あなたの世界は何色か ~元ブラック鎮守府でおきた奇跡の物語~ 作:トミザワ
最近、新型コロナウィルスが流行してますね…。
みなさんもお体には気をつけてくださいね。
さて、どうしたものか…。もちろん食堂で食わせて貰えるとは最初から考えてなかったが、まさか初日でケガをするとは思わなかった…。これでは買いに行くことも不可能だろう。
「テイトクゴハンナイノ?」
妖精さんが心配そうに話かけてくる。
「残念ながらな。」
「イイコトオシエテアゲル」
妖精はそう言うと、壁に貼られている大きな戦略地図を指差す。
「コレ。ハガシテ」
「わかった。」
俺は妖精さんに言われた通り戦略地図をはがす。
「これは…」
戦略地図を剥がすとそこに一枚の扉が現れた。いわゆる隠し扉ってやつだ。
「…入っていいのか?」
「イイデスヨ」
妖精さんに許可をもらい、恐る恐る扉を開ける。
「なんだこれ…。」
そこにはテレビ、冷蔵庫、ガスコンロなどの様々な電化製品や娯楽用品などがあった。執務室の隣にある提督の私室とは違う自分用の部屋を作ったのだろう。恐らく資金の横領や不祥事がバレないようにわざわざ作ったんだ。
しかも冷蔵庫や棚に缶詰が入ってることから憲兵はこの部屋の事を知ってない。
「艦娘はこの部屋の存在を知っているのか?」
「シラナイヨ。シッテルノハワタシタチダケ」
あんまり汚職のために使われた部屋を利用するのは気が引けるが、仕方がない。俺にとって唯一この鎮守府内でここが安全とだと思われる。窓もないから機銃掃射や爆撃を食らうこともないだろう。
しばらくはここで寝泊まりをしよう。
「妖精さんにお願いなんだが、しばらくは秘密にしてくれないか?」
俺のお願いに妖精さんたちは頷く。
「さて、後は入渠ドックか…」
出来れば今日中に修理したい所だが、何せ入渠ドッグは本庁舎ではなく艦娘寮にあるらしい。この状態では不可能だろう。仮にたどり着いたとしても高確率で艦娘に会うだろう。
「ナオシテコヨウカ?」
妖精さんが言う。直せるのか?と疑問に思ったが、そういえば執務室直してたな。
「どれくらいかかる」
「ジョウタイガヒドイカラサンジカングライ」
「3時間か…。まぁとりあえず修理をお願いしたい」
「ワカッタ」
そう言って一部の妖精さんたちは隠し部屋から出ていった。
「さて…」
俺は部屋の端にある棚を開ける。そこには大量の缶詰やインスタント食品、水があった。
「どれも保存がきく食べ物ばかりだな」
おそらく上に汚職の事がバレた場合ここに潜伏する予定だったのだろう。
とりあえず食料、水、安全地帯は確保できた。
「あとは艦娘の管理か…。」
どうやら前任はかなり大破進撃をしていたそうで、轟沈または行方不明の艦娘も少なくないそうだ。
俺は大本営から貰った資料を見る。と言ってもこの資料は日本全国にいる艦娘の情報が載ってる資料なだけであってこの鎮守府に所属する艦娘の書類はないらしい。つまり俺はこの膨大な資料の中から第2鎮守府艦娘を探さなければならない。
そして大本営の話によると轟沈、行方不明によって詳しい数が把握できてないようだ。この内から何人がうちの鎮守府所属すらもわからないってことだ。
「まぁ今日出会った艦娘ぐらい覚えておくか…。」
ふむふむ…。俺に爆撃及び暴行をくわえた黄色いバカが飛龍か…でもう片方が蒼龍ね。あと俺をゴキブリを見るかのような目で見てきたのが野分でその姉妹艦があの金髪か…。舞風ね多分覚えた。
で俺と衝突したのが萩風か…。
とりあえず危険なのは飛龍かな。直接何かしてくる訳じゃないけど、確実に嫌ってるのは野分。そして一応協力的なのが蒼龍、舞風かな?まぁ初日だから信用はしていない。
そして一番問題なのが萩風だ。あくまで憶測だが、言動を見た限りまともではなさそうだ。
間宮さんと鳳翔さんは不明
「提督~?」
「!?」
考えてる矢先、隣の執務室から声が聞こえた。とりあえず隠し扉は妖精さんに隠してもらったから大丈夫だろう。
声からしておそらく蒼龍だろう。
「デナクテイイノ?」
「相手が蒼龍であろうと油断しちゃ駄目だ。後に裏切る可能性もある。ここがバレたら一貫の終わりだ」
「提督?いないの?」
俺は隠し部屋でバレないよう息を殺す。
「…チッ。」
しばらくすると舌打ちのような音が聞こえた。
「次は確実に殺してやる」
そう聞こえたあと部屋を出た音がした。
次は確実に殺してやるってことは声の主は蒼龍ではなく飛龍だろう。もし蒼龍だと思って出ていたら…。考えるだけで寒気がする…。初日にして帰りたいと思った。
「コワイヨ…。」
さすがの妖精もこれにはビビってるみたいだ。
だがビビってる暇など無い。飛龍がここに来たと言うことすなわち俺が生きてることがわかってしまったと言うわけだ。まぁ提督を爆撃して殺した後、夜飯にカレーが出てくる時点で少し不審ではあるのだが…まさか数時間でバレるとは…。
それと蒼龍の安否も心配だ。もし蒼龍が俺を助けたとアイツに知られればきっとタダではすまされないだろう。
「妖精さん。頼みがある」
俺は妖精さんの一人にお願いする。
「蒼龍のところに行って執務室に来いと伝えてきてくれ。ちなみに合言葉を決める。池と田んぼだ。他の艦娘が近くにいたら無理して伝えなくていい」
「リョーカイ!」
妖精さんはそう言って彼女のもとへ向かった。
しばらく待つと、コンコンとノックの音が聞こえた。
「池」
「田んぼ」
どうやら相手は蒼龍のようだ。
「入れ」
蒼龍はそっと扉を開け入ってくる。
「飛龍たちに何かされたか?」
目立った外傷はないから暴行はされてなさそうだが…
「問い詰められたりはしたよ」
まぁそりゃ怪しむよな。
「なんて答えたんだ?」
「何もしてないし、何も知らないよって答えておいたよ。」
まぁ無難な答え方だな。言い過ぎると口を滑らせる可能性もあるしね
「そしたらなんて?」
「わかったって…。」
「なるほど。とりあえずお前も飛龍には注意しとけ。あまり信用されてないぞ。」
「えっ?」
もし、飛龍が蒼龍の言ってることを信用していたら蒼龍の声マネをするわけがない。蒼龍の声マネをすると言うことは飛龍が蒼龍と俺が繋がってると思ってるということだ。
「さっき飛龍がお前の声マネをして殺しに来た。」
「あ~やっぱりそっちに行ったか~」
どうやら心あたりがあるらしい。
「廊下でたくさんの妖精さんとすれ違ってね…。それを見た瞬間、問い詰められて執務室の方に向かったから…まさかとは思ったんだけど…。」
たくさんの妖精さんか...。おそらく入渠ドックの修理に行った妖精さんを見て生きてると確信したのだろう。タイミングが悪かったな…。
「じゃあバレたのは…」
「多分妖精さんを見てだと思う。」
「とりあえず蒼龍には今知ってる事をすべて話してもらいたい。」
「そうだね。でもここで話すのは危なくない?他の艦娘に聞かれたらまずいよ?」
「そうだな…。何かいい場所があればいいのだが…。」
「私知ってるよ」
そう言って蒼龍は作戦地図が貼られている壁に向かう。ん?ちょっと待って?
蒼龍は作戦地図の端を持つと、下に向かって剥がし始めた。
「お前知ってたのかよ...」
「うん。私しか知らないけどね。とりあえず中入ろ?」
俺と蒼龍は隠し部屋の中に入る
「話したいことはたくさんあるけど、とりあえず提督ケガしてる方の足出して?」
「はい?」
足出してってどういうことだ?何するつもだ?まさか足をへし折ったりするんじゃあ...。
「いいから!」
俺は蒼龍に言われた通り、左足を見せる。
「じゃあギプス取るね。」
そう言って蒼龍はカッターを手にとる。
「待て待て待て」
「どうしたの?」
『どうしたの?』ってギプスって治ってから取るものじゃないのか?
「ギプスって治ってからじゃないか?まだケガしてから1日も経ってないぞ。」
「だって見ないと骨折かどうかわからないじゃん。」
「お前もしかして…。骨折かどうかもわからないのにギプス付けたのか?」
「ほ、ほらもし骨折だったら大変じゃん?だから念には念をと思って…。」
うん。とりあえずコイツに治療させちゃだめだ。
「妖精さん!」
「ナンデスカ?」
「妖精さんって治療とか医療って出来るの?」
「デキマスヨ」
修理どころか医療まで出来るとは…どんだけ有能なんだよ...
「じゃあお願いがある。蒼龍と交代な。」
「なんでよ!」
蒼龍は不満そうに言う。
「じゃあ聞くが、お前医療の資格持ってるか?」
「…持ってません…。」
「だろ?じゃあわかるよな?」
「…はい」
「ギプストリマスネ。」
その後妖精さんの診断によると足首の骨にヒビが入ってるらしい。歩けるまで3週間かかるそうだ。
「キズグチノショウドクモシテオキマス」
「私がやる!傷口の消毒ぐらいできるもん!」
不安しかない。なんなら傷口開けさせて出血させそう。
「なぁ蒼龍」
「なに?」
蒼龍は包帯を剥がし、ガーゼを傷口に当てる。
「お前飛龍とは仲が良いんだろ?」
「うん。同じ2航戦だからね姉妹みたいなものだよ。」
「姉妹じゃないのか?」
「う~ん。実際は違うかな?」
てっきり姉妹だと思ってた。
「で飛龍についてでしょ?」
「ああ。他にも俺を殺そうとしてる艦娘がいるんだろ?」
「うん。私も全員知ってる訳ではないけど案外駆逐艦とか軽巡の子もいるとは聞いたことがあるよ。」
かなりの数いるんだな...。ただ襲撃してきたのが飛龍だけというのが気になるな...。統制が取れてないのか、何か計画があるのか...。どちらにせよ油断は出来ない
「そういえばこの鎮守府には何人の艦娘がいるんだ?大本営は把握出来てないようだが…。」
「私にもわからないよ。轟沈しちゃったり行方不明の子もいるから…。ただ50人以上はいると思うよ」
確かに前線部隊とは聞いていたが…。だが一つ疑問がある。
「でも食堂には20人ぐらいしかいなかったぞ」
50人以上いたらさすがに覗いてるときに見つかってるはずだ。実際見つかったが…。
「ケガで部屋の外に出れない子とか引きこもってる子もいるからね…。その子たちの食事は私たちで運んでいるよ。」
なるほど…。入渠ドックの修理を急いで良かった…。
「状況はわかった。入渠ドックについては後三時間ほどで修理が終わるはずだ。終わったら妖精さんを通じて連絡させるが、蒼龍からも伝えてもらえるか?」
「放送で伝えないの?」
「放送で伝えたら飛龍たちにバレて殺されるだけだ。」
「それもそうだね。」
蒼龍は苦笑いしながら話す
「はい。とりあえず消毒と包帯変えたから。」
「すまない。」
「全然いいよ。で?聞きたいことはまだあるんでしょ?」
「ああ。何故この部屋を知っているんだ?」
いくら蒼龍であろうと、この隠し部屋が知られたのはかなりまずいだろう。
「昔提督に犯された時にねどうやら酔っ払ってたみたいでそのまま部屋に連れ込まれたよ。」
この前任相当バカだな。緊急用の隠し部屋を酔った勢いで艦娘連れ込むって…。
「すまない。話したくなかった事もあるだろうに…」
「全然いいよ。もう犯されることは日常茶飯事だったし」
蒼龍は笑顔なままだった。日常茶飯事か…この人にとって犯される事は日常茶飯事で珍しい事じゃないから話しても構わないってことか…。
「つらくないのか?」
とっさに声に出してしまった。
「うーん…。もう過ぎたことだし今は前を向こうかなって…」
「.....っ!」
『大丈夫だ!前を向いてれば必ず良いことはある!』
いつも笑顔でその言葉を言う父を思い出した
「前を向こう』この言葉を使っていいのは過去を乗り越えた者だけだ。だが、彼女はどうだ?この人は過去を乗り越えてなんていない。むしろ過去を忘れて未来に逃げようとしてるだけだ。
「蒼龍に言っておく、俺は人間が嫌いだ。」
「へ?」
蒼龍は驚いたような顔をする。だが、俺は話続ける。
「自分の利益のためには手段を選ばない。そのためにはすぐ裏切る。優越感に浸り、すぐに傷つける。だから必要以上に会話もしないし関わったりもしない。」
「提督だって人間じゃん」
「そうだな。他の奴からしたらおかしな話かもしれない。だが、嫌いなのは変わらないさ。そしてその中でも特に嫌いなタイプがいる。それは前任のような私利私欲な人間と俺は私は大丈夫だとヘラヘラ笑って強がる奴の二種類だ。見ただけで吐き気がする。」
「……」
蒼龍は黙って聞く。
「因みに今も吐き気がする。」
「な、なんで…?」
蒼龍は困惑する
「お前が俺の最も嫌いなヘラヘラ笑って強がってる奴だからだよ。」
「べ、別に強がってるわけじゃ…」
「強がってるだろ。お前の腕と足にあるその無数のキズややけど跡。今まで気づかなかったがおそらく蹴られたり、根性焼きされたんだろ?それでよく前を向こうなんて言えたな」
「私が何を思おうが提督には関係ないでしょ…。」
蒼龍の声が震え始める
「関係ないな。ちなみに言うと俺は艦娘も嫌いだ。俺関係ないのに暴力は振るってくるし悲鳴はあげられるしな。それに一番腹立ったのがほぼ俺の嫌いな人間そっくりだと言うことだ。上層部にやめてもいいと言われたら喜んで辞めてやる。だからお前が前任にどうされようがお前がどう考えていようと俺には関係ないし、正直どうでもいい。」
「じ、じゃあ…」
「さっきも言っただろ。へらへら笑って強がってる奴が吐き気がするほど嫌いって。そもそも…」
「うるさいな!」
蒼龍は泣きながら声を荒げる。
「私がせっかく前を向こうとしてるのになんなの!?そもそも会って1日も経ってないのにわかったような口きいてさ!助けられたぐらいで仲良くなったと思わないでよ!」
「前を向いて良いのは過去の自分を克服した奴だけだ。お前は克服なんてしてない。むしろ都合よく逃げてるだけだ。」
「もういいよ!」
蒼龍はそう言うと部屋から出ていった。
「アーア」
「オコラセチャッタ~」
「まぁ結局人間も艦娘も変わらないってことだよ。結局どちら都合が良いことしか受け入れられないんだよ」
だが正直まずい状態になった。初日にして自分の考えを押し付けると言う最悪な方法で協力者を失った。
だが、言わずにはいられなかった。
なぜなら
彼女の表情があの時の父にそっくりだったから
続く
いかがでしたでしょうか?深夜に書いてたんで誤字、脱字多めかもです。
感想、評価、アドバイス等ありましたらよろしくお願いいたします。
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