宇宙戦艦ヤマト2199 ギャラクシー   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「ギャラクシー」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」の続編になります。


ギャラクシー12 エピローグ(最終回)

 更に数週間後――。

 

 ギャラクシーでは、一軒の居酒屋がオープンを迎えていた。日本式の居酒屋風の作りの店は、平田がいくつかの商店を開くことを検討している時に、榎本らが集まって来て、寄ってたかって案が出た中の一つだった。その榎本が、厨房で楽しそうに注文された料理を用意していた。

「店長、刺盛り一つに、煮込み一つ! あと焼酎の水割り三つ!」

「おう! わかった。おい、この枝豆と串盛りを、二番テーブルへ持ってけ!」 

 手際よく料理をてきぱきと進める榎本は、水を得た魚のように働いていた。彼の部下が、料理と酒をテーブル席に運んでいる。

「お待ちどうさま!」

 フラーケンとハイニ、そして藪が座る席に、ビールと枝豆、そして串盛りが運ばれた。

 フラーケンらは、久しぶりにガルマン帝国への潜入任務から戻っていた。藪は、居酒屋開店の噂を聞いて、早速行ってみようと思っていたところに、話を聞いたフラーケンに捕まり、一緒に来ることになったのである。

「うわー、地球の、しかも、日本のビールなんて何年ぶりだろう。艦長、副長、乾杯しましょう!」

 藪は、嬉しそうにビールジョッキを持ち上げた。作法がわからないガミラス人の二人は、困惑しながらも、藪の真似をしてジョッキを持ち上げた。

「かんぱーい!」

 自分のジョッキを二人のジョッキに当てて、藪はごくごくとビールを飲んだ。

「ぷはーっ。きくーっ。さいっこう!」

 満足気な藪の表情を見て、フラーケンとハイニは、見つめ合った。フラーケンは、テーブルの下で見えないように、ハイニの足を蹴った。

「いってぇ。隊長、ひでぇや」

「いいから、先に飲んでみろ」

 恐る恐る、ビールを口に含んだハイニは、目を丸くした。そして、藪と同じ様に、ジョッキを傾けてごくごくと飲んだ。

 それを見たフラーケンも、少しだけ躊躇したが、ジョッキを口にした。

「美味い……!」

「う、美味いよね、隊長」

 二人は、一気にジョッキを開けるとおかわりを注文していた。それを見た藪は、慌てた。

「ちょ、ちょっと、二人ともそんなに一気に飲んじゃ……」

 フラーケンは、眼光も鋭く、藪を睨みつけた。

「うるさいぞ。おい、ヤーブ。この食べ物は何だ」

 フラーケンは、次は、串焼きに興味を持ったようだった。

 

 そんなガミラス人たちを横目に、北野と西条未来、そして太田と土門が隣のテーブルで飲んでいた。

「新米さんとかは、誘わなくてよかったんですか?」

 土門が、先輩を気遣って言った。

「いいのいいの。それにあいつ、ほとんど飲めないし」

 太田は、焼酎の水割りを飲みながら豪快に笑っていた。

 北野は、先日の方舟と次元断層の一件では、新米にずいぶん助けられたことを思い出していた。

「シンマイがいなければ、この間はどうなってたことか。皆、次元断層から出られずに、今頃死んでたかもしれないな」

「そういう弱気、艦長は見せちゃいけないんじゃなかったっけ?」

 西条未来の一言で、北野はかちんと来て怒り出した。

「ひ、非番の時ぐらいいいだろ、俺だって大変なんだぞ」

「そういうの、他の人がいない時に言ったら。私だったら、何時でも聞いてあげるよ」

「こ、この間、かっこ悪いとか言ってたくせに……!」

「そんなこと言ったかなぁ?」

 太田は、目の前で繰り広げられるやり取りを見て、ぼそっと言った。

「あーあ、お熱いことで」

 北野と西条は、言い争いをぴたと止めた。

「な、何言ってるんですか。俺と西条さんは、そういうのじゃないですから」

「そ、そうですよ。べ、別に私たち……」

 土門が、顔を赤くして言った。

「お、お二人って、そういう仲だったんですね。お、俺、西条さん、いいなぁって思ってたのに」

 そのまま、土門は項垂れてテーブルに頭を乗せた。

「お、おい。お前、もう酔っ払ってるのか?」

 北野は、土門の肩を揺らした。

 目を細めて北野を睨んだ西条は、嬉しそうに言った。

「えー、土門くんに比べたら、私なんてもうおばさんじゃないの?」

 急に起き上がった土門は、真っ赤な顔で言った。

「と、とんでもない! そんなこと、全然無いですから!」

 再びテーブルに突っ伏した土門を見て、にっこりと西条は北野の方を見た。

「何よ」

「何だよ」

 二人は、再び言い争いを始めた。

 太田は、寂しそうに独り言を言った。

「俺にもいつか、春が来るかなぁ」

 

 古代と雪は、久しぶりの休暇で三人で、地球側の商店街を訪れていた。

 その三人を平田が迎えて、彼は案内を始めた。

「地球の各国の服を輸入した衣料品店に、雑貨屋。それからレストランと居酒屋をまずはオープンした。とりあえず、ヤマトとイセの乗組員が、交代で店を運営する予定だ。そのうち、地球から民間人の経営者を募って、運営を移譲するつもりだが、それまでは、この形でやってみようと思う」

 古代が雑貨屋を覗いて見ると、桐生美影が、嬉々として中からやって来た。

「古代さん、いらっしゃい。いいもの揃えてますぜ!」

 桐生は、にやりと笑って手を伸ばし、店内の商品を見るように促した。雑貨屋なので、小物や生活用品がずらりと狭い店舗に並んでいる。

「あ、ここいいね。ちょうど、お皿とかコップとか欲しかったんだよね」

 雪も、楽しそうに、商品を眺めていた。

 古代は、商品を陳列している棚の高い所に異彩を放つものについて桐生に尋ねた。

「あれって……」

 桐生は、古代の背を勢い良く叩いた。

「お客さん! お目が高い! あれこそは、日本帝国海軍の大和、武蔵、伊勢のプラモデルだよ! ここに配属されたのと同じの名前の船を用意しておいたから!」

 古代は、叩かれた背中がひりひりと痛んだ。誰も買いそうも無い商品で、明らかに自分の趣味で仕入れたことは間違い無い。一言もの申そうと思ったが、楽しそうにやっている桐生に、水をさすのは思い留まることにした。

「ま、まぁ、頑張ってくれ。任務に支障のないようにな」

「わかってますって!」

 桐生の得意げな顔を見ると、本当にわかっているのか疑問を感じた古代だった。

 雑貨屋で、雪がいくつかの商品を購入するのを待って、古代たちは次に、衣料品店を訪れた。

「あ、凄い綺麗に陳列してるね」

 雪が、嬉しそうに店内に入ると、ちょうど、店には加藤一家がいた。

「あ、雪さん。見てみて。これ、翼に合うと思う?」

「ああ、真琴さん。うん、似合ってる。かわいい〜」

 その翼は、不機嫌な表情だ。

「あれ? どうしちゃったの?」

「何かねぇ、選んだ服が気に入らないみたいなんだよね」

「えー。かわいいのになぁ」

 加藤は、しゃがんで翼に耳打ちした。

「どうした?」

「かわいいとか言われると、腹立つんだよ。パパが選んでよ」

 そのすぐ背後に、真琴が聞き耳を立てていた。

「やっぱり、ママが選んだのが、気に食わないってこと?」

 真っ青になった加藤は、「そうだよ」と言いかける翼の口を塞いだ。

「そんなことねぇだろう。それ、いいよな? な? ああ、俺も選ぶから両方買おうや」

 そう言って、加藤は冷や汗をかきながら服を選び始めた。真琴は、翼を問い詰めていたが、彼は、両親を気遣って、ママとパパが選んでくれたのを両方買って、と言っている。

 古代は、一部始終を見て加藤のそばに来て言った。

「大変そうだな」

「うるせえ」

 

 古代と雪と美雪は、最後にレストランを訪れた。

「ここは、俺が料理長をやることにしたよ。居酒屋はオムシスを使っているが、こっちは、地球から取り寄せた食材がメインだ。味は保証するよ」

「そう言えば、そうだったな。地球から調達するのは、大変だっただろう?」

「まぁね。でも、宇宙船で食べるのとは一味違う料理を出したかったからね。ここは、俺たちの新しい家だから。そうそう、ガミラスやイスカンダルの野菜を栽培している農園もここにはあるから、そのうちに、異星の料理にも挑戦してみるつもりだ」

 古代と雪は、そのままレストランでランチを取ることにした。

 確かに、出てくる料理はとても美味しかったので、二人は、感動しながら食べていた。美雪は言うと、離乳食が食べられるようになっていたので、平田は、特別に美雪の為の食べ物を出してくれた。

 一通り食事を済ませて、二人は、最後に紅茶を飲んでいた。

「すっごい、美味しかったね。平田さんの奥さんになる人は、幸せかも」

「そう言えば、そう言う浮いた話は聞かないなぁ」

「あなたって、そういう噂にも疎そうだもんね」

「な、何だよそれ」

 雪は、他愛も無い話を古代としながら、先日のことをふと思い出した。

「ねぇ。この間の、もう一人の私だけど」

「ああ。何だか、あの後どうなったか、心配なんだよな」

「そうね。彼女は、古代くんを説得出来たのかな」

「事情は、わからないけど、美雪が生まれること知ったら、僕ならすぐに君の元へ帰るかな」

「私だけじゃ戻らないの?」

「そ、そんなことないよ。だけど、彼女たちにも事情があったんだと思う。どうしても、そうせざるを得ない、深い事情があったのかも知れない」

 古代と雪は、別の世界の自分たちに思いを馳せた。無限に異なる世界があるとすれば、幸せになっている世界もあれば、そうでない世界もあるに違いない。もしかしたら、出会うことすら無い世界も。

 今の自分たちの幸せを大切にしようと、彼らは心に誓った。

 

 宇宙船シャンブロウで、レーレライは、次元の裂け目が、全て塞がったとの報告を受けてほっとしていた。

 不安定な空間が、いつまた裂けるとも限らない。彼女は、観測を続けて、問題ないと判断出来るまで、しばらくそこに滞在することを決めた。

 地球人やガミラス人、そしてガトランティス人などが、この船の存在を特別視して、場合によっては狙われていることは知っていた。本来なら、同じ場所に留まるべきではない。

 テレサという存在も精神感応で感知していたが、何故かレーレライたちジレル人からは接触出来なかった。彼女との接触には、何らかの特別な繋がりが必要なのだろう。

 星巡る方舟は、亜空間ゲートの奥深く、異次元空間に身を潜め、この銀河の平穏の為にその身をしばらく捧げるのだった。

 

 テレサは、高次の世界を漂い、別の世界の古代と雪が、無事に自分たちの世界へと帰って行くのを確認した。一息ついた彼女は、再び大マゼラン銀河の自らの墓標、かつてテレザートあった場所へと戻った。

 

 再び、彼女は祈り続ける。

 人々の苦難の道のりを思い、そして、心の平穏を永遠に願い続けて――。

 

 

 

宇宙戦艦ヤマト2199 ギャラクシー

完――

 




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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