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ゆかり、マキの2人と会話をしながら竜は教室に着いた。
教室にはすでに何人かのクラスメイトの姿も見える。
「そういえば宿題はやったか?」
「もちろんやってありますよ」
「やってきたよー」
竜の言葉にゆかりとマキは当然と言った様子で答える。
2人の答えに昨日の茜の様子を思いだし、竜は何とも言えない表情になる。
そんな竜の表情を見てゆかりとマキは不思議そうに首をかしげるのだった。
「どうかしたんですか?」
「いや、昨日茜に宿題の話をしたんだがな・・・・・・」
竜の表情が気になったゆかりは竜に尋ねる。
ゆかりの問いに竜は少しだけ呆れた調子で昨日の出来事を話し始めた。
「茜ちゃん、宿題くらいちゃんとやろうよ・・・・・・」
「葵さんはちゃんとやっているんですけどねぇ」
竜から昨日の出来事を聞いたゆかりとマキは呆れたような表情を浮かべながら呟いた。
3人でそんな話をしていると、茜と葵の2人が教室に入ってきた。
「おはようやでー!」
いつも通りの茜による朝の挨拶にクラスメイトたちが反応を返す。
朝の挨拶をしている茜の横をなるべく目立たないように葵は移動して自分の机に荷物を置いた。
そして竜がゆかりとマキの近くにいることに気がつくと、準備もそこそこに竜の近くへと向かっていった。
「おはよう、お姉ちゃんがいつも五月蝿くしてごめんね」
「おう、おはよう。むしろあれがないと朝って感じがしないから気にしてないよ」
「おはようございます。茜さんのあれがあるからこそ教室が明るくなるんですから大丈夫ですよ」
「葵ちゃん、おはよー。私も茜ちゃんの朝のあれは好きだから大丈夫だよー」
謝りながら葵は普通の音量で朝の挨拶をする。
葵の言葉に竜たちはヒラヒラと手を振りながら答えた。
思っていたよりも茜のことは悪く思われていなかったことに葵はホッとした表情で会話に交ざる。
「さっきは何の話をしてたの?」
「茜が宿題をやらないことについてだな」
「葵さんが言ってもダメなんでしょうか?」
「いつも慌ててやってて、そのうち間に合わなくなりそうだよね」
竜たちが何の話をしていたのかが気になった葵は竜たちに尋ねる。
葵の問いに3人は先ほどまで話していた茜の宿題についての話をした。
茜の話をしていたとは思ってもいなかった葵は恥ずかしそうに顔を隠す。
「ちなみに葵。茜は宿題をやってきたのか?」
「・・・・・・やってないよ」
「おはようさん!」
恥ずかしそうにしている葵に念のために確認をすると、案の定と言うか茜は宿題をしていなかった。
そこに朝の挨拶を終えた茜がやって来た。
竜、ゆかり、マキの3人はやって来た茜を少しだけジトッとした目で見る。
「なんや、そんな目で見よって」
「いや、結局宿題はやらなかったんだな・・・・・・」
3人の視線を不思議に思いながら茜は首をかしげる。
竜の言葉に茜はギクリと体を硬直させた。
「べ、別にええやん。ちゃんと提出期限には間に合っとるんやし」
「ですがギリギリになって慌てるよりも、先にやってゆっくりできる方がよくないですか?」
「もしも間に合わなかったら大変だしね」
目を逸らしながら鳴らない口笛を吹く茜に竜と葵は顔を見合わせてため息を吐いた。
ゆかりとマキの言葉に茜は小さく呻いてガクリと肩を落とす。
一応、茜自身も先に宿題をやった方がいいこと自体は理解している。
それでも集中ができずに遊びだしてしまうのだ。
「うぅ~、だって集中できひんのやもん・・・・・・。みんなはどんな風にやっとるん?」
「私は普通にやれてますね」
「私も家の手伝いが終わってから普通にやってるかな」
「ボクは寝る前にやってるのを知ってるよね」
茜の問いにそれぞれが順番に宿題のやり方を答えていく。
そして茜は最後の竜の答えを待った。
「俺は、学校でやってるな。というか授業中に宿題になりそうな所を勝手にやってる」
「それは宿題をやってることにならないんじゃないかな?!」
竜の答えに葵は思わずツッコミをいれる。
それは茜を除いた中でもっともダメな答えだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ