・
アイ先生による消臭スプレーによって竜からあかり草の香りも消え、何事もなく学校での授業も終わった放課後。
ゆかりとマキは一緒にマキのモンスターハンターワールドとアイスボーンを買いにゲーム屋に。
茜と葵は教室でアイ先生に捕まって手伝いに。
そして竜はとくに予定もないために1人で帰路についていた。
「ムフェト一式に皇金武器。カイザー3部位にテンタクルγ2部位・・・・・・、切れ味的に快適なのはカイザーの方なんだよなぁ」
モンハンでの防具の組み合わせを思考しながら竜は歩く。
ちなみに、ムフェト一式とはムフェトジーヴァを倒して作る防具、EX龍紋と呼ばれる防具のことを指しており、カイザーはテオテスカトルの、テンタクルγは歴戦王ネロミェールの防具のことを指している。
どれも強力な防具だが作るのに少々骨が折れ、一番簡単なものですらテオテスカトルという古龍を狩らなければならないのだ。
なお、慣れてしまえばアッサリと狩れてしまうので結局はプレーヤースキルに依存するのだが。
「あ、そうだ。プレイステーションストアにチャージしとかないと」
ふと、竜はもうすぐプレイステーションプラスの期限が切れることを思い出す。
プレイステーションプラスはオンラインでゲームをするために必須のもので、可能であるなら12ヶ月分を一気に更新した方がお得である。
ついでにゲームを見るために竜はゲーム屋に向かうことに決めた。
これならばゆかりたちと一緒に学校からゲーム屋に向かっても良かったかもしれないが、時すでに遅し。
竜はそのままゲーム屋に向かうのだった。
◇ ◇ ◇
ゲーム屋に到着し、竜は最初にプレイステーションストアカードを手に取る。
あとから金額不足になっては困るので、取ったのは一番高い金額の10000円のものだ。
「狩~るんご、狩るんご~。いろんなモンスターを狩るんご~、暴れるモンスターを狩るんご~、いっぱい狩るんご~」
頭に残っている不思議なリズムに勝手に歌詞をつけながら竜はゲーム屋の中を歩く。
歌詞の内容がどう考えても不穏だが、歌詞的にモンハンに関連した内容の歌なのだろう。
「とくに気になるものは、・・・・・・お」
ゲーム屋の中を歩いて置いてあるゲームを見ていくと、竜は1つのゲームの前で立ち止まった。
そのゲームは動画で実況されているのをよく見るもので、竜も興味があったものだった。
「中古品か。でもプロダクトコード付きなんだな」
中古品のプロダクトコード。
これは基本的にはないものと同じで入力しても使えないものがほとんどだ。
まぁ、中には使えるものもあるのでギャンブルとして買ってみるのもありかもしれない。
「たしかダウンロードで買うにはクレジットカードが必要だったか・・・・・・」
竜の見ているゲームはCEROZ、つまりは年齢制限で18歳以上が対象なので普通にプレイステーションストアからダウンロードで購入することはできない。
そのため確実にプレイするのならばここで購入した方がいいのだ。
「・・・・・・買うか」
竜は少しだけ考え、そのゲームを買うことに決めた。
プレイステーションストアカードの金額だけで10000円。
さらにゲームの値段でおおよそ5000円。
これだけでもかなり痛い出費だが、使わずに貯めていた貯金があったのでギリギリ致命傷で済んだと言えるだろう。
「・・・・・・葵は絶対にやりたがらないだろうな」
手に持つゲームソフトを見ながら竜は小さく笑みを浮かべる。
竜の買おうとしているゲームはホラー系のゲームで、敵から逃げてクリア条件を満たさなければならないという内容のゲームである。
しかもプレイヤーは敵に対して攻撃する手段がなく。
本当に逃げることしかできないゲームなのだ。
竜が手に取ったゲーム、そのタイトルは“DEAD BY DAYLIGHT”だった。
誰のヤンデレが読みたいですか? その16
-
佐藤ささら
-
鈴木つづみ