UA40000を越えたので番外話です。
ヤンデレといっても作者のイメージするヤンデレですので好みが分かれるかもしれません。
それでもよろしければ読んでください。
なお、本編のネタバレも含まれますので気をつけてください。
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周囲を宇宙空間に囲まれ、仮面をつけた巨人が現れる。
巨人に足はなく水晶のような形状の下半身で浮遊しているようだ。
そして、現れた巨人は自身の顔を隠すように腕を動かし、現れたときとは異なる仮面を装着した。
巨人の名は“ダークファルス・ペルソナ”。
少人数で挑んでしまえば瞬く間に全滅させてしまうであろう強さを備えた“ダークファルス”の内の1体だ。
普通のモンスターとは全く異なる圧倒的な存在感。
その存在を前に2人の人間は自身の持つ武器を強く握り、強く睨み付けた。
『いきましょうか。ノーコンティニューでクリアしてやります!』
「ならこっちは・・・・・・、コンティニューしてでもクリアする!」
気合いをいれるように“KIRIKIRI”と竜は声を出す。
そして、“ダークファルス・ペルソナ”と“KIRIKIRI”と竜の戦いが始まった。
最初に“ダークファルス・ペルソナ”がつけたのは蛾の触角のようなものがついた仮面。
直後、竜と“KIRIKIRI”の足下に攻撃の予兆の光の輪が出現した。
「一旦離れて・・・・・・、一気に距離を詰める!」
『パリィしても良さそうですけど、ね!』
光の輪が出現してから数秒後、竜と“KIRIKIRI”の頭上から無数の光線が降り注ぐ。
しかし、攻撃の起こるタイミングを読んでいた2人は危なげなく回避をし、“ダークファルス・ペルソナ”の仮面へと向かって一気に距離を詰めて攻撃に転じた。
「この仮面のときはこの攻撃かレーザーグリットみたいなのが多いから対処は楽ですね」
『仮面を殴っているときはパリィで防いでしまえばそのまま攻撃を続けられますもんね』
“ダークファルス・ペルソナ”の攻撃を回避しては攻撃し、避けきれない攻撃はパリィをしてダメージを最小限に抑える。
これはどんなゲームでも有効に使える基本的な戦術で、味方の人数が少なければ少ないほど重要な戦い方になるだろう。
それからしばらく同じように戦っていくと、“ダークファルス・ペルソナ”のつけていた仮面が砕け、“ダークファルス・ペルソナ”の本来の顔が現れた。
すると“ダークファルス・ペルソナ”は最初のときと同じように自身の顔を隠すように腕を動かし、さっきとは異なる仮面を装着した。
“ダークファルス・ペルソナ”のつけた2枚目の仮面、それは仮面というにはあまりにも大きすぎた。
大きく、分厚く、重く、そして大雑把すぎる仮面だった。
「この仮面は殴ってきたり、地面を広範囲で攻撃したりでしたっけ?」
『そうですね。まぁ、この形態でも仮面に張り付いてれば問題ないでしょう』
つけている仮面によって変化するモーションをほとんど憶えてしまっている2人は特に慌てることもなく攻撃を続けていく。
むしろ大振りな攻撃の多いこの仮面は2人にとってはカモのようなものだった。
そのまま2人はあっさりと“ダークファルス・ペルソナ”を攻撃していく。
「大振りがきたら・・・・・・イージーフルコネクト!!」
『エクスゥゥ・・・・・・カリバァァァアアアアーーーー!!』
“ダークファルス・ペルソナ”がとくに大きな攻撃をして隙をさらしたのを見逃さずに竜と“KIRIKIRI”はエトワールでもっとも単発火力の高い技を放つ。
2人の放った2振りの剣を合体させて放った切り上げは地面に大きな斬撃跡を残しながら“ダークファルス・ペルソナ”の仮面を切り裂き破壊した。
正式な名称はコネクトという技から繋げて放つフルコネクトという技なのだが、モーションがFGOの宝具にある
2枚目の仮面も破壊された“ダークファルス・ペルソナ”はさらに異なる仮面を被る。
3枚目の黒い仮面を“ダークファルス・ペルソナ”が被ると同時に、胸元の心臓の部分が開いた。
赤く光るそれはどう見ても弱点にしか見えない。
「折り返しですね。油断せずにいきましょう」
『動きの種類も多いですしね』
“ダークファルス・ペルソナ”の仮面が変わったことを確認した2人は回復アイテムを使って減っていた体力を回復させる。
そして、体力を回復させた2人は“ダークファルス・ペルソナ”へと向かっていくのだった。
◇ ◇ ◇
“KIRIKIRI”と協力して“ダークファルス・ペルソナ”を攻略した翌日。
竜はPSO2で衣装を手に入れるために必要なACを買おうか悩みながら帰路についていた。
竜のプレイスタイルは、戦闘を楽しみつつも操作するキャラクターを色々な衣装で着飾ったりするのを忘れずにするというタイプで、新しい衣装が手に入れば戦闘をそっちのけでファッションショーのようなことをやったりするのだ。
「あんっ!」
「ん?おお、“きりいぬ”じゃないか」
不意に聞こえてきた犬の鳴き声に竜はキョロキョロと周囲を見渡し、きりたんぽを背負って和服を着ている犬がいることに気がつく。
この犬は“
少しばかり呼びにくい名前なので、竜は縮めて“きりいぬ”と呼んでいる。
「わーう、わふっ!」
「おっとっと、どうしたんだ?生徒会長やイタコ先生はどこにいるんだ?」
竜が自分に気づいたことが嬉しかったのか、きりいぬは竜に向かって飛びつく。
東北家の飼い犬ということでずん子かイタコ先生のどちらかが近くにいるのかと周囲を見渡してみるが、どこにもその姿は見られない。
不思議に思いながら竜はきりいぬを顔の前にまで持ち上げて尋ねてみた。
竜の言葉にきりいぬはキョトンと首をかしげるのだった。
「しゃーない、届けにいくか」
「わふわふっ!」
ここでこの小さな子犬のきりいぬを置いていくというのは不安があり、竜はどうにも放っておくことができなかった。
竜はきりいぬを見ながら少しだけ考えると、小さく息を吐いて東北家に向かうことを決める。
竜の言葉にきりいぬは嬉しそうに鳴き声をあげるのだった。
◇ ◇ ◇
ときどきイタコ先生やずん子に誘われて行っている東北家へと向かう道を竜はきりいぬを抱えながら歩く。
イタコ先生の場合はキツネが、ずん子の場合はきりたんが主に誘われる理由となっていた。
「やっぱり衣装は欲しいしなぁ。水着とか浴衣とか夏のオシャレでは必須だし・・・・・・」
きりいぬを抱えながら竜はいまだにACを買おうか悩んでいた。
ACの値段は基本的にそのまま円に変換するのと同じで、学生にとってはどう考えても安い買い物ではない。
“cafe Maki”でバイトをしているとはいえ、それでもあまり大きな金額を使いたくはなかった。
竜がそんなことを考えていると、いつの間にか東北家の前に到着していた。
「っと、着いていたか。・・・・・・一応、ちゃんと報告しとかないと不安だな」
東北家に着いていることに気がついた竜は、きりいぬを東北家の敷地に放して帰ろうかと考えた。
が、よくよく考えてみれば自分の帰り道のところにまで出歩いてきてしまうのだから敷地に放すのでは不味いだろうと考え直してインターフォンを鳴らした
インターフォンが鳴ってしばらくすると、パタパタという早足の音が聞こえてきて、ずん子が現れた。
「あら?公住くん、どうかしたの?」
「どうもです。実は家に帰る途中でこの子を拾いまして」
「この子?・・・・・・あらまぁ。そうだわ、公住くんは時間はあるかしら?良かったらきりたんと遊んでいかないかしら?」
「えっと、まぁ、大丈夫です」
玄関から現れたずん子に竜はきりいぬを見せながら東北家に来た理由を話す。
竜の言葉にずん子は少し驚いた表情になり、竜からきりいぬを受け取った。
竜からずん子の手に移ったきりいぬは、素早く身を
そしてそのまま家の奥の方へと消えていってしまった。
きりいぬが家の奥へと消えていったのを確認したずん子は竜に時間があるかを尋ねる。
ACを買うか悩んでいた竜は思考をリセットすることも必要だと考えてずん子の言葉にうなずいた。
竜が靴を脱いで東北家に入ると、ドタバタと慌てたような足音が近づいてくるのが聞こえた。
「いらっしゃいです!」
「おおっとぉ?!」
ドタバタという足音が近づいてきて、音の主を竜が確認した瞬間、音の主であるきりたんは竜に向かって大きく飛びついていった。
それはまるでラグビーのタックルのようで、意外にも大きな衝撃に竜は思わず大きめの声を出してしまう。
「さぁ!早くゲームをやりましょう!」
「分かった、分かったから引っ張るなって」
目をキラキラと光らせるきりたんに手を引かれながら、竜はきりたんの部屋へと案内される。
その後、めちゃめちゃ対戦ゲームや協力プレイゲームをやった。
◇ ◇ ◇
きりたんの部屋でゲームを始めてしばらくすると、定位置となっている竜の膝の上に座っていたきりたんが竜を見上げた。
きりたんがゲームを止めて見上げていることに気がついた竜は不思議そうに首をかしげる。
「どうしたんだ?」
竜の言葉にきりたんは答えず、なにか不思議な紋様を空中に絵書き始めた。
「
「っ?!か、体が・・・・・・」
不意にきりたんが言葉を発した直後、竜は全身が動かなくなってしまう。
突然のことに竜は困惑し、目だけを動かしてきりたんを見る。
「
「きりたん・・・・・・?!」
続けてきりたんがなにかを発したが、とくになにかが変わったようには見えない。
しかし、きりたんはそれで満足したのか、竜に思いきり抱きついた。
きりたんの行動に竜は体をどうにか動かそうとしながら声をかける。
「俺に、なにをしたんだ・・・・・・?」
「えへへへ、動けないですよね?竜兄さまの魂を私が縛ったのでもう竜兄さまの意思では動くことはできないんですよ」
どうやっても動かせない体に恐怖を感じながら竜はきりたんに尋ねる。
竜の言葉にきりたんは竜の体に自身の体を擦り付けながら答えた。
魂を縛る。
きりたんはなんてことのないように言っているが、これはとても難しい霊術でイタコ先生やずん子には扱うことのできない霊術の1つだった。
しかし東北家の麒麟児と呼ばれているきりたんにとってはそれほど難しいことではなく、あっさりと竜の魂を縛っていた。
「これからはずーっと一緒ですよ。まだ私の体は小さいのでそういったことはできませんが、ゆくゆくは姉さま方のようなボンキュッボンになるので。期待していて待っていてください」
「な、なにを言っているんだ?それに俺の姿を見ればイタコ先生や生徒会長が怒るに決まっているだろう?」
ジッと竜の瞳を見つめながら言うきりたんを竜は恐ろしく感じつつも、イタコ先生やずん子が気づいてくれるときりたんに指摘する。
しかしきりたんは竜の言葉に笑みを浮かべた。
その直後、きりたんの部屋の扉が開き、イタコ先生が現れた。
「あら?
「はい。竜さんは用事ができたといって慌てて帰ってしまいまして」
「・・・・・・・・・・・・へ?」
きりたんの部屋に入ってきたイタコ先生は軽く部屋の中を見回すと、まるで竜がいないかのように話し始めた。
イタコ先生の言葉に竜はポカンと口を開けてしまう。
目の前にいるのに気づいていないというのはどういうことなのか。
きりたんと話すイタコ先生に気づいてもらおうと竜は何度も呼び掛けたが、イタコ先生は全く気づく様子もなく部屋から出ていってしまった。
「どうなっているんだ・・・・・・」
「ふふふ、これくらいの霊術を使うことくらい私には朝飯前なのです。ですから、ね?竜兄さまのことを見つけることができるのはもうこの世に私だけなんですよ」
愕然と部屋から出ていってしまうイタコ先生の姿を見る竜にきりたんは頭を撫でながら答える。
きりたんが使用したのはイタコ先生が髪の色を誤魔化す際に使っていたものと同じ認識阻害の霊術。
しかしその強さはイタコ先生とは比べ物にならないほどで、目の前にいる竜の姿はおろか声すら隠蔽してしまうほどのレベルだった。
「大丈夫ですよ。竜兄さまのことを他の誰もが気づけなくても私だけがちゃんと気づいてあげますから。竜兄さまの子どもも私がちゃんと身籠ってあげますから。だから、安心して今は眠ってくださいね?」
そしてきりたんは竜の意識を霊術で奪う。
意識を失った竜の体を布団に移動させ、きりたんはそのまま竜の体に抱きついて眠るのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その5
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