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いつもの通りの特に変わり映えもない授業を受け、仲の良いクラスメイトたちと他愛もない普通の会話をする。
それを幸せなことだと認識するには竜たちはまだ若く、様々な経験が足りていない。
しかし大人になってからあのときは楽しかったなと思えるようになるのが学生時代の醍醐味ともいえるようなものなのだ。
そんなありふれた日常の大切さに気付いていない竜が廊下を歩いていると、学校の中庭に生えている梅の木を見上げている六花の姿に気がついた。
「ほえぇぇ……」
「そんなに口を開けてどうしたんだ?」
ほけー、といった擬音が似合いそうな表情を浮かべながら中庭に植えてある梅の木、“飛梅”を六花は眺めていた。
六花自身、そこまで霊力に関する能力が高いわけではないのだがそれでも一般人よりも霊力を感じ取ることができる。
そのために太宰府天満宮から分木されてこの学校とともに育ってきた“飛梅”から発せられる神聖な霊力を感じ取ることができたのだ。
ちなみに、竜は霊力に関する潜在能力は高かったのだがそれらに関わる機会がもともとなかったためにその感覚が分かっておらず、せいぜいが“飛梅”の近くにいると落ち着くなと感じる程度だった。
“飛梅”を眺めていた六花は竜の言葉にわたわたと慌てて自身の口を手で隠した。
そして声をかけてきたのが竜だと気づいた六花は恥ずかしそうに頬を染めつつ竜の近くに移動してきた。
「えっと、この梅の木を見てたら感じた感覚に圧倒されてしまってて……」
六花は頬をうっすらと染めながら“飛梅”を眺めていた理由を答える。
六花の目的はご神木との関わり方を学ぶこと。
そのため自分の実家にあるご神木とはまた違う存在に圧倒されてしまっていたのだろう。
入学してからずっとこの“飛梅”を見てきていた竜には分からない感覚なのだが、それでも六花が“飛梅”からなにかを感じていることを理解した竜はなるほどと頷き納得する。
不意に竜の腰になにかが抱き着いてくるような衝撃を受けた。
見るとひめが竜の腰に抱き着いてきており、少し遅れてみことも反対の腰に抱き着いてきた。
「竜お兄さんばーい!」
「おはようございます。竜さん」
「お、2人ともおはよう」
元気よくぐりぐりと頭を押しつけてくるひめと、少しだけ恥ずかしさが残っているのかややぎこちなくなりながらもしっかりと抱き着いてくるみこと。
ひめとみこと、2人の性格がよく分かる反応だった。
2人の反応に笑みを浮かべつつ竜は2人の頭を撫でる。
竜に頭を撫でられひめとみことの2人は気持ちよさそうに目を細める。
そんな竜たちのやり取りを六花は不思議そうに眺めていた。
「竜さん、その子たちはいったい?」
「ん、あー……、そうだな。今日のお昼は保健室に来てもらえるか?イタコ先生が保険医で俺たちはいつもそこで食べてるんだ。そこでイタコ先生に聞いて問題なければ教えてくれるから」
いきなり現れたどう見ても学生ではない2人の女の子。
2人に対して六花が疑問を覚えるのも当然のことだろう。
が、それはそれとしてひめとみことのことを竜が詳細に説明することができないのも事実。
そのためその辺りの判断をしてもらうためにも保健室でイタコに説明をお願いしようと竜は考えたのだ。
竜の言葉に六花は不思議そうに首をかしげつつも休み時間の終わりも近づいてきているため教室に戻っていくのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ