
食器を洗い終わった葵の声に妄想の世界から戻ってきた茜は慌てた様子で葵にお礼を言う。
慌てた様子の茜に葵は不思議そうに首をかしげるが、とくに気にすることでもないと考えて竜の近くに座った。
「ご飯も食べ終わったしゲームをやるで!」
「お、良いね。何をやるんだ?」
茜の言葉に竜は何のゲームをやるのか尋ねる。
晩御飯は終わってからすぐにゲームを始めようとする茜と竜に葵は呆れたようにため息を吐くのだった。
「そうやな・・・・・・。よし、バイハでもやろか」
「バイハか。たしか2人プレイもできたな」
ゲームを用意し、ゲームを起動させる。
茜の言葉に竜は頷きながらコントローラーを用意した。
バイハ、正式名称はバイオハザード。
ウイルスによって死体が復活し、生きた人間を襲うというアクションホラーゲームだ。
初出はプレイステーション1で根強い人気を誇っているカプコン製のゲームである。
また、バイオハザードに出てくるヘリコプターがよく墜落することから“カプコン製のヘリは落ちる”などの言葉も生まれた。
バイオハザードは内容としてはそこまでホラー要素はないものの、ホラーが得意ではない葵は素早く竜の背後に移動するのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ