俺としのぶは幼馴染   作:ロゼ

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しのぶ可愛い(挨拶
感想やお気に入り登録をしてくれる人たちがいると思わず…私は驚きで家で踊ってましたね(?)


第2話 再確認

しのぶと出会って一週間が経った。

俺は剣道教室に通い始めたのであまりしのぶと会う機会が無いとは思っていたのだが、あろうことか道場にしのぶが顔を出しのだ。だがよく見るとしのぶだけではなかった、しのぶの姉――カナエさんも来ていた。

気付いてからは見られているという羞恥心からか稽古に全くと言っていいほど集中できなかった、おかげで師範の鉄拳を脳天にくらった。

 

「もっと集中しなよ、ほんとお前は…はははっ!」

 

周りの兄弟子たちにすごく笑われた。だが兄弟子たちもいい人たちで俺の剣筋や足運びに少しでもおかしいところが有れば直るまで付きっきりで指導してくれるのだ。

周りに恵まれたな、そうあらためて実感していると背中をバシッと叩かれた。

 

「うぇ!?」

「休憩だ」

 

師範だった。仏頂面で子供たちには怖がられているがふたを開けてみればとても優しい人で休憩の時には必ずと言っていいほど水をくれる。今日も水をくれたのでそれを一気に飲み干して空になった木製のコップを返して俺は道場の隅にいるしのぶとカナエさんの方に走った。

 

「なんで来てるの?」

 

俺が疑問をぶつけるとしのぶはむすっとした顔のまま俺を睨んで答えることもしない。

剣術以前にこれは好感度を上げた方がいいのか…?と、首を傾げているとカナエさんが代わりに、と言わんばかりに答えてくれた。

 

「翔君の家に行ったらいなかったからどこにいるのか聞いたら『道場に居るぞ』って言ってたから遊びに来ちゃった」

 

父に聞いたのだろうか、途中声真似を入れてきた。笑いそうになったがしのぶの視線が妙に殺気を帯びていたので何とか堪えた。

 

「そ、そうだったんだ。あ、あし「おーい、翔!」っはい!すぐ行きます!じゃあね」

 

明日は家いるから来たら、そう提案しようとしたが兄弟子たちに呼ばれたので手を振ってから踵を返して稽古に戻る。

 

「何だ翔、彼女か?」

「はぁ!?違います!隣の家の子です!」

 

そう言うと「そうかそうか」と俺の頭を撫でる、子ども扱い…いやまぁ五歳だから仕方ないか。

 

「じゃあ、再開だ」

 

師範の声に俺と兄弟子を含めた五人が声を上げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「すごかったわねぇ」

 

道場から家までの帰り道、カナエさんがそう呟いた。

稽古を再開した後も二人は残って終了時刻までいたのだ。さすがに帰ったであろうと思っていたので驚かされた。

 

「何で道場に通い始めたの?」

 

カナエさんが不思議そうに俺に聞いてくる。

守るためとか口が裂けても言えない、なので適当に返しておく。

 

「なんとなく」

 

短く返答するとカナエさんは目を丸くする。

俺に目的があって入ったと思っていたのだろうか、あるけど。

 

「ちゃんと目的があると思ってたのに、意外」

「意外って…」

 

まだ一週間ですよ、という言葉を俺は飲む。いつの間にか家についていたからだ。

俺はまた明日と言おうとして口を閉じて数時間前に言いそびれたことを言っておく。

 

「明日は家にいるから来ても良いよ、じゃあ」

「そうなの、じゃあ()()()()()()にお邪魔するわ!」

 

俺は家に足を踏み入れた瞬間拳を握りしめた。

喜びを静かに噛み締めて、俺は稽古で着いた汚れや汗を落とすために風呂場に向かった。

 

***

 

「そろそろか…」

 

両親が出払っていない静かな家で一人、そう呟きながら畳の上を転がる。

来てもろうのはいいが面白い物なんてない、それに気付いて俺は即座に立ち上がって襖を開けて棚を漁る。

 

「…ん?確かこれは」

 

俺は少し笑みを浮かべて一冊の本を取り出す。

怖い話、まぁいわゆる怪談話の本だ。

確かしのぶは好きだったはず、そんな不確定な記憶に俺は賭けることにした。

襖を閉めた瞬間、玄関から声が響く。

 

「ごめん下さい」

 

俺は少しリズムを刻みながら玄関に向かった。

 

「いらっしゃ――ってカナエさんは?」

 

そこにいたのはしのぶだけ、カナエさんの姿は無い。

 

「姉さんは母さんと買いものに行ったわ。行きたそうにしてたけど」

「そうか…とりあえず上がりなよ」

 

俺の提案に静かに頷くと靴を丁寧にそろえて家に上がった。

ついてくるように促して居間まで歩いていく。

 

「何をするつもりなの?」

 

不意にそう聞かれて俺は不敵な笑みを浮かべて言う。

 

「怪談話だ」

 

怪談話、という単語が耳に入った瞬間しのぶの暗かった表情が少し明るくなった。

少し雰囲気を出すために障子を閉めていく。

部屋は薄暗くなり怪談話をするには適している、はず。実のところ俺は怪談話などしたことが全くないのでわからないのだ。

 

「どっちからする?」

「じゃあ、私から」

 

少し不敵な笑みを俺に向けて話を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「――これで終わり」

「…負けました」

 

座布団を俺は抱きしめてそう言った。

しのぶは間抜けな顔を出して驚いている。

仕方ないと思う、怖すぎなんだよ。なんていうか声の抑揚とかうまいしそれで更に怖くなったし。怪談話の本読んでビビらせてやろうかと思ったけどそれ以前に俺が耐えられなかった。

俺が震えているとふと、くすくすという控えめな笑い声が聞こえた。顔を向けるとしのぶが肩を震わせて笑っていたのだ。

 

――可愛い

 

控えめに笑う彼女の姿に見惚れてしまう。

 

――この笑顔も、守るんだ。

 

俺はこの世界に来た目的を再確認したのだった。

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