変わった生き物を拾いました   作:竜音(ドラオン)

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第65話

 

 

 

 

 葵が膝の上から離れたことによって解放された竜は痺れかけていた膝を伸ばすために立ち上がる。

 じんわりと血液の巡る感覚に竜はむず痒いような感覚を感じた。

 ふと時間を見ればそこそこに遅い時間。

 晩御飯を食べた上にゲームをやっていたのだからそれも当然のことだが。

 

 

「時間も時間だからそろそろ帰るわ」

「まぁ、こんな時間やもんな」

「そうですね。私も自分の部屋に帰りますね」

 

 

 竜の言葉に茜とゆかりも時計を確認して頷く。

 その際も葵は茜の腰にしがみついたままで離れようとはしない。

 そんな葵の様子に竜は苦笑いを浮かべた。

 

 

「明日には普通になっとるやろうから気にせんでええで」

「それならいいんだがな。んじゃ、また明日な」

「また明日、学校で」

 

 

 腰にしがみつく葵の頭に手を置きながら茜は言う。

 茜の腰にしがみついたまま自分の方を見ない葵に竜は少しだけ寂しくなった。

 そして、竜とゆかりはそれぞれの家に帰るのだった。

 

 

 

 

 ◇ ◇ ◇

 

 

 

 

 “清花荘”から家に帰ってきた竜は、家の向かいの工事の幕を見る。

 工事の幕の上の方に骨組みらしきものが見えており、それだけでどれくらい大きい家が建つのかがうかがえた。

 

 

「こんだけデカい家か。どこの金持ちかねぇ」

 

 

 適当に目測だけで大きさを見ても普通の家の倍。

 それほどの大きさの家を建てるのは一般家庭には恐らく不可能。

 相当な金持ちがこの家を建てていることは恐らく間違いないだろう。

 そんなことを考えながら竜は家の中へと入っていった。

 

 

「たぁだいまぁ~・・・・・・っと。まぁ、誰がいるわけでもないんだがな」

 

 

 どこか気の抜けた言い方で帰宅の言葉を言いながら竜は靴を脱ぐ。

 竜の両親は父親の転勤で揃って離れた地にいる。

 そのため家に誰かがいることは基本的にはなく。

 たまに様子見で母親が帰ってくるくらいなのだ。

 靴を脱ぎ、リビングに竜は移動する。

 とはいっても晩御飯は茜のところで食べたので、とくになにかを食べたりするつもりはないのだが。

 

 

「わぁ」

「ッ?!・・・・・・・・・・・・は?」

 

 

 聞こえてきた自分以外の声に竜は驚き、慌てて声の聞こえてきた方を見る。

 そこにあったのはなんの(●●●)変哲も(●●●)ないよう(●●●●)に見える(●●●●)1輪の花だった。

 いや、あったというのは正しくはないだろう。

 正確にいえば、テーブルの上に咲いていた(●●●●●)というのが正しい表現だった。

 

 

「なんだ・・・・・・?この花・・・・・・」

 

 

 テーブルの上に咲いている花に警戒をしながら竜は近づいていく。

 今朝の時点でテーブルの上にこのような花が咲いていなかったことは確かなので、昼間か夕方の内に咲いたということで間違いはないだろう。

 

 

「わぁ!」

「しゃ、喋った?!」

 

 

 竜が近づいたことが分かったのか、テーブルの上の花は竜の方に花びらを向ける。

 そして花が竜の方を向いたと同時に先程も聞こえた声が聞こえてきた。

 声が聞こえてきたのは間違いなく花から。

 しかも竜の声に反応するかのように花の部分を揺らしている。

 

 

「わぁ、わわぁ!」

「害は・・・・・・なさそう、か?」

 

 

 今のところ花の反応は竜の声に反応して揺れることと鳴き声?らしきものを発すること。

 とくに害らしい反応も見られていない。

 テーブルの上の花に恐る恐る手を伸ばし、花びらに触れてみた。

 触れた感触は普通の花だが、普通の花よりも丈夫なように感じられる。

 

 

「わぁ、わぁ」

「・・・・・・喜んでるみたい、だな」

 

 

 嬉しそうな声が花から聞こえてきたことに、竜は少しだけホッとして息を吐いた。

 テーブルの上に咲いていることに目を瞑れば害もとくにはない花。

 まぁ、そもそもが超常的過ぎるので考えても仕方がないと思ってしまったというのもあるのだが。

 

 

「近くに水を置いておけば大丈夫か?」

「わぁ!」

 

 

 花であるということは水が必要なはず。

 しかし、テーブルに直接咲いているので普通に水を与えてはテーブルが水浸しになって終わりになってしまう。

 これでは意味がないのでどうしたものかと竜は花びらを優しく触りながら呟く。

 竜の呟きが聞こえたのか、花は肯定するように揺れながら声を発するのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

誰のヤンデレが読みたいですか? その16

  • 佐藤ささら
  • 鈴木つづみ
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