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茜、葵、ゆかりの3人に詰め寄られ、竜は困惑した表情を浮かべる。
あかり草が家のテーブルの上に咲いていただけなのになぜここまで詰め寄ってくるのか。
詰め寄ってくる3人を軽く押し返して距離を作り、竜は一息をついた。
「あかり草はあかり草だよ。しゃべって移動することができる花」
「もっと意味が分からんのやけど?!」
「あ・・・・・・、もしかして・・・・・・」
「あ、葵さんは気づきましたか?」
竜の答えに茜は吠える。
吠える茜の隣で葵がなにかに気づいたのか小さく呟く。
葵の呟きが聞こえたのか、ゆかりは葵を見た。
「うん、昨日の子と同じ名前だから・・・・・・」
「やっぱり、そういうことですよね?」
ゆかりの言葉に葵は頷く。
昨日会った後輩、紲星あかりと竜の家に咲いていたというあかり草。
名前が同じだということに加えて普通の花とは違う特徴。
それらのことからなにか関連があるだろうとゆかりと葵は考えていた。
「なんにしても俺は家に帰ったらテーブルの上にあかり草が咲いていただけだから、俺もよく分らないんだよ」
「そうなんか・・・・・・」
竜の言葉に茜はしぶしぶ納得したようで、少しだけ落ち着いていた。
これに関しては竜自身も詳しいことが分からないので、本当に説明の使用もないのだ。
「まぁ、あかり草についてはええわ。んで、竜からしてくる香りとあかり草にどんな関係があるんや?」
「あ、そうだったね。あかり草っていうインパクトで忘れるところだったよ」
「つっても俺があかり草にちょっかいかけて頭を咥え込まれたってだけなんだがな」
あかり草についての疑問は一旦置いておくことにして、茜は改めて竜からしてくる香りとあかり草の関係を尋ねる。
茜の言葉に竜は軽く頭を掻いて答えた。
「それで竜からあかり草の香りがしてくるっちゅうことか・・・・・・」
「この香りがあかり草の香りなんだ・・・・・・」
竜についている香りの正体が分かり、茜と葵は顔をしかめた。
そんな2人の様子にマキは苦笑する。
「だから竜くん、その香りは気になってしまうんですよ。ですので私の香水で塗り替えましょう」
「待ちぃや、それは見逃せんで!竜、うちの香水でどうや!」
「あ、2人の香水を使うのが気が引けるならボクのはどう、かな?」
ゆかりは取り出していた香水の入った小瓶を竜に差し出しながら言う。
ゆかりの行動に茜も慌てて自分の持っているお気に入りの香水を取り出して竜に差し出す。
茜に少し遅れて葵も自身のお気に入りの香水を取り出して竜に差し出した。
3人に香水を差し出され、竜は困った表情を浮べる。
「さぁ、誰の香水をつけますか?」
「全部をつけることはできへんで」
「つけすぎると変な香りになっちゃうからね」
「え、えっと・・・・・・」
三種類の香水を混ぜてしまえばどんなものでもいい香りではなくなってしまう。
そのために竜はゆかり、茜、葵の誰かの香水を選ばなければならなかった。
といってもそれしか選択肢がないわけではなく。
誰の香水も借りない。
マキも持ってきているであろう香水を借りる。
などの選択肢もあった。
「なにをやっているんだ?」
「あ、アイ先生。竜くんについている香りが気になるらしくてゆかりんたちが・・・・・・」
不意に教室に入ってきたアイ先生が竜たちの様子に気がついて声をかける。
いつの間にか教師が教室に来る時間になっていたことにマキは驚きつつ、簡単に状況を説明する。
「公住の?・・・・・・なるほど、この香りか」
マキの説明にアイ先生は鼻をならして竜からしてくる香りに気づいた。
竜の香りを理解したアイ先生は小さな缶をポケットから取り出す。
「公住、こっちを向け」
「はい?うわっぷ?!?!」
アイ先生は竜を呼び、頭に向けて缶の中身を吹きかけた。
突然の事態に竜は驚き、思いきり転倒する。
アイ先生の行動にゆかりたちは驚き、手に持っていた香水の小瓶を落としそうになった。
「あ、アイ先生・・・・・・?」
「まったく・・・・・・、公住、消臭スプレーくらいは持ち歩いておけ」
驚いて転倒したまま固まる竜に、アイ先生は小さく息を吐いて教卓に向かうのだった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
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佐藤ささら
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鈴木つづみ