・
葵の頬を引っ張り、押し潰し。
葵は竜に自身の頬をむにむにと弄られている。
そんな2人の後ろで茜とゆかりはバイオハザードをプレイしていた。
「りょ、竜くん・・・・・・?」
いつの間にか痛みをほとんど感じない触り方になっていることに葵は不思議そうに声をあげる。
むにむにと頬を弄られながら葵は竜の顔を見る。
「あ、いや、なんか触り心地がよくてな・・・・・・」
「そ、そうなんだ・・・・・・」
葵の言葉に竜は、葵の頬の感触を感じながら答えた。
葵は竜の答えに少しだけ恥ずかしくなり、顔を赤くしながら竜の好きなように頬を触れさせる。
「えっと、ボクも竜くんの頬っぺたを触ってもいいかな?」
「ん、まぁ、構わないが・・・・・・。触り心地はよくないと思うぞ?」
竜の触れ方が痛みを感じないものになって余裕ができたのか、葵は手持ちぶさたになって竜に尋ねる。
葵の言葉に竜は不思議そうに首をかしげながら了承する。
自分の頬など触れても楽しいものでもないだろう。
そう思ったがゆえに竜にとって葵の言葉は不思議なものだった。
が、それを言うのなら葵もまったく同じことを思っていたので、お互い様とでも言ったところだろうか。
「竜くんの頬っぺた、ちょっと固いね」
「まぁ、男だしな」
ふにふにと竜の頬を触りながら葵は言う。
その触れた感触が自分のものよりも固く感じられ、葵は少しだけ面白くなっていた。
そんな葵の触り方に竜は少しだけくすぐったさを感じていた。
「ん、んんっ!」
「「ッ?!」」
不意に聞こえてきた咳払いに竜と葵ははじかれるようにお互いの頬から手を離す。
咳払いの聞こえてきた方を見れば、ジットリとした目をした茜とゆかりが2人のことを見ていた。
テレビ画面を見れば操作キャラクターたちがセーフポイントにおり、ゲームを一時停止していることが分かる。
「2人で何をやっとるんや」
「い、いや、葵がぶつかってきたからお仕置きを・・・・・・」
茜の言葉に竜は慌てて気をつけの姿勢になって答える。
いつの間にか部屋の中の室温がどことなく冷たくなったように感じられた。
竜の隣で葵も同じように気をつけの姿勢になっていた。
「それがなんでお互いに頬っぺを触ることになったんですか?」
「えっと、それは、その・・・・・・」
続くゆかりの追求に竜は目をキョロキョロとさせて答えに詰まってしまった。
竜自身もどうしてそうなったのかは分からないので、答えようもないのだが。
「・・・・・・まぁ、ええんやけど。答えなかった代わりにうちも竜の頬っぺを触らせてもらうで」
「私も触らせてもらいますね」
答えられずにいた竜に茜は小さく息を吐いて竜のとなりに移動した。
そして茜が移動した反対側、つまりは葵のいる方にゆかりも移動する。
茜とゆかりの2人に挟まれる形となった竜は表情を強張らせる。
「えっと、なん────」
「そりゃ」
「えい」
「────うびゅ?!」
「ぷふっ・・・・・・」
竜は左右にいる茜とゆかりを交互に見ながら何をするのか尋ねようとすると、両サイドから頬を指で押されて言葉が途中で変な風に途切れさせられてしまった。
左右から挟まれる形でつぶれる竜の顔を見て、葵は思わず吹き出してしまう。
竜は吹き出した葵の方を見ようとするが、左右から2人に指で押されているために顔を葵の方へと向けることができなかった。
「ほな、うちらは竜の頬っぺを触っとるから竜と葵でプレイしてや」
「私たちは竜くんの頬っぺを触ることで忙しいので」
「俺は、まぁ、良いんだが・・・・・・」
茜の言葉に竜は少しだけ答えにくそうに言葉を濁す。
2人の指で押す力が弱くなって顔を動かすことができるようになった竜は葵の表情をうかがうのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ