体調不良になりました。
読んでくださっている方々も体調に気をつけてください。
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注文したオレンジジュースを口に運ぶ葵の姿にマキはにっこりと笑いかける。
「美味しいでしょ。それ、オレンジの皮も少しだけ搾って混ぜてるんだよ」
「え?でも皮を入れたら苦くなっちゃうんじゃないの?」
「うん。だから苦くならないように調節してるの。どのくらい入れてるのかは教えてもらってないから分からないけどね~」
オレンジジュースを美味しそうに飲む葵にマキは美味しさの秘密を少しだけ話す。
美味しさの秘密を話して良いのかと思われるかもしれないが、分量などは言っていないので問題はない。
それに加えて、美味しさの秘密がこれだけだとも言っていないので、仮に誰かに聞かれたとしても真似をしてこのオレンジジュースを作ることは不可能だろう。
「ん、これは・・・・・・、レモンの香りを感じる紅茶?レモンティーってやつか?」
口に運んだ瞬間に広がるさっぱりとした爽やかな風味を感じ、竜はマキ茶がどんなものなのかを察して呟いた。
竜の言葉にマキは嬉しそうに頷く。
「正解!お父さんが独自に比率を研究した特別な紅茶なんだよ」
「そうなのか。自信があるから独自に名前をつけたのかねぇ?」
マキの言葉に竜はマキ茶と言う名前になった理由を考える。
ちなみにこのレモンティーには4種類の茶葉が使われており、それぞれ“キャンディ”・“ダージリン”・“ウバ”・“ディンブラ”と呼ばれているものが使われている。
ただしそれぞれの茶葉の比率や名称などのことを父親は誰にも明かしておらず、マキや母親ですらそのことは知らない。
「マキちゃ~ん、ケーキの準備ができたって~」
「あ、はーい。じゃあ、ちょっと待っててね」
名前を呼ばれ、マキは竜たちに声をかけてキッチンへと向かった。
キッチンへと着くと、母親からケーキの乗ったトレイを渡される。
トレイに乗っているケーキの数は2つで、残りの2つは母親の持っているトレイに乗っていた。
「1人で持ってくのは危ないからお母さんも持ってくわね~」
「うん」
母親の言葉に頷き、マキは母親と並んでケーキの乗ったトレイを持って竜たちのいるテーブルへと向かう。
「おまたせ~。えっと、ゆかりんにショートケーキ。茜ちゃんにチーズケーキ。葵ちゃんにチョコケーキで、竜くんはオススメのケーキのチョコミルクレープだね」
先ほどの飲み物を置いたときと同じようにマキはケーキを竜たちの前に置いていった。
目の前に並べられた美味しそうなケーキに竜たちは思わず笑みがこぼれる。
「これで全部揃ったね~」
「いえ、まだですよ」
「せやな。まだ全部は揃っとらんで」
「大事なものがまだ来てないですね」
「え?」
ゆかり、茜、葵の言葉にマキは首をかしげる。
そんなマキの姿に竜はただなにも言わずに笑みを浮かべていた。
ちゃんと4人分の飲み物もケーキも運んできて、聞いたものは全て持ってきている。
いったいなにを忘れていると言うのか。
首をかしげているマキの後ろにマキの母親が移動し、マキの頭を軽く撫でる。
「マキちゃん、もうお手伝いは十分だからお友だちとお話ししてて大丈夫よ」
「あ、うん」
「それじゃあマキちゃんの分の飲み物とケーキを持ってくるから椅子を準備して待っててね」
そう言って母親はキッチンへと向かっていった。
キッチンへと向かっていく母親の姿を見つつ、マキはついさっき言われた『全部は揃っていない』という言葉の意味を理解した。
「これで全部揃いますね」
「えへへ、そうだね」
マキは自分の分のことを考えてくれていた4人に笑いかけながら頷いた、
そして近くにあった椅子を動かして自分の座る場所を作った。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ