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落ち込むゆかりをどうにかもとに戻そうとあたふたする竜を見つつ、葵は自分の扱う武器の紹介を始める。
「ボクが使うのは片手剣、大剣、スラッシュアクスの3つ。アイスボーンになってからはどれも火力が出しやすくなった武器だね。一先ずは片手剣から話していくね」
片手剣。
そう聞いて攻撃力が低いといった印象を持つ人は少なくないだろう。
現に竜も火力が低そうといったイメージで全く片手剣を使っていない。
その証拠に使用回数は0である。
「片手剣は剣と盾を持った武器で攻撃力が低いイメージはあるけど、実はけっこう火力の出せる武器なんだよ。それに武器を出したままアイテムを使えるっていうのも便利なところだね。これのお陰で他の武器よりも早く回復をすることができるんだ」
「初心者向けの武器って言われてるのはそこら辺もあるんだろうな」
初心者はちょっとのミスでモンスターにやられてしまうことが多い。
なので武器を出したまま回復のできる片手剣はそのミスをかなり減らすことができるのだ。
「移動速度も早いし段差とかがないところでもジャンプすることができるから乗り攻撃が狙えるんだ」
「乗り攻撃って?」
聞きなれない攻撃の名前にマキは不思議そうに尋ねる。
「乗り攻撃っていうのはその名の通りモンスターに乗って攻撃をすることだな。これを当てるとモンスターが倒れて隙だらけになるんだ」
「それを自由に狙える武器は少ないからね。あとは盾を使って打撃攻撃もできるよ。切断と打撃の両方を使える武器も少ないもんね」
盾なのに打撃攻撃と疑問に思うかもしれないが、片手剣の盾は防具して使うことは基本的にない。
緊急時に最終手段として使うことはあっても防御のメイン手段として使うのには向いていないのだ。
なので片手剣はシンプルに片手剣、片手鈍器と考えてしまった方が戦いやすかったりする。
「片手剣はシンプルだから説明も少ないんだよね。次は悪い点だよ。片手剣の悪い点は攻撃距離の短さだね」
片手剣はとてもシンプルで悪い点はたった1つしかない。
もともとはやや火力不足気味だったのだが、アイスボーンになってからジャストラッシュが追加されて火力の問題が解消されたので、攻撃距離だけになったのだ。
「攻撃の距離が短いからかなりモンスターに近づかないといけないんだよ。同じ攻撃距離なら双剣と同じだったかな」
「逆に言うとそれだけなんだから使いやすくはあるわけだな。まぁ、俺は使わないんだけど」
葵の言葉を肯定するように竜は頷く。
そんな竜の言葉に葵は微妙な表情をしながら竜を見た。
「ほんと、竜くんはかたくなに片手剣の使用回数を0にしてるよね・・・・・・」
「なんでそこまで片手剣を使おうとせえへんのや?」
「もともとの火力が低そうってイメージがあったのもあるけど、ここまできたら使用回数を0のままにしておこうかと思ってな」
他の武器はちゃんと使っているだけに片手剣の使用回数0というのがとくに浮いていた。
竜の答えにマキを除いた全員が呆れた顔で竜を見る。
たったそれだけの理由で1つの武器を全く使っていないのだから呆れるしかないのだろう。
「モンスターに近づかなきゃいけないっていうのはちょっと怖いなぁ」
「それは仕方がないな。まぁ、やっていけばそのうち慣れるんじゃないか?」
片手剣のメモを終えたマキはメモを見ながら言う。
片手剣と双剣はどちらも同じ攻撃距離で、かなりモンスターに近づかなければならない。
その距離はもはや密着と言っても過言ではない距離だ。
そのことを正確にイメージしたわけではないだろうが、それでもかなり近づかなくてはいけないということから目の前にモンスターがいることを想像したのだろう。
マキの言葉に竜はマキ茶を口に運びながら軽く答えるのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ