エペをやっていたらまさかの時間に?!
ここまで遅くなってしまうのは予想外でした!
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“cafe Maki”にささら、つづみ、ずん子、イア、オネの5人が来てからもお客は入ってきており、竜はマキと一緒に店内を忙しく動き回っていた。
また、竜のことを手伝っているついなもテーブルの上にある食器を片づけるのを手伝ったり、お客のテーブルの上の状況を教えたりとなかなかに忙しく動いていた。
「やっぱり暑くなっているからか冷たい系のものを頼む人が多くなっていたな」
「そうだねー。冷たいものが多くて私の手もちょっとだけ冷えちゃったよ」
席に座っているお客へ注文されたメニューを届け終えた竜とマキは小さく息を吐いて呟く。
それでも止まらずにテーブルの片づけをしたり、落ちているゴミなどを回収したりしているのは仕事に慣れているからだろう。
竜とマキの言う通り、最近は暑くなってきたために冷たいドリンクやデザートなどが多く注文された。
そのため、注文された料理を運んでいた竜とマキの手は少しづつ冷えていってしまっていたのだ。
「ほら、こんなに冷たくなっちゃった」
「うお?!ちょ、首元はマジで驚くから!」
テーブルを片づけていたマキはそう言って竜の首元に自身の手を当てる。
いきなり首元にひやりとしたものが触れた竜は驚き、慌てて振り向きながら少しだけマキから距離を取る。
まぁ、いきなり首元に冷たいものが触れれば誰でも驚いてしまうのは仕方がないことだろう。
そんな竜の姿を見てマキはケラケラと笑う。
「あはは、そんなに驚いた?」
「いや、そりゃ驚くだろ。意識してないところでいきなり冷たいものがきたら誰でも驚くわ」
「ごめんごめ・・・・・・うひゃあっ?!」
「ご主人を驚かした仕返しやでー?」
ケラケラと笑うマキに竜は呆れた表情になりながら答える。
竜の言葉にマキは笑いながら謝り、途中で驚いたように飛び跳ねて自身の首元に手を当てた。
マキが驚いて振り向いたのと同時に、マキの背後にいつの間にか回り込んでいたついなが現れ、手に持っていた氷水の入った容器────、ピッチャーを見せながら言った。
どうやらついなはマキの背後に回って首元に氷水の入ったピッチャーを当てたようだ。
「び、びっくりしたぁ」
「それがさっきご主人が受けたビックリなんやで?」
驚いた様子のマキについなはドヤ顔をしながらピッチャーを片づけていく。
「むー、でも私の手はそんなに冷たくなかったと思うけどなー」
「その辺は誤差や誤差。さすがにまったく同じ温度にするとかは無理やったからな」
少しだけ責めるようなマキの言葉をついなはあっさりと切り捨てる。
マキとしても自分から始めたことだという意識はあるため、そこまでしつこく追及することもなくこの話は終わるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ