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晩御飯を食べ終わり、各々がのんびりと食後の余韻に浸っていた。
すでにテーブルの上にはなにもなく、キッチンで葵が食器を洗っている。
「時間的にはまだ余裕はありそうやな。なんかやる?」
「そうですね。竜くん、先ほどのゲームの続きはどうです?」
「いやぁ、あれはもう充分かな」
ゆかりの言葉に竜は首を横に振る。
確かに楽しくはあったのだが、晩御飯の前に充分に楽しんだので竜は今日はもう恋愛ゲームをプレイする気はなかった。
「ん~、それなら昨日のバイハの続きでもどうや?」
「ふむ、なら被弾したら交代ってことで」
「ふっふっふ、ならばゆかりさんの完璧なコントローラー捌きを見せてさしあげましょう」
少しだけ考える仕草をして茜は昨日のバイオハザードの続きをすることを提案する。
茜の言葉に竜はプレイヤーの交換するタイミングを言った。
バイオハザードのプレイヤーの人数は1人から2人。
ここにいるのは3人で葵も含めれば4人いるのでプレイヤーの人数が多いのだ。
とはいっても葵は絶対にプレイしたがらないので実際には3人なのだが。
「そんじゃ、始めるか」
「せやね」
「最初はお2人に譲りますよ」
ゲームの準備を終え、竜と茜がコントローラーを握る。
どうやら最初は竜と茜がプレイするようだ。
2人のどちらが先に被弾するのかを待ちながらゆかりはのんびりとテレビ画面を見るのだった。
「お姉ちゃん、食器洗い終わっ・・・・・・ッ!!」
「うおっ?!ちょ、ま、あ゛ーっ?!?!」
被弾もなくバイオハザードを進めていくと、食器を洗い終わった葵がキッチンから戻ってきた。
キッチンから戻ってきた葵はテレビ画面を見て固まると、素早く竜の背後に移動してテレビ画面が見えないように背中に頭を押し付けた。
昨日は普通に見てはいたが、それは最初から見ることができていたからであり、今のように不意打ち気味に見るとすぐにテレビ画面を見ないように隠れてしまうのだ。
なお、ゾンビ犬とリッカーの相手をしていた竜は葵がしがみついてきた衝撃のせいで操作をミスし、リッカーからの攻撃に被弾してしまった。
「ありゃ・・・・・・、まぁ、しゃーないわな」
「では私と交換ですね」
「・・・・・・そうだな」
竜の操作するキャラクターが被弾したことに茜は驚きつつ、周囲のゾンビたちを倒していった。
周囲のゾンビを倒し終えると、竜はゆかりにコントローラを渡す。
コントローラーを渡した竜はゆっくりと背中にしがみついている葵を見た。
「ご・・・・・・、ごめんね?」
自分がしがみついたことによって竜が被弾したことが分かったのか、葵は申し訳なさそうに謝る。
葵の言葉に竜はにっこりと笑みを浮かべた。
竜が笑いかけてきたことに葵は許されたと思って嬉しそうにする。
「 許 し ま せ ん 」
「い?! い
ぐにー、と葵の頬を摘まんで竜は引っ張る。
竜に頬を引っ張られて葵はバタバタと腕を動かした。
葵は茜とゆかりに助けを求めようとするが、2人はバイオハザードに集中しており、反応を示さない。
とはいってもバイオハザードを仮にやっていなくても助けることはなかっただろう。
葵が頬を引っ張られているのはほとんど自業自得のようなもの。
迂闊に助けようとしようものなら頬を引っ張られる対象が自分たちに移ってしまう可能性がある。
そのため、2人はバイオハザードに集中するふりをしながら葵の助けをスルーしていた。
「
「うりうり、不意打ちで見たからっていきなりしがみつくなよ」
もがく葵の顔を見ながら竜はむにむにと葵の頬を引っ張るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ