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カランカランとドアベルを鳴らしながら竜が“cafe Maki”の店内へと戻ると、席に案内されたのであろう先ほどの2人組の先輩たちが顔を向けてきた。
2人が店の中へと入るときにはまだ外に不良たちが残っていたため、その辺りも気になっていたのだろう。
2人の視線に気がついた竜は軽く会釈をし、自身の仕事に戻ろうとする。
そんな竜の行動に気がついたのか、2人は慌てて大きく身振り手振りで竜のことを呼び始めた。
「……なんですか?」
「いや、色々と説明が欲しいんだけど?!」
「つむぎ、声が大きいわよ」
仕方なしに竜が2人の座る席に近づいていくと、2人の内の落ち着きのない方がバンッと強くテーブルを叩きながら声をあげた。
そんな相方の行動にもう1人の落ち着きのある方は声を抑えるように言う。
テーブルを叩いた音は案外大きく、その音に店内にいた他のお客さんたちも何事かと不思議そうに竜たちのテーブルを見ていた。
まぁ、彼女からしてみればいきなりナンパをされたかと思えば知らない人間に先輩と呼ばれ、されるがままに店内に入って席へと案内されてしまったのだから興奮してしまうのも無理はないのだろう。
「と言われましても。ここは自分のバイト先で、店前が騒がしかったから問題解決に動いただけですが」
「巻き込んでしまって申し訳なかったわね。でも助かったわ。ありがとう」
「それは……、たしかに助かったけど……」
やや興奮気味の女子高生に説明を求められた竜だったが、竜からしてみればただ騒がしかったから解決しただけであり、これ以上に説明のしようがなかった。
そんな竜の言葉に改めて自分たちの問題に巻き込んでしまったことを申し訳なく思ったのか謝罪と感謝の言葉を述べた。
その言葉を聞いたもう1人も、事情はどうであれ助けてもらったことは間違えようのない事実であるためモゴモゴと口を動かしていた。
「いえ。もしよかったらなにか頼んでいってください」
「そうね。なら紅茶とショートケーキでもお願いしようかしら」
「えっと……、それならあーしはレモンスカッシュかな。それとシュークリームで」
やや興奮気味だったのも落ち着いて、なにも問題はなくなっただろうと判断した竜はなにか注文でもどうかと2人に尋ねる。
竜の言葉に2人はテーブルの上に置いてあるメニュー表を確認し、それぞれが飲みたいものと食べたいものを注文していった
2人の注文を注文票に記入した竜はそのまま2人に頭を下げてキッチンへと向かって行く。
そんな竜のことを見送り、2人は改めて顔を見合わせた。
「それにしてもさっきのやつらホントになんだったんだろうね。いきなり話しかけてきてホントに迷惑だったわ」
「この辺じゃ見ない制服だったし、他のところから流れてきたのかもしれないわね」
竜が離れたことによってさらに気が抜けたのか、やや緩い雰囲気を出しながら2人は話し始めた。
話題に上がるのは先ほどナンパをしてきた男子高校生たちのこと。
学校からの帰宅途中でいきなり話しかけられた恐怖と気持ち悪さはやはりまだ簡単にはぬぐい消すことはできなかったのか、身震いをするような仕草をしていた。
「そういえばさっきいきなり女の子が現れてたけどそのことについて聞き忘れちゃったなぁ」
「それなら注文したものが届くときにでも聞けばいいんじゃないかしら」
「あ、女の子と言えば学校の中庭にいるとたまに女の子が現れるって噂が……」
「さすがに学生じゃない子はいないんじゃないかしら?」
女の子の会話はポンポンと切り替わっていくもの。
そんな何でもないような話をしながら2人は注文したドリンクとスイーツが届くのを待つのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ