徐々に徐々に読んでくれる人も増えて嬉しい限りです。
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茜との協力プレイで竜はバイオハザードを進めていく。
ちなみに操作しているキャラはなぜか竜が女性キャラで茜が男性キャラだ。
「弾がないんやけどー?!」
「ちゃんと拾っと、け!」
「お、お姉ちゃん。う、後ろ後ろ後ろ!」
「みゅーみゅ!」
弾を無駄に撃ちすぎて弾切れを起こした茜をフォローするように竜の操作しているキャラクターがゾンビの頭を撃ち抜く。
茜はバイオハザードではなにかを調べる際に最初に1発撃っておく癖があるので、そのせいで弾切れを起こしてしまうのだ。
この癖に関しては治すように竜に言われているのだが、いまだに治る気配はなかった。
竜の背中にしがみつきながら葵は茜に弾がある場所を教える。
騒がしくプレイする3人の姿にみゅかりさんは楽しそうに鳴き声をあげるのだった。
「できるだけヘッショして弾の消費は抑えてかないとキツくなるぞ?」
「それは、分かって、るんやけど。グラグラ揺れて狙いにくいんや!」
竜の言葉に茜はゾンビの攻撃を避けながら答える。
なお、竜は先に倒し終えており、茜の操作するキャラクターの後方で適当にサイドステップを繰り返していた。
ちなみに、竜の言っているヘッショとはヘッドショット、つまりは頭を撃ち抜くことの略語である。
ゾンビは頭を撃ち抜いた方がダメージは大きく、他の部位を狙って倒すよりも弾の消費が抑えられるのだ。
「っし、セーフエリアに着いたで!」
「だな」
「ここにはゾンビもいなくて安心だね・・・・・・」
「みゅうみゅう」
セーフエリアに茜の操作しているキャラクターが飛び込み、その後ろを竜の操作しているキャラクターが追って入る。
セーフエリアに入ったことで落ち着いたのか、葵もホッと息を吐いた。
ゾンビが出ないということで竜はテレビ画面から目を離して時計をチラリと見る。
いつの間にかかなり時間が経っていたようで、竜は今の時間を見て驚いた。
「いつの間にかこんな時間かよ」
「んお?あちゃー、ほんまや。熱中しとったからなぁ・・・・・・」
「ぜんぜん気づかなかったよ」
竜の言葉に茜と葵も現在の時間に気づいて頭を掻いた。
「じゃあ、ちょうどセーブもできるところだし。区切りもいいから終わりにするか」
「せやね」
そう言って茜はキャラクターを操作してデータを記録するための機械、タイプライターを操作する。
タイプライターといえばバイオハザードのセーブとまで言われるほどに印象深いもので、シリーズや難易度によってはインクリボンというアイテムが必要だったりする。
セーブをする際の独特なタイプ音はとても耳に残るもので、この音が好きだという人も少なくないと思われる。
「みゅかりさんもそろそろ帰らんとなぁ」
「みゅう!」
「といってもここに住んでるからそんなに心配もないけどね」
みゅかりさんを抱えあげながら茜は言う。
茜の言葉にみゅかりさんは前足をあげて応えた。
その様子を見て葵は小さく笑いかけながら言った。
「そういや宿題も出て────」
「あーっ!あーっ!うちはなんも聞いとらんー!ア゛ーッ!」
「お姉ちゃん・・・・・・」
竜の言葉を遮るように茜は耳を塞ぎながら声をあげた。
しかも途中でなにやら汚い声も聞こえたような気がする。
そんな茜の子供みたいな行動に葵は頭が痛いとばかりに額に手をあてた。
「普通に終わらせた方が楽だろうに・・・・・・。まぁ、好きにせい。んじゃ、また明日な」
「ほな、またなー」
「うん、また明日」
「みゅみゅみゅー」
茜の行動に竜はため息を吐き、靴を履いて立ち上がる。
軽く手を振る竜に茜、葵、みゅかりさんは手を振り返して見送るのだった。
「わぁ」
どこかで、小さな声が聞こえた気がした・・・・・・
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ