あなたの世界は何色か ~元ブラック鎮守府でおきた奇跡の物語~ 作:トミザワ
9月5日 手直し終了
「こ、ここは?」
目が覚めると見知らぬ天井が広がっていた。どうやらあの爆撃から生き残ったらしい。手や足の感覚もあるので欠損とかもなさそうだ。ただ、左足が固定されているようなので骨折はしてるみたいだ。
「うぐっ!?」
体を起こそうとすると腹部に痛みが走る、肋骨も何本か折れているようだ。
「まだ起き上がらない方がいいですよ。」
「うわ!?」
突然、話しかけられたため驚いてしまった。
「えっと…君は」
「正規空母の蒼龍です。」
よく見るとあの黄色い女の隣にいた緑色の和服を来た女性じゃないか
「そうか…。一体ここはどこなんだ?」
まぁ何となく病院らしきとこではあるが…。
「鎮守府の中にある医務室です。」
「ここまで俺を運んできたのか?」
どうやら会話した限りでは、あまり敵意はなさそうだ。
「はい。本当は病院に行こうとしたのですが、飛龍たちに見つかりそうだったので…。申し訳ありません…。」
おそらく黄色い和服の女性は飛龍と言うのだろう。確かに彼女の言うように蒼龍が俺を病院に運んでるのを彼女が見かけたら確実に俺を殺すだろう。それどころか俺を運んでくれた蒼龍も危険だ。
そして蒼龍は飛龍たちと言った。おそらく彼女以外にも俺を殺そうと企てている艦娘がいると言うことか…。
「今の時間ってわかるか?」
「ちょうどヒトゴーマルマルです。」
15時か…。
「晩御飯は何時なんだ?」
「ヒトナナマルマルからヒトハチマルマルまでです。」
晩御飯まで2時間しかないのか…。どうにか今日中に食事改善と入渠ドックの復旧はしたいところだ…。
「ちょっと!?どこ行くつもりなんですか!?」
俺は痛みに耐えながらベッドから出て松葉杖を持つ。それを見た蒼龍は俺を止めようとする。
「執務室に行く。」
「無茶ですよ!その体で…」
俺は痛みに耐えながら執務室へ急ぐ。食事改善とは言ったものの、そもそも爆撃により執務室がめちゃくちゃになってるかもしれない…。
「はぁ…はぁ…」
廊下の角を曲がり、執務室の扉を開ける。
「なっ!?」
驚くことに実務室は何事もなかったようにキレイな状態であった。あんなに機銃掃射や爆撃をくらってるのにも関わらず、弾痕や割れていた窓ガラスもキレイになっていた。
「アッ!テイトク!」
「ナオシテオイタヨ!」
「ハイ!ショルイ!」
するとあちこちから妖精さんたちが出てくる。まさか直したのか?これから妖精さんじゃなくて妖精様と呼ぼうと決意した。
「ありがとう。」
俺は妖精にお礼を言い、書類に目を通す。そこには今まで艦娘に与えていた食事について記載されていた。
「なんだよ…これ。」
思わず口に出してしまうほどの状態だった。彼女たちに食事として与えていたものは食べ物と言うよりかは燃料や弾薬。もはや食事と言うよりかは補給に近いだろう。
「何これ…。これって…妖精さん?」
「うお!?」
突然後ろから声が聞こえたため驚いてしまう。そのいつの間にか後ろにいるのやめてくれ。
「なんで…こんなところに妖精が…。」
蒼龍は妖精の存在に驚いているようだ。どこの鎮守府にも妖精っているんじゃないのか?まぁそんなことはどうでもいい。それより早く彼女たちの食事を改善しなければ。
「なぁ蒼龍。ここの食事担当は誰が担当してるんだ?」
「えっ…間宮さんと鳳翔さんだけど…。」
「その二人はどこにいる」
「…食堂」
「わかった。」
俺は食堂に行こうとする。
「待って!」
しかし、蒼龍は俺の腕を掴み止めようとする。
「安心しろ。話に行くだけだ。何もしない。」
「違う!提督がそういう人じゃないのはわかってる!」
一体何を根拠に彼女はそう言うのだろうか?人間は自分の利益のために誰かを裏切ろうとする。前任も俺も結局は自分が一番かわいいのだ。それを彼女が一番知っているはず。
「じゃあなぜ止めた?」
「食堂になんて行ったら、道中他の艦娘に会うかもしれないんだよ!?それなら放送で呼び出した方がいいよ!」
「放送?」
そんなものあったのか…知らなかった…。
「う、うん。あの机のマイクで呼び出せるよ。」
「そうか。助かる」
俺はマイクのスイッチを押そうとする。
「……」
「どうしたの?そのボタンであってるよ」
「やっぱり食堂に行って直接会いに行くわ。」
よくよく考えたら、今の状態で呼び出しても来るわけがない。
「駄目だよ!」
蒼龍は俺を必死に止める。
「あと蒼龍、お前も自室に戻れ」
「えっ?」
「さすがに一緒にずっといるのは危険だ。飛龍たちに怪しまれるぞ。」
「そ、そうだね。じゃあ提督。気をつけて」
そう言い、蒼龍は部屋から出ようとする。
「あと最後にこれだけ言わせて。」
「なんだ?」
「ありがとう。」
そう言って蒼龍は執務室を後にした。ありがとうか…。
「礼を言うのはこっちだ。」
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鎮守府 食堂
道中他の艦娘に会わなかったのはラッキーだった。問題ら例の二人がどう出るかだな…。殺意むき出しだったらもう終わり。
「すいませーん。」
俺は食堂の厨房に入り、声をかける。
「ヒッ!て、提督…。」
厨房の女性は俺を見た途端に悲鳴をあげる。その悲鳴をあげるのやめてくれ…。地味に傷つく。
「えっと…間宮さんですか?」
思わず敬語使ってしまった…。
「は、はい!そうです!」
「えっと…鳳翔さんの方は?」
「ち、厨房の奥にいます。」
嘘だな。間宮さんの目は泳ぎまくっていた。
「じゃあ呼んできてもらえます?」
「え、えっと用件なら私がき、聞きますよ」
これは確定だな。警備兵をやっているとこういうのはわかってしまう。
「嘘ですよね?」
「ウッ…グスッ」
まさかの泣いてしまった…。他の艦娘に見られたらまずい。俺が泣かしたみたいになってしまう。実際泣かしたの俺だが…。
「ご、ごめんなざい…。」
間宮さんは泣きながら謝る。
「はぁ...鳳翔さんはどこへ行ったんですか?」
「グスッ…買い物に行きました…。せめて駆逐艦の子にでも食べさせたいって…。」
「お金はどうしたんですか?」
「グスッ…提督の金庫から盗みとりました…。ごめんなざい…。」
気がつかなかった...。
「状況はわかりました。今回の件は不問とします。もとから食費として渡すつもりでしたし」
そもそも金庫の金は俺の金じゃない。何の問題もない。それに俺に爆撃をしたどこぞの正規空母に比べたら小さなもんだ。
「ほ、本当にいいんですか?」
「もちろんです。あと本来渡そうとした食費です。」
俺はもとから渡すつもりだった食費を渡す。盗んだと言ってもそこまでの大金ではないはずだ。
「しっかりとした額は大本営の経理と話し合うので決まりしだいお伝えします。今渡した分だと1ヶ月はもつと思います。」
「ほ、本当にありがどうございます。グスッ」
間宮さんは泣きながらお礼を言う。
「大本営に報告書を提出しなければならないので17時ごろにまた来ます。」
俺はそう言い、食堂をあとにした。
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蒼龍side
あのあと自室に戻り、飛龍に問い詰められたが、どうにかうまくごまかせることができた。どうやら飛龍の中で提督はもう殺したと思ってるらしい…。
「そろそろ補給の時間だ。蒼龍行こ?」
「うん。」
私は飛龍と共に食堂を目指す。
「うん?」
食堂に近づくにつれてある異変に気づく。
「これ何の匂い?」
どうやら飛龍も気がついたらしい。なんと言えばいいのだろうか…。ただ、いい匂いなのは確かである。
「何これ…。」
食堂に着くとテーブルにあるものがおいてあった。私、知ってるこれ。
「カレーだ。」
「カレー?」
飛龍は不思議そうに聞いてくる。それもそうだ。私も実在するとは思ってもいなかった。ただ、噂で他の鎮守府では毎週金曜日に出されるとは聞いていた。本当にあったんだ…。
「これって食べていいものなの?」
「いいんじゃないの?」
他の艦娘も初めての食事に戸惑っているようだ…。
「じゃあいただきます。」
私はそう言い、カレーを口に運ぶ。
「いただきます?」
飛龍はまたもや不思議そうな顔をする。
「食べる前の挨拶?みたいなものらしいよ」
私はカレーを口に入れる。へぇ~カレーってこんな味だったんだ。
「美味じいよぉ」
中には泣きながら食べている子もいた。
「アハハ…みんな泣きながら食べてる。変なの」
「そういう蒼龍だって泣いてるじゃん。」
「えっ…あっ…」
飛龍に言われ初めて自分も泣いていることに気がついた。
「アハハ、変な蒼龍。」
そんな私を飛龍は笑う。だけど飛龍も泣いていた。
「飛龍もだよ。」
「えっ…あれ?」
「「プッ…アハハハハハ!」」
私たちは泣きながら笑う。きっとこれを幸せと言うのだろう。
「......」
提督の周りにはたくさんの妖精さんたちがいた。妖精さんは良い人にしか集まらない。それどころか良い人にしか見えないだろう。
「…?突然黙ってどうしたの?」
「ううん。何でもないよ。」
提督のこと信じてもいいのかな?
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池田信也side
さて、報告書を書くために食堂に来たのはいいのだが…。正直入りにくい…。入ったら気まずい雰囲気が流れるか、艦娘たちにボコボコにされるかのどちらかだろう。個人的にはこっそり覗きたいものだが…。
「よし…。」
俺は意を決して松葉杖を床に置き、ほふく前進しながら食堂の中に入る。目の前に机があるので、それを遮蔽にして覗きこむ。
「美味しいよぉ…。」
艦娘たちは泣きながらカレーを食べている。泣くほど美味しいのか…。まぁそりゃあんなドロドロの燃料を今まで食ってたらそうなるか。
そして報告書のために覗きに来たが、わざわざ食堂まで見に行く必要はなかったと気づく。
それどころかむしろ今この状態を見られた方がヤバい気がする。伏せながら机の横から覗きこんでいるって誰がどうみても変質者だ。
もし見つかったボコボコどころじゃすまない。普通にぶっ殺される…。
「うっ……くっ……。」
しかし痛くて起き上がれない。どうするんだ…。ほふく前進で執務室まで戻るか?でも以外にほふくでもかなりの痛みを伴う
とりあえずここにいてはまずい…。誰かにばれる前に…。
「何をしてるんですか……。」
あっ…終わった。振り替えるとそこには銀髪姿の少女が立っていた。見た感じだと駆逐艦の子らしい?
「えっ...いや、皆さんの姿が見たいと思って」
駄目だ…。よりによって最悪な回答をしてしまった。
「はぁ…もういいです。邪魔なんで退いてください。」
彼女は深くため息をついたあと、まるでゴキブリを見るかのような目で言ってきた。
「すまない」
もうここは素直に戻ろう。殺されないだけありがたいと思った方が良い
「くっ…」
しかし、痛くて立てない。もはや体力の限界か…。補助さえいてくれればだいぶ楽なんだが…。
「何をやってるんですか…。早くどいてください。」
駄目だ。言い方悪いがこの銀髪使えねぇ…。もとから助けてくれるとは思わなかったが、はやくどいてくださいってギブスついてんの見えないのか!
「ふん!…くっ!」
あともう少しで立てそうなのに立てない!
「あ、あの手伝いましょうか?」
声のする方を向くと、金髪の少女が心配そうな顔でこちらを見ていた。銀髪の子と制服が似ているから恐らく姉妹艦ってやつだろう
「…そんなのほっとけばいいよ舞風」
「で、でも……」
「いいから…行こう」
「う、うん。提督ごめんなさい…。」
彼女はそう言って、行ってしまった。どうするんだこれ?
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執務室
「痛てて…」
結局あの後、自力で立ち上がることができた。
大人しく安静にしとけば良かったと今さら後悔している。
「とりあえず食事はOKっと…」
さて、あとは入渠ドックの修理か…。だがその前に重大な問題が発生してしまった。
俺の食べるご飯がない。
続く
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