『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
エザリー「ぅ…うぅ……」
作者「ん?どうしたの二人共?」
エルレイ「最近…読んでて辛い……」
作者「あぁ……うん」
エザリー「……ジャティスに殺されて…死んじゃって……」
作者「うん…」
エルレイ「その未来を変えるために過去に向かって…」
作者「うん……うん?」
エルレイ&エザリー「甘えたいのに甘えられないもどかしさ……」
作者「待って!待って!待って!待って!!」
エルレイ「?」
エザリー「なんですか?」
作者「ええっと……一応聞くけどなんの話?」
エルレイ&エザリー「『バッドエンドの未来から来た二人の娘』」
作者「やっぱり、ていうか感想もらったらその場のテンションで無断拡散するのやめようよ……いつか抹殺されるよこの小説…」
エルレイ「でも、向こうもやってくれた」
作者「そりゃぁ……まぁ」
エザリー「というわけで、『バッドエンドの未来から来た二人の娘』を是非見てみてくださいね」
作者「エザリーまで……アステカ様、やりたい放題で申し訳ありません…」
作者「エルレイが作品で死んだばっかりなのにこの子達は……」
エルレイ「私、これが終わったら、フィーちゃんとコラボするんだ」
作者「コラボはしたいけどその前に作品内で頑張って!ホントにフィールちゃんに泣かれても知らないよ?!」
決戦当日、昼食を済ませた後今回の魔導兵団戦演習に参加する生徒たちは、駅馬車に乗り、フェジテ東門から東へ延びるイサール街道を行き、やがて街道の北側に見えてきた壮大なアストリア湖南端付近の湖畔に全生徒が集合する。湖に面したほとりに立ち並ぶ緑の木々と色とりどりに咲いた花、遠くに望む山の稜線にかかった白化粧、冷たく澄んだ湖…平日ならばのんびり散策を楽しみたいスポットだが、この湖畔から北西部にかけて、学院が保有する魔術の演習場が広がっていて、今ここで魔導兵団戦が行われようとしている……のだが。
「…」うろうろうろうろ
「…」
湖の前にきても落ち着くどころか、むしろ挙動不審になるものが一名。
「…」うろうろうろうろ
「…」
セラ=シルヴァースがまるで誰かを待っているかのように、馬車を見たり、時計を確認したりを1秒単位で行っていた。
その光景をグレンは呆れながら見ている。
「うろうろうろうろ」
「だぁぁ!!もう落ち着きねえな!!お座りしてろ白犬!!」
「だってぇ…。レイちゃんがぁ今日の朝からいないんだもん…」
ついに口にすら出し始めて、ずっとそのあたりをうろうろしているセラにしびれを切らしてグレンが怒鳴るが、未だにセラは落ち着かず、うろうろしている。
「もう学院にきてるのかなとも思ったけどいないし…」うろうろ
「誰に聞いても知らないって言うし…」うろうろうろうろ
「もうすぐ決闘なんだよ?」うろうろうろうろうろうろうろうろ
「セラ、落ち着きない」
「あ、あはは…」
全く落ち着く様子がないセラに、リィエルはボーっと見つめ、ルミアは苦笑いをした。
「大丈夫だ、どうせすぐに来るだろ」
「だから!家にもいなかったんだって!」
「お前に愛想つかして出てったんだろ?英断だ」
「何を~~!!」
そんな中、生徒は『システィーナとセラ先生の百合だ』やら『グレン先生とシスティーナの禁断の恋だ』やら、当事者からしたらむず痒いことこの上ない言葉が生徒たちから飛び交っている。
「私はなんて顔でここに居たらいいのよ…」
「えっと…、笑えばいいんじゃないかな?」
システィーナの何とも言えない表情に、ルミアは苦笑いをする。
「…ねえねどこ?」
リィエルはというと、セラに落ち着きがないと言いながらセラと同じで、ずっと視線を動かし、エルレイを探している様子だった。
そんな傍から見るとカオス状態になっているその時。
「うるさいぞ!貴様ら!静粛にしろ!!」
ハーレイが集合している生徒達の前へ現れ高圧的に一括する。
「さっそく、これから魔導兵団戦を始めるが、まずはルール説明を…」
「ま、まって!」
エルレイのいない状態で始めようとするハーレイに、セラは待ったをかける。
「なんだ?セラ=シルヴァース」
「レイちゃんがまだ来てないの…」
「ふんっ!!ならば奴は棄権という事だな!時間はすべてだ!当然だろう!!」
「う…」
高圧的なハーレイにセラは黙り込む。
「落ち着けセラ、喧嘩を売った時のあいつの目は俺達でも凍り付くほどだったんだぞ?」
「…それは」
セラはエルレイがレオスに向けた。
冷酷で濁り切った殺意と呼ぶにふさわしい顔を思い出し、顔が青ざめるのを感じた。
「……」
「アイツの事だ、なんか考えがあるんだろう。俺らが行動起こしても邪魔になるだけだ」
「…そうだね」
セラはあきらめたようにグレンに向き直り、手袋をきゅっと付け直して気合を入れた。
「私たちが、頑張らなきゃ…ね」
「おかしな、ものです」
そんな話をしていると、二人と生徒の前にレオスが姿を現した。
「んだよ?なんかようかレオス」
「いえ、可笑しいものだなと思ったので…、つい」
「何?」
そういうとレオスは、まるでエルレイをあざ笑うかのように笑った。
「臨時教師の方をよくそこまで信用できますね?しかもこの場に来なかった…つまりこの状況から逃げた、というわけです」
「…」
「それをあなたたちは信じるだなんだと、とても滑稽でして」
「…黙れ」
「あんな、何を考えてるかもわからない醜そうな女性を信じるなど正気の沙汰では───」
「黙れっ!!!!」
瞬間、レオスはグレンに胸ぐらをつかまれる。
レオスは抵抗しずに、呆れたように言葉を続けた。
「まあ、いいです。どうせ彼女はこの場には来ませんし…いえ、もう一生あなた方の近くにいることも無いかもしれませんがね」
「っ…まさか貴方…」
セラの言葉には反応せず、レオスはそのまま自分の生徒の元へと体を向けて歩き出す。
「では御機嫌よう、システィーナは私が貰っていきます」
そう言い残し、レオスはそのまま去っていった。
「…」
「グレン君…レイちゃんは…」
「気分が変わった…。死ぬ気でこの魔導兵団戦…。勝ちにいくぞ」
「…!うんっ!」
そう言いながら二人は2組のみんなと最後の作戦会議を始めた。
やがて、立ち会う審判員の講師が遠くで狼煙をあげて───魔導兵団戦が始まった。
互いのクラスの兵力はそれぞれ40人、グレンはまず、中央の平原ルートに12人進軍させ、北西の森に12人、東の丘に1人、残りを拠点に残した、積極的な進軍はせず、まず様子見といったところらしい。
「……」
レオスは黙ったまま、少し考えた後指示をした。
「皆さん出撃です」
対するレオスは中央ルートに18人、森ルートに12人、丘に9人、勢力を投入、それぞれの戦場で相手を上回る兵力を投下し、各個撃破の構えだ。
「…愚策」
レオス自身にはそうとしか思えなかった。これではまともにやれば勝ち目はない、まともにやれば…。
「どうするつもりなのか……」
レオスは顔色を変えず、戦況を見た。
レオスの采配により、レオスのチームが優勢になる…、はずだった。
「《大気の壁よ》──!」
「《大気の壁よ》──!」
レオスの陣営が撃ってきた攻性呪文に対し、グレンの陣営の生徒は次々とエア・スクリーン──を最も基本的な対抗呪文を起動し、空気障壁を広く張り、迫りくる突風を受け止め、飛んでくる紫電をそらし──。
「頼むカッシュ!今だっ!!エルレイ先生に勝利をぉ!」
「おう!!エルレイ先生に勝利をぉ!《虚空に叫べ・残響為るは・風霊の咆哮》──!」
「《雷精の紫電よ》!!」
「《大いなる風よ》!!」
対抗呪文を唱えていた生徒たちの隣に待機していた。
生徒たちが謎の掛け声とともに、次々と攻性呪文を唱えていく。
「「「「エルレイ先生に勝利をおおおおおおおおおおおおおお!!!」」」」
正直うるさいほどに。
「うるせぇ!!!くそっ!《大気の壁よ》──!!」
レオスの陣営の生徒が泡を食って対抗呪文を唱える。
「…へえ」
レオスは驚きの声をあげた。
何故ならこちらが押されているからだ。2組は3人一組でなく2人一組で構成し、行動している…、しかし二人1組なんて邪道で、許しがたい行為。
「さすが、と言っておく」
レオスが苦笑いをしながらもう一度戦況を見た。
相手が1人だけいるところはどうなっているだろうか。
「丘の拠点制圧はどうなっていますか?敵は一人だったはずですが」
特に焦りを見せないレオスが、各方面の部隊長に持たせた宝石型の通信魔導器で、丘のチームに連絡を取る。
「そ、それが…」
レオスの陣営の丘ルートの隊長が脂汗を滝のように流しながら、通信魔導器を耳元に当てていた。
「無理です!丘の拠点制圧なんて不可能です!!僕たちには無理です!」
『…どういうことですか?相手は一人だったはずですが』
レオスの声が通信魔導器から聞こえてくる。
「で、でも…相手は一人ですけど…ば、化け物ですっ!!!」
悪魔を見るような表情で丘のチームの隊長は敵兵を見つめる。
そう、我らがリィエルだ。
「《雷精の紫電よ》──!!」
「《雷精の紫電よ》──!!」
最早、焦りのあまり、3人一組すら忘れてしまったらしい。
12人のレオスの陣営の生徒たちが、一斉に攻性呪文を撃ちまくる。紫電が幾条もリィエルに殺到する。
「《雷精の紫電よ》──!!」
撃って、撃って、撃ちまくる。撃ちまくるのだが──。
「…ん」
当たらない、かすりもしない。眠たげに左右へふらふらと揺れるだけで、リィエルはすべてかわせてしまうのだ。
「くそう!!なんで当たらねえんだ!!」
「ん、ねえねのために、当たっちゃダメだって」
リィエルは眠たげに、しかし目には力が宿りそう答えた。
───
『レオス先生!大変です!』
レオスの通信魔導器から切羽詰まった声が聞こえてくる。森方面へ進軍したチームからだ。
「…どうしました?」
『そ、その…信じられないんですけど…』
確認するように、ひと呼吸おいて。
『グレン先生とセラ先生が…、俺たちの前に……森の戦場の最前線に現れましたっ!』
「え?」
信じられない生徒の報告に…レオスはポケットに手を入れ、何かを手に取るように空をつかんだ。
「ふっはははははははははははははははははは─────っ!!刮目せい、皆の衆っ!グレン=レーダス大先生様軍の総大将はここにいるぞおおおおおおおおおおおおおおおお──っ!!」
「どこからでもかかっておいでええええええええええぇ───っ!!お姉さんがあああああああああ、相手してあげるぞおおおおおおおおおおおおおおお──!!」
グレンとセラがこれでもかと思うほど大きな声を出し、叫びまくる。
「我こそはと思うものは、我ら二人を打ち取ってみよっ!」
「まっ!!簡単には倒れないけどねぇっ!!」
「「あああぁぁぁっ!!はっはっはっはっはっはっは!!!」」
セラらしくないほどゲスい声と、グレンのゲスい声が重なり、絶妙なウザさを醸し出していた。
「お、追え!グレン先生とセラ先生を打ち取れ!この戦いは敵の指揮官を打ち取っても勝ちなんだっ!チャンスだ!」
「《雷精の紫電よ》──っ!」
当然、レオス陣営の生徒何人かがグレンとセラを追い回し、次々と呪文を撃つが。
「ふっはははは!白犬!!躱せ!!!」
「ポケモ〇トレー〇ー、最強指示、躱せっ!!って私はポケモ〇じゃないし犬じゃないってば~」
当然当たらない。
もともと遮蔽物が多く、視界の悪い森の中。それらを巧みに利用して、グレン、セラは互いに後ろをカバーしながら、ひらりひらりとかわし続ける。
「はあああああああああっはははははっ!!この程度か若造よ!!」
「活躍しないとレイちゃんに顔向けできないじゃん!!もっと私たちを楽しませてよっ!!!」
「「はああああああああああっはっはっはっはっはははっはっはっは!!」」
この騒ぎまわってる二人にレオス、レオスの率いるクラス、2組、一人残らずこう思った。
(((((UZEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!)))))
「…皆さん、落ち着いて、各個撃破してください」
そんな状況の中、レオスは指示を正確に行い、できるだけうまく立ち回れるかのように見えるように動くように仕向けた。
「さて…、そろそろ」
そんなことをレオスが呟いた。
───その数時間後。
「くっ!!これ以上は…!」
「レオス先生指示を!!」
「レオス先生!!!」
「……?」
「あ、あれ?」
「「「「「い、いなくなってるうううううううううぅぅぅぅぅぅ!!!!」」」」」
突然いなくなったレオスに全員困惑した。
「「「「「え、ええええええええええええぇぇっぇぇぇぇぇ!!!!」」」」」
二組含め。
結局2組が勝利した…。
★★★
あるところに、一人の少女がいた。
その少女には大切な親友たちがいた。1人は祖父を受け継ぎ研究者となり、もう一人は母を受け継ぎ王女になった。そんな皆が成長する中、少女は物心ついて頃から所属している軍でいつものように敵を斬り、いつものように剣を振るっていた。
みんなはどんどん変わっていくのに、自分は何も変わらない。ただただいつも道理敵を斬るだけ、何時しかその少女はこう考えるようになった…。
「なんだ、お前から呼び出しなど」
「…ん」
その少女は自分をどうにか変えるため、ある決心をした。
その少女は自分の同僚の男を呼び出し、机に封筒を置いた。
「なんだ、これは」
「ん、Project:Revive lifeの、簡略したもの」
「それで、なんだ」
「この術式、わたしに組み込んで」
「!!」
その男は驚いた。
その後封筒を開けて読み、冷酷な目を少女に向けた。
「ふざけているのか?」
「ん、マジ」
その少女は顔色をかえることなく断言した。
「Project:Revive lifeは、壊滅した。その術式制作したのはわたし」
「……」
その男は黙って少女の話を聞いた。
「これを使えば、わたしは、死んでも生き返れる。これでどれだけでも、みんなの役にたてる、どれだけ傷ついてもどれだけ痛めつけられても」
「落ち着け、お前は最近焦りすぎだ。何をそんなに焦っている」
確かにこの男の言う通りだとは少女も理解している。
しかし少女にはもう耐えられなかった。何も変わらない自分が…
何かを変えたくて、みんなみたいに大人になりたくて、必死に仕事を頑張って頑張って…それが焦りとして出ていたのかもしれない。
「お前はその見た目だが、まだ幼いんだ。落ち着け、大人ぶるな」
「それが、分からない」
「…」
「わたしは、みんなと学院で頑張って、成長した。今だって成長できるハズ、なのにどうして……!大人ぶってない…!ただみんなと…同じ目線になりたいだけなのに…!なんでわたしだけ…!」
「だから、この術式をお前に入れろ…。と?」
男のその言葉に少女は頷いた。
「こんなこと、ほかの人には、反対されるのが分かってる…でも、アルベルトなら…」
「…」
「わたしは…普通の人じゃない。だから普通の成長が…できない、んだと思う……だからせめて、大切な人のために……」
「…わかった。やってはやるがそれはお前の心臓が停止した場合に術式が起動する仕掛けにする…。そしてそれをむやみやたらに起動させることは俺が許さん」
その男は優しくその少女の手を握りながら、冷酷な目を向ける。
「約束しろリィエル。一生使わないと」
「…ん、ありがとう」
★★★
「よし」
エルレイは何者かに打たれた直後、例の術式を使い復活し、夜…、レオスの部屋に忍び込んでいた。
「寝てる」
寝ているのを確認したエルレイは、即座にポケットから注射器を取り出す。その薬は、『天使の塵』の抗体から作られた
「これで、大丈夫」
エルレイは薬を投与した後、クローゼットから1着服を頂戴する。
そして───。
「《刮目せよ・我が幻想の戯曲・演者は我・我は彼の声で歌わん》」
エルレイはセルフ・イリュージョンを詠唱し、体をレオスにして、レオスの服を着る。
「それにしても…あの時に対峙して死ねたのは…本当に
エルレイは安堵するようにため息をついた。
あの場で暗殺されてなければ、エルレイは敵の居場所がわからず、レオスを救出する作戦が水の泡になるところだったからだ。暗殺されて、もう動かないと安心している奴らは、こんなことをしているなんて…夢にも思わないだろう。
「でも…なに、この違和感」
すべてが上手く進んでいる。
何もかもが自分の予想通り、そしていい方向に進んでいるはずなのに、何か胸騒ぎがする。
「…気のせい、だよね」
エルレイは気のせいだと思い込むことにした。
「上手くいきすぎてるから…そう思うだけ」
エルレイは自分の拳を握り締めた。
「そう、違和感なんて、ない」
この違和感が何かとんでもないことになるかもしれない。
そう思うと不安で仕方がない、今のリィエルはもう一度生成され、生まれたばかり、0歳の精神年齢と同じなのだ。
だから泣きそうなほど怖い、でも絶対に子供みたいに泣いてやらない。自分の事を理解してくれる親友のみんなのために、絶対に───。
大人になることはなくても子供には戻らない。
★★★
「…ごめん、アルベルト。
レオスの姿をしたエルレイはそう呟き、その場をゆっくりと去っていった…。
「元凶さえ、潰せば…。今回の件は…終わる。だから、私頑張るよ…ルミア、システィーナ、シュウ、ロクサス…」
レオスの姿をしたエルレイは、自分の学院でいつも一緒に居た4人の名前を一人ずつ思い返す。
「どこかで私の事を応援してね」
よろしければ評価、感想をお願いいたします、励みになります。
エルレイ2「さて、最後の仕上げ」