宇宙戦艦ヤマト2199 ギャラクシー   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「ギャラクシー」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」の続編になります。


ギャラクシー3 各員準備中

 同じ頃、加藤は、篠原と共に、基地の艦船用ドックなどを訪れて、艦や艦載機の整備を行う場所を確かめていた。

 ドックに隣接した整備区画は、十機程度の機体が一度に整備可能な施設となっていた。

「流石、ガミ公の基地だな。これなら、機体の分解整備も出来るな」

「部品さえ調達出来れば、ここで組み立てるのも出来るんじゃない?」

 加藤と篠原は、設備を案内してくれたガミラス人の整備士と共に、あちらこちらを眺めて確認していった。そこでは、メルダらが使っているツヴァルケや、空母に搭載しているデバッケ等の機体が整備中だった。

「俺たちのコスモタイガーを整備するには、少し設備の見直しがいるかも知れない。後で、技術科の連中にも確認させよう」

 加藤は、真面目な表情で確認を進めている。篠原は、そんな加藤に、聞きたいことがあった。

「ちょっと関係ない話を聞いてもいい?」

「何だ?」

「何でまた、宇宙に戻って来たのさ。地上勤務で、家族仲良く暮らすんじゃなかったの?」

 加藤は、小さくため息をついて、篠原を睨んだ。

「この間、ガルマン帝国の連中とやり合った時に、艦隊に呼び戻されて、土方さんの空母シナノに乗ることになっただろ。あれがきっかけだよ。やっぱり、宇宙に戻りたいと思っちまったんだ」

「なるほどねぇ。そんなとこだろうとは、思ってたけど」

 篠原は、納得した様子だった。

「そこへ、この宇宙基地勤務の話が降って湧いて、試しに女房に相談してみたんだよ。そしたら、二つ返事で了承してくれた。家族一緒に居られるなら、何も問題無いってな」

 加藤は、照れた様に話している。篠原は、加藤の背中を軽く叩いた。

「いい女房で、よかったじゃん」

「まったくだ。お前も、早く結婚したらどうだ?」

 篠原は、急に自分の話を振られたが、涼しい顔で言った。

「相手がいれば、ね」

「お前、結局、山本とはどうなったんだ?」

 篠原は、両手を広げて言った。

「残念なことに、結局、なぁんにもない。ま、ここで、ガミラス人女性をナンパするのも悪くないかもな」

 加藤は、相変わらずの相棒に、苦笑いを浮かべた。

 

 彼らのいた整備場に隣接するドックには、ヤマトと共にこの基地に配備された新造艦が早速入渠していた。航宙空母型巡洋艦のイセである。主力戦艦をベースとして、戦闘艦としての機能と、空母機能を併せ持った艦である。丁度、主力戦艦を二隻並べたような形状で、片側に砲塔や艦橋などがあり、もう片方に航宙甲板が設置されている大型の艦だ。空母シナノが、アンドロメダをベースにしたとは言え、最初から空母型を目指して建造されたのと違い、こちらは主力戦艦を改造して作られている為、あちこちに、主力戦艦の面影が残っている。

 加藤率いる航空隊は、この艦を母艦としていた。

 そして、イセの艦長は、島が務めていた。彼も予備役だったが、対ガルマン帝国戦で防衛軍に呼び戻されて、そのまま軍に戻ることになったのだ。

 航宙空母型巡洋艦イセは、主力戦艦二隻分の幅がある大型の艦体が、艦船用ドックへの入渠に支障がないか、確認を行っていた。そして、その作業を終え、本来の宇宙港となっている別の場所へと移動を開始していた。宇宙港と言っても、何か設備がある訳では無く、基地のすぐそばの座標があるだけだ。そこに、大多数のガミラス回遊艦隊が集結していた。

 艦長席にいた島は、ヤマトと同様に天井に設置されたスクリーンで、ガミラス回遊艦隊が宇宙空間に多数浮かんでいるのを目撃した。

「こりゃ、凄いな。何隻いるんだ」

 島の独り言に、イセのレーダー手の船務科の望月佳織が回答した。

「艦長、レーダーには、約二百隻を捉えています。駆逐艦、巡洋艦、空母と多数の艦種が存在しています」

「壮観な眺めだが……確か情報では、デスラー総統が保有する艦船は、もう百隻ぐらいいるはずだったな。恐らく、彼らも、周囲の警戒や探索を行っているんだろうな」

 島は、一息つくと、新造艦の艦長に任命され、ここへやって来るまでの経緯を思い返していた。

 実家では、母親と弟に、宇宙基地任務の仕事の話があり、ぜひ行きたいと説明した。その時の、心配そうにする母沙織の顔を思い出す。同じ様に船乗りだった父大吾が、ガミラス戦争で戦死したことを、忘れられないのだろう。今でも、ガミラスに対する複雑な思いを抱えているのだ。そのガミラス人と一緒に活動を共にする任務に、懸念を持つのは、当然のことだろう。自分自身でさえ、時々、今でも彼らに対する疑念が首をもたげて来ることもある。ましてや、母親の気持ちとして仕方が無い面があるのは、彼も重々承知していた。

 しかし、既に終戦から五年が経過しており、その過程では、民主主義国家となった彼らと正式に和解しており、最近では、ようやくガミラスに地球大使館も設置された。民間航路も確立され、今後は民間レベルでの交流も深まって行くだろう。

 ここでの任務は、そんな時代の民間人の保護に大いに役立つはずだった。きっと、父が生きていれば、同じ様に考えたに違い無い。島は、そうやって母親を説得した。その彼を後押ししたのは、高校生になった弟の次郎だった。いつか、大人になったら自分も同じ様に地球の為に何かしたいと思っているらしい。その礎を築いて欲しいと願って、兄を快く行かせて欲しいと言ってくれたのだ。

 あいつも、随分頼もしくなったなぁ……。

 島は、弟の生き生きと希望に満ちた表情を思い出し、熱いものが胸に込み上げた。

 母さん、心配かけてごめん。

 島は、泣く泣く話を受け入れてくれた母親を想い、これからのここでの任務について、決意を新たにするのだった。

 

 こうして、ヤマトとイセがこの宇宙基地に配備され、それぞれの乗組員は、新たな設備の確認や、家族を連れて来た者たちは、家族が暮らす環境の確認に追われた。

 基地司令官に着任した古代は、任務開始に向けた様々な準備を行っていた。ヤマト艦長に推薦していた北野の昇進試験も、その一環である。

 それと並行して、古代は宇宙基地の補給や資材管理を、主計科長の平田に任せようとしていた。

「お呼びですか? 古代司令」

 古代の執務室には、平田がやって来ていた。

「司令って響き……どうも慣れないよ」

「古代は、同期じゃ一番の出世だからな。これからもよろしくな」

 古代は、照れた様に頭をかいていた。

「で、どうしましたか? お茶でも淹れましょうか? 司令」

 再び、丁寧な言葉遣いになった平田に、古代は、むず痒い思いをしていた。

「い、いや。それには及ばないよ。平田、ちょっと、お願いがあるんだが」

「何でしょう」

「知ってると思うが、ここの四階に、ガミラスの商店街があるだろう? 先日、デスラー総統と話をしていて、地球側も、飲食店などの店舗を出店してはどうかと思ってるんだ。その仕切りを、頼めないかと思ってる」

 平田は、合点したようだった。

「それはいいね。早速、主計科で考えてみよう。丁度、民間船の航路も出来たことだし、地球側にも商品の調達をお願いしなきゃいけないな」

「わかった。必要なものをリストにして上げてくれ。地球側と交渉してみるよ」

 平田は、古代といくつかの確認をして、執務室を出ようとした。出口の扉の前で、平田はふと思い出した。

「そう言えば、山本は、こっちには来ないのかい?」

 古代は、既に別の仕事に手をつけようとしていたが、その名を聞いて、手を止めて彼女のことを思い浮かべた。

「土方さんの空母シナノの航空隊の隊長をやっているからな。こっちに来る時は、何か有事があった時になるだろう」

 平田は、少し遠い目をしている。

「何か、今でも気になるんだよ。危なっかしいところがあったから」

 平田は、かつて主計科に配属されていた彼女のことを、妹の様に思っていた。あれから、もう何年も経つというのに心配は尽きないようだ。

「何だか、父親みたいだな」

 古代は、自分も同じ様に思っていたが、それは胸の内にしまっておいた。

「違いない。じゃぁ、また後で連絡するよ」

 そう言って、平田は執務室を出て行った。

 古代は、気を取り直して、再び仕事に取り掛かった。

 

 ここでの、古代たちの任務は、主に四つあった。

 

 ・周辺宙域のパトロール

 ・民間人の安全確保

 ・異星文明とのコンタクト

 ・友好国との交流支援

 

 これら全てに関係するのが、必要とする防衛行動である。この総監部には、ヤマトとイセの他に、五隻の無人駆逐艦艦隊を引き連れていた。この他に、太陽系外の宇宙探索を目的として、科学技術省から、実験艦ムサシが派遣されて来る予定だ。これには、科学技術省の真田や新見薫も、同行するはずだった。

「結局、ほとんどの元ヤマトクルーが集まることになるな」

 古代は、それに感慨深いものを感じていた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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