俺としのぶは幼馴染 作:ロゼ
1、3話で13歳と記述しましたが9歳に変更させていただきます。
漫画を読みなおしたら結構幼かったので。すみません。
この世界に来て俺は八度目の誕生日を迎えた。
つまり八歳になったということだ。胡蝶家も着て家は凄く騒がしい、がそれがとても楽しい。
両親からは新しい防具と竹刀を貰った。竹刀が劣化しているのがバレていたのだろうか。両親には敵う気がしないと俺が感じているとしのぶが俺の前に歩み出てきた。
「これ」
無造作に投げられた紙袋を受けとめ、何だこれ、と問う。
「中身見て」
言われた通りに紙袋を開けて中身を見る、入っていたのは――手拭いだった。
「…もしかして、作った?」
「そうだけど、文句ある?」
「いやいや、あるわけないよ。凄いなぁ、こんなの作れるのって…触り心地良いなぁ…」
入っていた手拭いを感嘆の声を漏らし、嬉しさを噛み締めているとしのぶが満足そうに笑っていることに気付いた。
「気に入ってくれてよかった…」
「しのぶに貰ったものなら俺は全部喜ぶが…」
そう言葉を返すと「馬鹿じゃないの!」と言って腹に拳を喰らいました、解せぬ。
蟲柱時代の押す力は健在ってか、というか本心を言って何が悪い。
あぁ成程、照れたのか。しのぶの頬が赤くなっているのを見て俺は納得する。
「ほんとあんたといると調子狂う」
「それは誉め言葉として受け取っておく」
すかさずそう返して、俺は逃げるように部屋の方に走った。
しのぶに貰った手拭いを防具が入っているバッグに入れ俺を追いかけて部屋に入ってくるであるしのぶを座って待つ。
「はぁ、はぁ、あんた前より速くない…?」
「鍛えてるからね、これで負けてたら俺は泣くが」
いつものように俺の椅子に座ると、不敵に笑った。
「久しぶりに怪談話しよう、翔」
「いいよ、今回は負けないからな」
「怪談話は勝ち負けじゃないと思うんだけど‥」
五歳ぶりの怪談話、俺は三年間でそれなりに耐性がついた、怪談話もそれなりに覚えた。
負ける気がしない、というのは公言すると負けるので言わないで心にしまっておく。
「今回も私から?」
「どうぞ」
――――――
―――
「―――俺の話はこれで終わり、って…」
しのぶの怪談話を何とか乗り切り、俺が怪談話をし終わったところでしのぶが寝ていることに気付く。
俺の机に突っ伏し、スースーと吐息を立てて気持ちよさそうに寝ている。
はぁ、とため息をついてから掛布団をそっとかけて一階の様子を見るために階段を下りた。
「父さん母さ…おぉ、マジか…」
俺の両親、しのぶの両親、カナエさん、全員がすやすやと眠っていたのだ。
食器などはかたずけているようで、全員が話している途中に寝落ちしたようだ。
それを想像し、つい笑ってしまう。
「…掛布団」
今の季節は冬、暖は取っているが風邪をひかないというわけではない。念のためはとても大事だと思う。階段を駆け上がり、掛布団やらをしまっている場所の襖を開けて五人分の掛布団を持って一階に下がり一人一人にかける。
掛け終わった時には俺も眠たくなってきていたので、部屋に戻る。
ふと、しのぶ顔が目に映る。
ゆっくりと彼女に手を伸ばし、髪に触れ、一度だけ撫でる。
「頑張れ、俺」
自分を鼓舞するようにそう呟き、布団に突っ伏する。
***
翌日、俺は寒気を堪えつつ父さんに懇願していた。
「父さん、夜練がしたいです」
「夜練?」
「うん、いつもの稽古じゃ足りないと思うから」
「駄目だ、まだ八歳になったばかりだろう」
「走るだけでも駄目ですか」
「むぅ…」
俺は今までにしたことのない真剣な顔で父の顔を見つめる。すると、観念したとでもいうように両手を上げた。
「わーった、走るだけだぞ」
「やったぁ!ありがとう父さん!」
父の周りをぴょんぴょんと飛び回って、わいやわいやと騒ぐ。
「翔、そろそろ行く時間よ~」
「ホントだ、じゃあ行ってきます!」
防具が入ったバッグと竹刀袋を背負い、家を飛び出した。
「夜練をするというのは本当か」
師範との一対一の稽古中、突然聞かれて油断してしまい竹刀が腕に直撃する。
「いてて…、夜練をするのは本当ですけど、誰から聞いたんですか?」
「お主の父上だ」
「父さん…」
親指を立ててにっこりと笑う父親が安易に想像できた。
「夜は危険だ、これを持っておけ」
懐から出して俺に渡す、見れば神社で打っているようなしっかりとしたお守りだった。
『惡鬼除け』と刺繍で記されている。
普通、『厄除け』とかなんじゃないのだろうか。というか『惡鬼』…?
「これって…」
「いいから持っておけ」
勢いに負け、何度か頷く。
「今日はここまでだ、送っていく」
「ありがとうございます!」
師範は毎日家まで送ってくれるようになった。その厚意に甘え、送ってもらっている。
何も喋らず、後ろを追って歩くだけだ。
師範は何者なのだろうか。
その疑問が会うたびに脳裏を過る。
師範に聞こうとすると話をうまく変えられて全く情報を掴めていない。
いつわかるだろうか。
師範の背中を眺め歩いていると、声がかかる。
「着いたぞ、あまり気を抜くな」
「あっ、はい!」
お礼を言って俺は家に上がった。師範の気配が消えたのを確認して外に出て竹刀袋を隠し置きしておく。これで夜練の時に竹刀を使えるだろう。
謎の達成感を感じながらまた家に上がった。
「ただいまぁ」
運命の時は、もうすぐだ。