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竜の家から悲鳴のような声をあげて飛び出していってしまった六花が半泣きになりながら戻ってきた後。
ちょうどお昼時になったため、ついなはお昼ご飯の準備を始めた。
「あー、ちょっとは落ち着いたかな?」
「ヒンッ……ヒンッ……。は、はい……」
さすがにすぐには泣き止むことができなかったようで、ややべそをかきながら六花は竜の言葉にうなずいて応えた。
クシャッとした六花の泣き顔に少しばかり被虐心が揺さぶられたものの、どうにかその心は五行封印して少しでも落ち着かせるように六花についなに淹れてもらっておいたお茶を差し出す。
「ずず……、あ、美味しい……」
「まぁ、俺が淹れたわけではないけどね。それで、父さんからは家が一番都合がいいってことしか聞いてないんだけどどういった理由で家に来たんだ?」
竜から差し出されたお茶を飲んだ六花はその美味しさに少しだけ緊張がほぐれたのか頬が緩み始めていた。
六花が少しでも落ち着いたことが分かった竜は六花にどういった理由で家に来たのかを尋ねる。
竜が父親から聞いていたのはこの家が何かしらの用事を済ませるのにちょうどいいから泊まらせたいということだけ。
そのため六花の口からどういった用件でこの家に泊まるのかを聞きたいのだ。
「えっと、私の家の話からになるんですけど。私の家は小樽市の小春酒蔵っていう酒蔵なんです」
「小春酒蔵……。たしか父さんが気に入っているお酒を造っているところだったかな?」
竜の言葉に六花は初めに自分の実家が酒蔵であることを伝える。
六花から聞いた酒蔵の名前に竜は父親が保管しているお酒の中にそこでしか作れないものがあって、それが父親のお気に入りの一本だったことを思い出した。
「ですね。その繋がりがあったからこそこうしてお願いをしているわけなので」
「ふむ。とりあえず六花がどうして家に来たかの理由は分かった。それで、用事とやらは?」
どうやら竜の父親は小春の実家の酒蔵となにかしらの関りがあったらしく、その繋がりから今回の用件を頼まれたようだ。
どうしてこの家に頼みごとをしてきたのかの理由を理解した竜は六花に話の続きを促す。
「私がこちらに来た用事なんですが、えっとうちには“
「あー、なるほど。うちの学校の梅の木か」
六花の説明に竜はなるほどと納得をする。
竜たちの通う学校に生えている梅の木は太宰府天満宮に存在しているご神木“飛梅”から挿し木させてもらったものであり、さすがに本家本元のものには負けるとはいえかなり立派な樹木となっているのだ。
なお、竜の家の庭にもさらに小ぶりだが同じように“飛梅”が挿し木されているのだが、家が結界で覆われているために逆に存在に気づきにくくなっていたりする。
「ふむ。それならうちの学校で梅の木の管理もしているイタコ先生に話をしに行かないとか?」
「可能ならお願いします」
さすがに学校の中においそれと外部の人間を入れるわけにもいかないので、竜は“飛梅”の管理も一任されているイタコに話をするべきかと口に出す。
竜の口から出たイタコの名前に六花は頭を下げる。
六花本人としても自分から頼みに行くつもりではあったのだが、知人からの口添えがあるのであればさらにお願いしやすいと思ったためだ。
「そんじゃあお昼を食べたらイタコ先生の家に行くか」
「お昼ができたから運ぶの手伝ってな~」
竜がそう言ったのとほぼ同じタイミングでついなのお昼ご飯が完成したという声が聞こえてくるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ