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竜、ゆかり、マキの3人は話しながら教室に入った。
話の内容はマキの買うモンスターハンターワールドだった。
ちなみに竜はまだゆかりから香水を借りておらず、あかり草の香りがいまだにしている。
「やっぱ新しく武器を作るときには下位のモンスターも狩らないといけないからちょっとめんどいんだよな」
「多めに素材を集めておかないからそうなるんですよ。私は常に素材は20は貯めておいてますから」
「素材集めかぁ。やっぱり大変なの?」
「マスター武器なら数十秒で終わる」
「攻撃で怯みまくるから即殺ですね」
「モンスターさん可哀想・・・・・・」
無慈悲な竜とゆかりの言葉。
装備さえ整えば下位のモンスターは基本的には相手にならないのは当然のこと。
無情に狩られる下位のモンスターたちにマキは同情するのだった。
といっても実際に下位からやると下位の頃に何度も殺されたりするので、可哀想とすら思わなくなるのだが。
「モンハンの世界は弱肉強食。仕方がないね」
「ある程度の防具さえ組めれば死ににくくなりますから。どんどん狩っていくのは当然ですね」
モンスターに同情するマキに竜とゆかりは肩をすくめながら言うのだった。
3人が話していると、茜と葵が教室に入ってきた。
「おはようやでー!」
茜の元気な声に教室内にいたクラスメイトたちが返事を返していく。
いつもの朝の光景に3人も茜たちの方を見る。
竜たちに気がついた葵は、クラスメイトたちに挨拶をする茜から離れて竜たちの方に向かう。
「おはよう、ゆかりさん、マキさん。りょ、竜くんも・・・・・・お、おは、おはよう・・・・・・」
「おはようございます、葵さん」
「おはよー、葵ちゃん。竜くん、なんかあったの?」
「おはよう。まぁ、ちょっとな」
竜への挨拶にややぎこちなさを出しながら葵は挨拶をする。
ぎこちない葵の姿にマキは首をかしげた。
マキの言葉に竜は曖昧に笑って答えることしかできなかった。
そしてクラスメイトへの挨拶を終えた茜も竜たちのもとにやって来た。
「おはようや!・・・・・・・・・・・・ん?」
「おはようございます。茜さん」
「おはよー、茜ちゃん」
「おはよう。今日も元気だな」
「どうしたの?お姉ちゃん。・・・・・・・・・・・・え?」
元気に挨拶をする茜に竜たちは同じように挨拶を返す。
竜たちの近くに来た茜はスンスンと鼻をならす。
そしてなにも言わずに鼻をならしながら竜へと近づいた。
茜の行動に葵も同じように鼻をならし、不思議そうに竜に近づく。
「・・・・・・なぁ、竜。なんや変わった香りがするんやけど」
「ホントだ。竜くん、これ、なんの香り?」
「マジで気づくのな・・・・・・」
茜と葵の言葉に竜はひきつった表情を浮かべながら呟く。
ゆかりの言った通り本当に自身の香りに気がついたことに竜は驚いていた。
「まぁ、ゆかりには登校してるときに話したんだが。昨日、家に帰ってから花に会ってな」
「花に・・・・・・」
「会った・・・・・・?」
「竜くん、花は咲いているものだよ?」
登校中にゆかりにも説明した昨日の出来事を竜は3人に説明する。
竜の言葉に最初に説明を受けたゆかりのような反応を3人はした。
そんな3人の様子にゆかりは既視感を感じて笑っていた。
「と言われてもなぁ。俺も家に帰ったらあかり草がテーブルの上に咲いていたわけだし」
「ちょい待ちぃ」
「ちょっと待って」
「待ってください」
竜の言葉に茜たちだけではなくゆかりも反応する。
しかしそれも仕方がないことだろう。
ちょっかいをかけて咥え込まれたとは聞いていたが、家の中にいたとは聞いていないのだから。
「なんや、あかり草って?!テーブルの上に咲いていたってどういうことなんや?!」
「まるで意味が分からないよ?!」
「家の中にいたとは聞いてませんよ?!」
興奮した様子で3人は竜に詰め寄る。
そんな3人の様子にマキは何となく察した表情で苦笑するのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ