変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第622話

 

 

 

 

 時間は進んでお昼休み。

 

 食欲という名の欲望に囚われた哀れな住人たちが我先にとその空虚な肉体を満たすために疾駆し、その身を満たすことができた者の歓喜の声と満たしきることのできなかった者の沈痛な声が響き渡る時間。

 

 その喧騒は日々行われており、昨日は敗者であったものが今日は勝者となり、またその逆も起こりえる。

 この喧騒に飛び込む者たちは常に挑戦者であり防衛者でもある。

 

 昨日の甘美な勝利を今一度掴もうとするもの。

 昨日の苦汁な敗北を捨て去ろうとするもの。

 

 そんな数多の思いが渦巻く食欲と食欲のぶつかり合い。

 それがこの“お昼休み(ラグナロク)”という時間なのだ。

 

 

「……そんなに壮大なものでもないでしょうに」

「まぁ、食べたいものを食べるために頑張ってる人はいるけどね」

 

 

 無駄に仰々しい語りでお昼休みを語っていた茜にゆかりは呆れた表情を浮かべながらツッコミを入れる。

 

 茜やゆかりの他に竜たちもおり、いつものメンバーが保健室に集まってお昼ご飯を食べ始めるところだった。

 もちろん休み時間の際に竜から保健室に来るように言われていた六花もおり、朝に会ったゆかりたち以外にひめとみことがいるため不思議そうに2人のことを見ていた。

 

 ちなみに、イアとオネの2人は教室でクラスメイトたちと食べる約束をしていたため、今日は保健室には来ていない。

 

 

「おっ昼♪おっ昼♪」

「そんなに動いたらホコリが舞うったい」

 

 

 お昼のお弁当を受け取ったひめは嬉しそうに体を動かしており、そんなひめの様子にみことは小さくため息を吐きながらなだめている。

 竜たちにとっては見慣れた光景なのだが、学校に学生ではない子供がいるという光景は六花にとっては不思議なものだった。

 

 

「えっと、それでこの子たちはいったい……?」

「んゆ?」

「ん……。そういえばさっきの休み時間にも見た人がいますね」

 

 

 六花は困惑しながらイタコにひめとみことについて尋ねる。

 六花の質問を聞き、改めてきちんと六花のことを認識したのかひめは不思議そうに首をかしげ、みことは少しだけ警戒するように竜の近くに移動する。

 

 まぁ、竜の近くに移動したことで竜に頭を撫でられてしまい一気に脱力してしまうのだが。

 そんなみことの様子に思わず笑みをこぼしつつ、イタコは六花に説明をするために向き直った。

 

 

「そうですわね。端的に言ってしまうのであればこちらの2人はうちの学校のご神木に宿っている梅の木の精霊ですわ」

「ご神木の……精霊……?!」

 

 

 ざっくりと簡単にひめとみことがどんな存在なのかをイタコは説明する。

 イタコの説明に六花は驚きの声をあげる。

 

 しかし六花が驚くのも仕方がないことだろう。

 六花がここに来たのは自身のいえのご神木との関わり方を学ぶため。

 そんな六花の目の前に意思疎通の出来るご神木の梅の木の精霊が現れたとなれば驚かない方が無理というものだった。

 

 

「そう言えばもう普通に一緒にご飯食べとるけどそんな存在やったね」

「あまりにも馴染み過ぎてて忘れちゃってたよねぇ」

 

 

 イタコの言葉と驚いている六花の様子に茜たちはお昼ご飯を食べながらひめとみことがどういった存在だったのかを思い出す。

 茜たちからしてみればいつもお昼ご飯を一緒に食べている子どもという認識でしかないのだ。

 そのため、ひめとみことの正体に驚いている六花のリアクションはかなり新鮮に感じるのだった。

 

 

「まぁ、そこまで深く気にしなくてもいいさ」

「そう、なんですかねぇ……?」

 

 

 驚いている六花に対して竜はそこまで気にする必要はないという。

 まぁ、事実としてひめもみこともそこまで厳格な存在というわけではない。

 よっぽど礼儀にかけているようなことさえしなければ何の問題もないだろう。

 

 竜の言葉に六花は困惑をしつつもお昼ご飯を食べ始めるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ
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