さーて、ハルヒルに向けて体力を戻さないとー。
流石に今の状態でハルヒルに挑んだら絶対に途中でリタイアすることになってしまう!!
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もしかしたら竜の婚約者になっていたかもしれない。
その事実にイタコ先生は思わず顔を赤くして声を上げてしまった。
「あら?その反応は婚約者になるのも悪くないってことかしら?」
「ちゅ、ちゅわああ・・・・・・」
竜の母親の咲良の言葉にイタコ先生は顔を赤くしたまま声を漏らすことしかできなかった。
そんなイタコ先生の様子に咲良はニマニマと意地悪そうな笑みを浮かべる。
どうやらイタコ先生のことをからかう対象として認識したらしい。
「その話は断ったんだろう?今さら蒸し返すんじゃないよ」
「断ったと言ってもあのとき竜は婚約者の相手がイタコさんだとは知らなかったのよ?もしかしたらイタコさんだって知ったら婚約者になってほしいとか言ったりして」
「ほっほっほ、そうなれば孫の子ども、ひ孫を見れる可能性が高くなって嬉しいのう」
「こ、子どもですか?!」
イタコ先生のことをからかおうとしている咲良のことを止めるために兄である筒治が軽く注意をするが、それでも咲良は止まらずに言葉を続けていく。
咲良の言葉を聞いた咲良の父親、つまりは竜の祖父である紅葉は竜の子どもで自分にとってのひ孫を想像したのか、ややだらしない表情になってしまっていた。
咲良の言葉から始まり、続けられた紅葉の言葉にイタコ先生は自分が子どもを抱きかかえている姿をイメージしてしまい、さらに顔を赤く染める。
ちなみに、イタコ先生が子どもを抱きかかえているイメージをしたときに子どもを抱きかかえているイタコ先生の隣にはなぜか口ひげを生やした雑なコラ画像のような姿の竜の姿もあったりしたのだが、イタコ先生のイメージの中でのことなので誰もそのことを知る者はいなか────。
「こんっ!」
「あ、ちょっ、こらっ!」
「あ、これがイタコさんに憑いているっていうキツネちゃんね」
「ふむ。この霊力の感じはたしかに九尾みたいだな」
「内包する霊力が少なすぎるようじゃが・・・・・・、なるほどのう。まだ成長途中というわけか」
いや、イタコ先生がイメージしたものを知ることのできる存在が一匹だけいた。
ポンっ、という音とともにイタコ先生の前に現れたキツネは、なにか不満があるらしくポコポコと前足でイタコ先生を叩き始めた。
イタコ先生はいきなり現れたキツネをなだめようとするのだが、イタコ先生の言葉など聞かずにキツネはポコポコとイタコ先生のことを叩き続ける。
いきなり現れたキツネの姿に貴身純家の面々は驚くかと思われたが、そこは霊能力者の家系なだけあって驚くようなことは一切なく。
落ち着いた様子でキツネのことを観察していた。
「くーっっ!!」
「ちょ、いたたたっ?!ま、まさかさっきのイメージが不満でしたの?」
「こんっ!」
ポコポコと叩く前足から爪が出始めたのか、イタコ先生は痛がりながらもどうにかキツネを捕まえる。
キツネを捕まえたイタコ先生は目線を合わせてもしかしたらと思ったことを尋ねる。
イタコ先生の言葉にキツネは肯定するようにしっかりとうなずく。
どうやらキツネは先ほどのイタコ先生がしたイメージ────子どもを抱きかかえて竜が隣に立っているイメージに自分がいなかったことが不満だったらしい。
キツネの鳴き声にイタコ先生はがっくりと肩を落とすのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ