のんびりと続き~
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“cafe Maki”の前の道路にぼろ雑巾のようにうち捨てられている男性。
そんな光景に六花は困惑の表情を浮かべながら指さす。
六花の様子に竜たちは苦笑混じりの表情を浮かべながら納得したようにうなずく。
「ああ、それは気にしなくて大丈夫だから」
「そうですね。最近では割とよくあることですから」
「よくあることなんですか?!」
カフェの店先に人がうち捨てられているのが日常だという竜たちの言葉に六花は驚愕の表情を浮かべながら竜たちとうち捨てられている男性を交互に見る。
ちなみに、この男性がうち捨てられている理由としては“cafe Maki”に来るたびにマキの母親に対してナンパをし、父親によって締められるという一連の流れをおこなったためである。
マキの母親もマキを産んだとは思えないほどにキレイな女性なのでナンパをしたくなるのは分からなくもないのだが、それでもここまで締められているのだからさすがに諦めるべきだろう。
もしかしたらワンチャンを狙っているのかもしれないが、マキの両親は新婚どころか熱愛カップル並みにお互いを愛しているため、そのような可能性は微塵も残っていないのだった。
男性がうち捨てられている理由を簡単に説明しながら竜は六花にカフェの中に入るように促す。
竜から理由を聞いた六花は男性に対して白い目線を向け、気にかけるのを止めてカフェの中へと入っていくのだった。
「あら、マキちゃん。おかえりなさい。皆さんもいらっしゃいね」
「ただいまー。みんなは私が席に案内しちゃうね」
「なら自分は先に着替えてくるな。……っと、その前に。すみません、ちょっとしゃがんでもらっても良いですか?」
「また憑いとるんやねぇ」
カフェに入ってきた竜たちの姿を確認したマキの母親はニコリとほほ笑みながら竜たちを迎え入れる。
母親に返事を返しながらマキは自分がゆかりたちを席に案内すると母親に答える。
マキの言葉に竜は先に学校の制服から着替えに行くことを伝えてバックヤードに移動しようとし、マキの母親に少しだけしゃがむように声をかけた。
竜が見ている視線の先はマキの母親の頭の上。
そこを竜と同じように見ていたついなは呆れたようにため息を吐いていた。
竜の言葉にマキの母親は不思議そうに首をかしげつつ、言われた通りにしゃがむ。
「ありがとうございます。……ふっ!」
しゃがんだマキの母親の頭上。
そこにいる見覚えのある学校の先輩に向けて竜は思い切りスナップを利かせた右手のひらを振りぬく。
もしも霊感のある人間がいたのであればスパァーンッ!というかなり綺麗な炸裂音が聞こえていただろう。
竜の一撃を受けた見覚えのある先輩はそのまま胸を押さえながら霞のように消えていく。
突然の竜の行動にマキたちも不思議そうに竜のことを見ていた。
「あら?なにかいたのかしら?」
「まぁ、そんなところですね」
「んぎゅうん゛ん゛ん゛ん゛!!」
竜の行動にマキの母親は不思議そうに首をかしげる。
そしてマキの母親の頭上にいた先輩の姿が完全に消えるのと同時にカフェの中にいた同じ姿の先輩が胸を押さえて濁音交じりの汚い悲鳴をあげる。
そんな先輩の様子に一緒の席に座っていた友人はまたかといったようにため息を吐いていた。
「あの先輩はまたかいな」
「なんかいつも叫んでない?」
「しかも叫んだあとはなぜか竜先輩のことを見てますよね」
悲鳴をあげているのが見覚えのある先輩、ささらだということに気がついた茜は呆れながら呟く。
まぁ、マキの母親の頭上に憑りついている姿が見えない一般人であればささらがなぜ悲鳴をあげているのかが分からないのも仕方がないことなのだろう。
どこかネチャッとしたような視線と、ジトっとした呆れ交じりの視線を受けながら竜は学校の制服から着替えるためにバックヤードへと向かうのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ