俺としのぶは幼馴染 作:ロゼ
「間違って死なせてごめんね」
「…?」
「お詫びに何か一つ特典付きで君の好きな世界に転生させてあげよう」
「はぁ…?」
困惑しつつも目の前の男に勢いに負けて頷くと、目の前の男――神様っぽいやつはにっこりと満足げに頷いた。
そんな俺を疑問をぶつけるべく手を上げた。
「あの、今どういう状況…?」
その男、神様が言うには俺は間違って殺されてしまったらしい。
しっかりしてくれよ神様ぁ!と言いたいが死んだときのことなど全く憶えていないので言わないでおいた。
それで間違って殺してしまったお詫びに特典付きで転生させてくれるらしい。まぁ、神様の最初の言葉がすべてを物語っていたのだ。
死んだ、そう言われて俺は意外に取り乱さなかった。
俺が何となく日々過ごしていたからかもしれない、わからないけど。
それとだが俺はもう転生する世界を決めている。それは『鬼滅の刃』というジャンプ漫画の世界である。俺の理想の世界、というわけではない。そこには『鬼』と呼ばれる化物が蔓延っている世界で鬼は人を喰らう。俺の理想とは真逆の世界だ。
じゃあなぜそこに行くのか、そう聞かれれば俺は迷わずこう答えるだろう。
アニメにも漫画にも興味が無かった俺が唯一心から好きになった彼女がいるからだ。
だが、彼女はある鬼に殺された。その結末がどうしても俺は受け止められない。
だから俺はそれからどんな形でもいいから救うんだ、絶対。
「転生する世界は、鬼滅の刃で」
「鬼滅の刃ね、おっけ、特典はどうするの?」
そりゃあ特典と言えば―――
「胡蝶しのぶの、幼馴染で」
幼馴染に限るだろ。
俺の特典に神様は驚いた顔をしたので俺は笑みで返す。
「大抵の子は無双系能力にしたり好感度マックスとかにしたりするんだけど君は少し違うのね」
好感度マックスとか…面白くないじゃないか。自分で好感度上げてなんぼよ。
そう思っていると神様が杖を持っている手を振り上げた。
「じゃあ、いい人生を!」
「神様も頑張ってね、仕事」
目も前が光に包まれるのを意識しながら俺は神様にそう言って意識を手放した。
まぁ、物心つくまでの記憶は一切ないのだが。
俺としのぶの家はお隣さんだった。これにはちゃんと理由がある。
胡蝶家は医師の家系、俺、久遠家は薬屋を営む。横に家を建てればどちらの家庭もウィンウィンの関係だったわけだ。
しのぶと対面したのは俺が五歳になろうとしていた頃。
二次元と三次元はかなり違う、そう覚悟を決めて行った俺だがそんなくだらない覚悟は吹き飛ばされた。
彼女の顔立ちに全くの違和感がなく、声色――少し幼い――も全くと言ってい程同じだった。
見惚れそうになったが自我を強く保って自己紹介をした。
「俺は、
そう笑顔で手を伸ばして握手をしようとしたが、彼女はむすっとした顔で俺を見つめるだけ。
どうしよう、俺が頭を抱えていると嫌そうに名前を言って俺の手を掴んだ。
「私は胡蝶しのぶ、よろしく」
よそよそしい感じでそう言って手を振り払うように離すと家に入っていった。
普通の男子なら落ち込むところであろうが俺は全く落ち込んでなかった、むしろガッツポーズをとっていた。
――これは好感度の上げがいがある!
そんな思いと同時にあることが気がかりだった。
それは胡蝶家に襲い掛かる鬼のこと、しのぶが九歳くらいの時に家を襲う鬼だ。言ってしまえばその鬼が胡蝶家を襲わなければしのぶが無限城編で死ぬこともないのだ。
だから俺の目標は鬼から人を守れるだけの体づくりと剣術を学ぶことだ。
思い立ったが吉日、俺は体を鍛えたいことと剣術を学びたいことを伝えた。
両親は少し驚いたようだが了承してくれた。
優しすぎる両親だ、前世とかだったら喧嘩の末にやっと了承してくれたのに。
ま、そんなことは置いておいて今日から俺の振り回される日々が始まったのだ。
まぁ、しのぶは可愛いですよね
追記
十三歳→九歳