あなたの世界は何色か ~元ブラック鎮守府でおきた奇跡の物語~ 作:トミザワ
誤字脱字報告してくれた方ありがとうございました。
あれから5日たった。あの件以来蒼龍は隠し部屋どころか執務室にも来ていない。もしかしたらもう来ないのかもしれない。
唯一協力的だった艦娘を失った今、もはやどうすることもできない。
「余計なお世話だったな…」
確かにヘラヘラ笑って強がる奴は大嫌いだが、これでは相手の事情も知らずに一方的に自分の価値観を押し付ける自己中ではないか…。
それに....俺の任務はこの鎮守府を復興し、後任の指揮が出来るようにするだけ。過去の出来事については彼女たちがどうするかを決めることであって俺じゃない。
「シュウリオワッタヨ」
「ありがとう」
俺は妖精さんの報告を聞き、リストにチェックをいれる
「とりあえず修理はすべて終わったか?」
「ウン」
とりあえず、最低限の復旧は出来たと言えるだろう。
prrrrr.....
執務室の電話が鳴る。俺は受話器を取り、耳に当てる。
「こちら第2鎮守府です。」
『特殊憲兵隊 隊長の佐々木だ。』
佐々木少尉.....海軍特殊憲兵隊のトップである
「どうも。会話するのは1週間ぶりですね。」
『そうだな。とりあえず生きてて良かったよ。状況はどうだね?』
「食事、入渠ドックはすべて復旧しました。」
『そうか。艦娘とのコミュニケーションはどうだ?』
痛いところを突いてきた。
「残念ながらまったく進展していません。なんなら初日に爆撃をくらい負傷しました。」
『そうか…。妖精さんから伝言で聞いてはいたが、かなり状況はひどいらしいな。』
「はい。」
『残念ながら我々には時間がない。第二鎮守府は深海棲艦との戦いにおける最重要基地だ。そしてそれが今は機能していない。他の鎮守府が代わりにそちらの海域の防衛もしているが、はっきり言ってこのままでは一年持つかどうかもわからない。それに君が過激派をどうにかしない限り、増援は送れない。』
「わかってます。」
『とりあえず君の要望通り、艦娘に関する資料は用意してある。一部資料に関しては届けさせておいた。』
「ありがとうございます。すでに手元にあります。」
『まぁ資料と言っても他の鎮守府の報告や情報しか載ってない。参考するくらいにしかおすすめしないよ』
「いえいえこれだけあれば充分です。」
『そうかでは健闘を祈る。』
佐々木少尉と連絡をとった後、貰った書類を手にし席に座る
「増援は送れないか...。」
上層部も犠牲者はあまり出したくないのだろう。飛龍のような過激派の艦娘をどうにかしない限り、増援は期待できない。
「ふぅー」
俺は深いため息をつく。佐々木少尉が言っていた通り、このままでは日本近海は再び深海棲艦の物になってしまう。復旧が遅ければ遅いほど、他の鎮守府の被害も増えていくだろう。長くても6ヶ月以内には次の提督が指揮できるような状態にしておかなければならない。
「と言ってもなぁ...」
はっきり言うと何をすればいいかわからない。俺は指揮能力もなければカウンセリング能力もない。施設の復旧が終わった以上これからどうすればいいんだ?
「ドウスルノ?」
どうするのって言われてもねぇ...。
「とりあえず行方不明になってる艦娘を本部と連携して捜索するしかない。」
近々海軍特別警察隊も捜査に参加するそうだが、まぁ上層部すら数や詳細がわかってないんだから実際発見できる確率は低いだろう。
だが、時間は待ってくれない。もう一つやることが俺にはある。
俺は書類に書かれてる電話番号に電話する。
『はい。こちら第四鎮守府です。』
「第二鎮守府です。吉川務少佐はいらっしゃいますか?」
『私が吉川です。上から話は聞いてるよ。』
「第二鎮守府提督の池田信也と申します。その件についてお話があります。後日そちらの鎮守府にお伺いしたいのですが.....。」
『あー.....その件何だけど今日はダメかい?』
「今日ですか?私は構いませんが.....」
むしろ仕事とはいえ、一時的に鎮守府の外に出られるんだから喜んで行きますとも
『では迎えの車を出すよ。聞いた話だとケガをしてるそうだからね。』
「お気遣いありがとうございます。ですが一点だけお願いがあります。」
『なんだい?』
「迎えの車は鎮守府に迎えに来るのではなく、近くの駅に来るようにお願いします。」
鎮守府に直接迎えに来たら、一部の艦娘に襲われそうだからな
『わかった。ではまた後で。』
「はい。失礼します。」
俺はそう言って電話を切る。
「今日わざわざ呼び出すか.....。」
こっちとしては鎮守府から出れてラッキーなのだが..........。
「着任して約一週間でもう後任探しかよ..........。」
俺の任務は鎮守府の復旧だけではない。今後このような事がないように再発防止にも努めなければならない。
そこで俺がやることは後任候補の人と面談、鎮守府を運営してるのならその鎮守府を視察し、適性であるかどうかを見極めることだ。
だが、実際後任を決めるのは俺ではない。あくまで俺は参考意見として上に報告するだけ。
その意見を聞き、別の海軍特殊憲兵隊員が視察をし、その後大本営の監査官が視察をして最終的に大本営が決める流れとなっている。
「うーん..........。」
俺は視察する鎮守府の情報を見る。
吉川務 (23)
階級 少佐
提督歴は2年..........。
電話で話した感じではいい人そうに思えたが..........。
とりあえず視察しないことにはわからない。
それにいくら良い人でも指揮能力が低ければ意味がない。
「妖精さん。留守番は頼んだ。」
俺はそう言って鎮守府を後にした。
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第四鎮守府
敷地面積は第二鎮守府の半分程度であり、艦娘の数は合計6隻で編成されている小さな鎮守府だ。
だが、この鎮守府は日本近海防衛において大きな役割を果たしている。
この鎮守府には高速戦艦 金剛、比叡、榛名、霧島の4隻と駆逐艦 島風、雪風の合計6隻で編成された即応艦隊が存在する。
この即応艦隊は他の鎮守府の艦隊で深海棲艦を撃破できなかった場合あるいは作戦が失敗し、日本近海の侵入を許した場合や撃ち漏らした敵を撃破する近海防衛の最後の砦となる艦隊だ。
「お疲れ様です。海軍特殊憲兵隊の池田です。」
「話は聞いています。吉川少佐は奥でお待ちです」
俺は警備兵に身分証を見せ、正門をくぐり、飛行場地区の横を通る。
飛行場を見ると二式大艇やUHー1が駐機されていた。
ここ第四鎮守府には即応艦隊以外にもう一つ部隊が存在している。海軍で唯一航空機を保有している海軍航空救難隊である。
この海軍航空救難隊は日本沿岸地域における救難事故や船舶事故発生時、ヘリコプターや飛行艇などの航空機を使い救助する部隊であり、深海棲艦の艦載機による船舶襲撃被害が増えている今、期待されている部隊だ。
「やっぱり珍しいかい?」
声のする方向を見ると20代前半の男がいた。
「写真でしか見たことなかったので.....」
艦娘の艦載機は何度か見たことはあるが、実際人間が操縦している軍用機を見るのは初めてだ。
「まぁヘリコプターも航空機も今じゃ深海棲艦の艦載機の的だからねぇ.....。二式大艇も戦時中使ってた物をどうにか改造して使ってるって感じだよ」
「紹介遅れました。特殊憲兵隊の池田です。今は第二鎮守府の提督をしています。」
軽く自己紹介をする。
「艦娘と海軍航空救難隊の指揮をしている提督の吉川だ。上からある程度話しは聞いてるよ。」
上層部からある程度聞いてるなら話が早い。
「ここで話すのもなんだし、応接室に案内するよ」
俺はわかりましたとだけ返事をして少佐についていく。
見た感じ、悪い人ではなさそうだ。
「ここが応接室だ。」
そう考えてるとあっという間に応接室に着いていた。
「座れるかい?」
「ありがとうございます。」
俺はお礼を言い、席に座る。
「さて、早速後任の件について話していこうじゃないか」
「そうですね」
俺は机の上に書類を置く。
「上層部から聞かれてる通り、吉川少佐は第二鎮守府の後任候補として選ばれました。理由としては艦娘からの評価も高く、アンケートでは満足度が97%でした。これは指揮及び鎮守府生活に満足してると言う結果が出てあり、また士官学校を首席で卒業されてるのが今回選ばれた理由です。」
「なるほど。艦娘からの評価と言ったが、残りの3%ってわかるかい?」
「はい。不満な点としては『走るのが遅すぎる』『最近ティータイムに参加してくれない』『構ってくれない』などです。」
いや、何なんだよこれ.....。ほぼ鎮守府運営に関係ないやん.....。
「あはは.....最近忙しくて構ってられなかったからなぁ...たまには遊んでやるか」
遊ぶか...。他の鎮守府もこんな感じなんだろうか...。一応軍の施設だよね?
「話が逸れてしまったが、もし仮に私が後任となった場合この鎮守府はどうなるんだい?」
「もし後任となった場合は今吉川少佐の指揮下にある即応艦隊は一度解体されますが、ご安心を。」
「と言うと?」
「今第四鎮守府にいる艦娘たちはそのまま吉川少佐の指揮下に入ったまま第二鎮守府の艦娘となってもらいます。つまり第二鎮守府と第四鎮守府を合併するということです。即応艦隊についてはのちに再編成する予定です。」
「なるほど。合併の件については理解した。だが、この庁舎と航空救難隊はどうなるんだ?」
「一部施設を取り壊しとなります。航空救難隊においては吉川少佐の指揮下を離れ、現在飛行隊長の飯田中尉が航空指揮官として指揮をする予定です。以降第四鎮守府は航空救難基地として利用されます。まぁあくまでも後任として決定したらの話です。」
「とりあえず後任候補の件と流れは理解できた。そこで君に後任候補として今の第二鎮守府の状況を聞きたい。君の状況を見るとあまりよくなさそうだが...。」
やっぱり聞いてきたか...。まぁ後任としてなら当たり前か...。
「残念ですが、あまり良い状況ではありません。施設の復旧は完了しましたが、現在第二鎮守府では安否のわからない艦娘も多くおり、現在大本営や特別警察隊と連携して探していますが、厳しい状況です。また艦娘の一部には過激派というグループがおり、現在鎮守府付近は警備兵すら近づけない状況が続いています。」
「そうか...。やはり人間自体を嫌ってる子も多そうだね...。こちらも出来る限りサポートするよ」
「ありがとうございます...。」
まだ民間人に被害が出てないことやクーデターの兆候が見られないだけマシなのだろう。
もしそのようなことがあった場合は鎮守府半径10kmを危険地域として封鎖。武力をもって制圧も致し方なしと書類には書いてあった。だが恐らく制圧出来たとしてもおそらく日本近海の防衛はますます困難となるだろう。
たたでさえこの国は島国で他国の貿易がないと成り立たない国である。もし近海が深海棲艦に取られたりすれば、船舶のルートは確保できないそうなれば物資の不足、略奪、クーデター、暴動、政府の崩壊、恐らくこの国は深海棲艦に滅ぼされる前に人々の争いで滅ぶだろう。
ジリリリリリリ
「失礼。電話だ。」
そう考えてると一本の電話がなる。吉川少佐は席を立ち、受話器を耳にあてる。
「こちら第四鎮守府です。」
「..........落ち着いて。一回深呼吸をするんだ。」
少佐は電話相手に落ち着くよう促す。何かあったのか?
「わかった。今変わる。..........君に電話だ。」
「俺にですか?」
恐らく特殊憲兵隊の佐々木少尉からだろう。電話の会話を見た限り、あまり良い内容ではなさそうだが..........。
俺は受話器を耳に当てる
「お電話変わりました。第二鎮守府提督の池田です。」
『て、提督!』
予想とは裏腹に少女の声が聞こえた。
「すまない。名前は?」
『か、陽炎型18番艦の舞風です!』
舞風?舞風...あの金髪の子か。
『あ、あの!そ、それで』
どうやら話し方的に何かあったらしい。あとなんで俺が第四鎮守府に視察に行ってること知ってるんだ?妖精さんにしか言ってないはずなんだが...。
「一回落ち着け。何があったんだ?」
「スピーカーにしてくれ」
俺は吉川少佐の言う通り、スピーカーにする
『は、萩風が!』
『勝手に出撃しちゃったんです!』
「..........は?」
続く
感想、評価アドバイスなどあればよろしくお願いします。
報告、pixivでも投稿を始めましたのでよろしくお願いします。
台本形式にするべき?
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した方が良い
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しない方が良い