宇宙戦艦ヤマト2199 ギャラクシー   作:とも2199

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宇宙戦艦ヤマト2202とは別の世界線を歩んだ宇宙戦艦ヤマト2199の続編二次創作小説「ギャラクシー」です。「白色彗星帝国編」、「大使の憂鬱」、「孤独な戦争」、「妄執の亡霊」、「連邦の危機」の続編になります。


ギャラクシー4 宇宙基地ギャラクシー

 銀河系ゲート付近――。

 

 そこでは、一隻の民間船が、銀河系の亜空間ゲートに進入しようとしていた。

 地球連邦とガミラス政府は、平和条約を締結し、正式に国交を結んだ。ガミラス帝国は、今ではガミラス共和国と名乗り、大小マゼラン銀河全体の民主化や、独立を宣言した各星系との同盟を進め、民主的な動きを早めていた。しかし、かつての圧政の歴史から、現在でも対立関係にある星系も多数あり、それを治める為に、やむを得ず軍を派遣して、事態を収拾することもあった。そして、時にはテロ活動も行われ、マゼラン銀河全体の平和が訪れるのはまだまだ時間がかかると思われる。それでも、ガミラス、イスカンダルのあるサレザー恒星系と、亜空間ゲートまでの航路は、ガミラス軍の強固な防衛努力により、安全が確保されていた。

 地球連邦は、これを機会に民間にも波動エンジンの技術を解放し、民間船がワープ出来る様にした。民間船は、地球―ガミラス間航路を確立し、終戦後五年が経過して、遂に民間レベルでの交流が始まったのである。

 しかし、サレザー恒星系は遠く、途中の休憩などを挟むと、どうしても往復半年はかかる距離であり、航路途中の古代らのいる銀河中央方面総監部や、ビーメラ4、バラン星、かつて囚人惑星だったレプタポーダなどは、観光地としての開発が検討されている。

 それだけでなく、地球近傍でも、第十一番惑星や、冥王星、そしてテラフォーミング状態が回復した火星等を、観光資源として活用出来ないか、民間レベルでの議論が活発化している。

 また、地球とガミラス双方の科学者の間では、かつてヤマトが破壊したバラン星の亜空間ゲートの修復で得た技術によって、新たな亜空間ゲートの研究開発も進められている。そう遠くない将来、両国間の航路のさらなる短縮が行われるだろう。

 銀河系の亜空間ゲートに進入しようとしていた一隻の民間船は、地球の一般企業の社員らが乗船しており、地球とガミラスにおける観光資源の開発を目的としていた。また、その民間船を動かすのも、地球連邦運輸省に許可された恒星間宇宙船を運用する企業だ。今後、彼らのように、新たなビジネスの可能性に賭け、大規模な投資が行われることになる。

 民間船コロンビアは、銀河系ゲートに到達するまでの間に連続ワープを敢行していた。船長のハロルドは、乗客の疲労を懸念し、地球連邦防衛軍の宇宙基地である銀河中央方面総監部への立ち寄りを提案した。

 しかし、乗客である民間企業のスペーストラベル社の社員に確認したところ、休憩を挟むと、よりガミラス星までの時間がかかると言い、その提案を拒否した。

「やれやれ。金儲けに夢中な連中ってな、これだからな」

 主パイロットも兼務するハロルド船長のぼやきが、狭いコックピットに響いた。

「彼ら、ワープ初体験ですよね。体調は、本当に大丈夫なんでしょうか。これから、更に亜空間ゲート内にも入るっていうのに」

 副操縦士のジョルジュも、同じ様に懸念している。

「まったくな。一応、ゲート通過を宇宙基地ギャラクシーの連邦防衛軍にも伝えておこうか」

「分かりました。通信を入れておきます」

 

 銀河中央方面総監部のあるこの宇宙基地は、通称ギャラクシーと呼ばれている。これは、地球連邦防衛軍で命名した愛称である。現在、デスラーたちが、基地の半分を使用している為、基地のあらゆる制御を行う中央司令室とは別の、簡易指揮所を古代たちは利用していた。今後の話し合いで役割分担が明確になれば、中央司令室を共同で使うことになる見込みだ。

 簡易指揮所は、中央司令室に比べると、四席の端末が設置された座席と、中央の三次元モニターが設置されたテーブルだけの、非常に狭い部屋だった。現状は、通信とレーダーによる索敵のみを行うことが可能だった。

 ここでは、主にヤマトとイセの船務科の乗員から選抜された要員が、交代でこの任に就く。現在、レーダー席には、柏木紗香、通信席には市川純がその任務についていた。

「市川さん、銀河系ゲート近傍に、地球の民間船一隻を探知。地球から報告された情報と一致してる」

「どうしようか。呼びかけた方がいいかな?」

 柏木は、少し考えて言った。

「民間人に必要以上に干渉する必要は無いと思う。向こうが、こちらに寄港したいと言ってきたら、すぐに古代司令に確認しましょう。基本的には、民間船は受け入れる方針だけど」

 しばらく様子を伺っていると、先方から通信が入って来た。

「こちら、地球ガミラス連絡船コロンビア。これより、亜空間ゲートに進入し、銀河系外縁部に移動する。どうぞ」

 市川は、受信した通信にすぐに応答した。

「こちら、ギャラクシーです。確かに連絡を受領しました」

「ありがとう。今後の予定は、ゲートを抜けた後、バラン星までワープで移動し、そこからは、ガミラス政府の指示に従う予定」

「了解。良い旅を」

 そこで、通信が切れた。

「柏木さん、念の為、古代司令にも伝えておきましょうか」

「そうね。じゃぁ、お願い」

 

 その古代は、中央司令室にいた。

 古代は、ガミラス側の司令官、ヴェルテ・タランと話をしていた。

「それでは、我々からも要員を交代で出すということで共同運営の件はよろしいですね?」

 古代が念を押すと、タランは、しばらく黙って古代を眺めていた。タランは、古代を見定めているような素振りを見せた。

「タラン司令官?」

 古代は、タランが何故黙っているのか、理由が分からず、少し困惑していた。

「古代艦長……いや、古代司令。提案なんだが、君が、ここ全体の司令官をやってもらえないかね?」

「私が、ガミラス側も含めて、ですか?」

 古代は、目を丸くしてタランの顔色を窺った。タランは、冷静に頷いている。

「これは、デスラー総統の意向なんだ。私も、この立場には執着していない。今は、ガルマン帝国に潜入させる新型の次元潜航艦の開発中でね。私は、そちらの方に集中したい」

 古代は、次元潜航艦と聞いて少し興味を持った。

「そういえば、ガミラス帝国では、兵器開発局の長官もやってらしたんでしたね」

「昔のことだがね。今、我々は、ガルマン帝国各地に隠密行動で侵入出来る、次元潜航艦を使ったイスガルマン人の支援活動を開始している。しかし、フラーケンの使う一隻だけでは、とてもじゃないが足りない。そこで、隠密性を増した五隻の新型次元潜航艦を開発中なんだ。これで、各地のイスガルマン人や、ガルマン帝国の植民惑星の者たちと連携して、ガルマン帝国からの解放を推し進めようとしている。この基地の運営は、基本的に君らに任せられれば、我々はそちらの作戦の方に集中できる、というのが、総統のお考えだ」

 古代は、趣旨を理解した。彼らは、本格的に、ガルマン帝国に介入しようとしているようだ。これは、土方に報告せねば、と古代は、考えていた。

「しかし……。それでは、あなた方は、この基地の運営から、手を引かれるおつもりですか?」

「将来的にはね。今は、ここは、我々の大切な家なので、それはない。ここには、兵だけでなく、彼らの家族もいるんだ。私も、必要に応じて君を支援しようと思う。私は、副司令官で構わんよ。ガミラス人たちが、君の言う事を聞かないようなら、そこは私が手助けするよ」

 古代は、タランが冷静で真摯な態度なのを見て、どうやら、本心で言っているらしい事を確信した。以前、ガミラス星で直接対峙した、彼の弟と言う人物とは、随分と性格が異なるようだ。

 そういえば、と、古代は、ガミラス星で、真田と彼が楽しそうに議論していたのを思い出した。恐らく、軍の統率より、科学者としての知的好奇心の方が優先しているのであろう。そういった面は、真田と似た所があるのかも知れない。

「タラン司令。それでは、私の方でお引き受け致します。少し引き継ぎの期間を頂けますか?」

 タランは、微笑して頷いた。

「もちろんだ」

 二人が、地球式の握手を交わした所で、中央司令室にいたガミラス人の通信士が報告した。

「古代司令。簡易指揮所の市川通信士より連絡。地球の民間船コロンビアが、ゲートを通過するそうです」

 古代は、タランの顔色をちらっと窺い、その通信士に返事をした。

「ありがとう。その船は前から報告を受けている船だ。特に問題ない。市川くんにもそう伝えてくれないか?」

「了解しました」

 古代は、早速ガミラス人士官が彼の指示を素直に受けるのを見て、少し恐縮していた。そんな彼に、タランは言った。

「ご安心を。既に、皆に言い聞かせてあるのでね」

 タランは、微笑していた。

 

続く…




注)pixivとハーメルン、及びブログにて同一作品を公開しています。
注)但し、以前pixivに連載した小説の加筆修正版です。以前のpixiv連載版とは、一部内容が異なります。
注)ヤマト2202の登場人物は、役割を変更して登場しています。
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