『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ   作:エクソダス

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思ったより書いてほしい意見が多かったのでうろ覚え原作知識で書きまーす(血涙)


六巻
姫の予感


レオスの1件が終わり、安堵していたエルレイ。

 

これ以上の地獄は

 

ないだろうと信じたかった。

 

されど人生最悪の日は

 

いつも唐突に。

 

「グレン君、君クビね、君がいなくなったら担任はエルレイ君、副担任はセラ君にやってもらうよ」

 

「「「…え?」」」

 

不意に2組の三人に突き付けられた、リック学院長の余りにも無慈悲な最後通牒。

 

「「え、えええええええええええええええええ!!!」」

 

アルザーノ帝国魔術学院にて、グレンとセラの素っ頓狂な叫びが響き渡る。

エルレイはなにが起こったかもわからず、口を開けて困惑している。

 

「ど、どうゆうことですか?!グレン君がいきなりクビなんて!」

 

動揺しながらセラは、学院長に猛抗議しようと詰め寄る。

 

「お、俺、クビになるようなことは───…た、多分、一つもやってないっすよ?!」

 

「そこは断言しよ?学院長。なぜ…クビになるのか、理由をお聞かせを」

 

エルレイはセラの背中を、ポンポンッと叩いて落ち着かせた後、落ち着いて問いただした。

 

「すまない、先程の物言いには語弊があったのぅ、訂正しよう」

 

「……語弊っすか?」

 

「うむ、より正確には『君、このままだとクビになるぞ』のほうが正しい」

 

「そ、それっていったいどうゆう──」

 

と、セラとグレンが学院長の言葉に食いついているその時。

 

「ったくバカだ、バカだとは思っていたが。まさかここまでバカだとは思っていなかったぞグレン」

 

壁に背を預けたセリカが、グレンたちの会話に割って入った。エルレイでもわかるほど、相当お怒りのご様子。

 

「エルレイ、この間の魔術論文の提出期限覚えてるか?」

 

そんなことを聞いてきた。エルレイは特に動揺することなく答える。

 

「論文…魔術論文の提出期限なら、1週間前。だったはず……え、まさか」

 

「そのまさかだ…グレンの奴…、それを提出してない」

 

エルレイとセラは何とも言えない驚愕の顔をする。

 

「ぐ、グレン君?」

 

グレンは鳩が豆鉄砲をくらったかのような顔で二人に助けを求める様に視線を動かしていた。

 

「……なにそれ、それ、俺も書かなきゃダメなの?」

 

「いやいやいや!!業務規定書読んでないの?!それ書かないとホントにまずいやつ!?」

 

そんなグレンにセラは両肩を掴みながら怒鳴る。

 

「なるほど、それで解雇になりかけ、と」

 

エルレイは片手で顔を覆いため息をついた。まさか論文をグレンがやっていないとは、完全な想定外である。

 

「講師職の雇用契約の更新条件は、定期的に研究成果を魔術論文にして提出すること──これはれっきとした魔術学院ルールだ、ルールの穴をついて、お前を講師職にねじ込んだ時と状況が違う、いくら私だってさすがに庇えないぞ?どうするんだよ?」

 

「セリカ、セラ、良いことを思いついた。このまま無職引きこもり生活にもど──」

 

「「却下!!!」」

 

この期に及んでふざけたことを抜かすグレンに、セラとセリカは容赦なく蹴り倒した。

エルレイはとても軽蔑した目でグレンを見ていた。

 

「グレン…」

 

「そんな顔するな、エルレイ。冗談はここまでだ」

 

よろよろとグレンが立ち上がり、学院長に真っ直ぐ向き直った。

 

「何とかなりませんか、学院長、こんなこと俺が言う資格なんてないですけど……俺もう少し、この二人と一緒に講師続けたいんです。せめてあいつらが卒業するまでは」

 

そんなグレンにセリカとセラは驚愕の目を向けていた。そんなことを今のグレンが言うとは夢にも思ってなかったのだろう。

 

「ふむ……」

 

その珍しく殊勝な態度のグレンに、学院長も神妙な面もちで押し黙る。

 

「論文の提出、もう少しだけ待ってください!必ず何か書いて提出しますんで…お願いします、チャンスをください!!」

 

(白々しい……)

 

エルレイはそんなグレンを見ながら、一番にその単語が浮かんだ。

どうせクビは流石にヤバいとか……、そんなことを考えながら頭を下げているに違いない。そんなことをエルレイは思った……。

それはリィエルとしてのグレンとの付き合いの長さから、顔の表情一つ見なくても大体何を考えてるかはわかるのだ。

 

(さすがに……この白々しいのには…セラもセリカも気付いて───)

「そこまでして魔術講師を続けたいだなんて……よかった…お前、本当に変わったんだな…本当に良かった…」

 

「グレン君…。私は……ずっと信じてたよ?…優しくて頑張り屋さんなグレン君がいつか戻ってきてくれるって…」

 

涙を拭うしぐさをしているセリカとセラ、その表情は、まるで何か救われたかのよう……。

 

 

(ば か し か い な い の か こ の 学 院 )

 

エルレイはこんな状況にため息をつきながら見つめていた。

 

 

 

★★★

 

そんなこんなでタウムの天文神殿への再調査を乗り出した三人。

そこは危険度も高くないこともあり、生徒たちも連れて行こうという話になった(人件費削減のグレンの屑行動)

 

「そんなわけで、タウムの天文神殿へ行く、行きたい人」

 

エルレイは教室で、行きたい者がいるか即座にアンケートを行った。

 

「あの、それってもしかして…。グレン先生の噂の事と関係が?」

 

「勘のいい子は嫌いだよ……」

 

小さな声でそんなことを聞いてきたギイブル。

そういえば論文をやっていないと言う噂が流れていたが、流石にそれはないだろうと決めこみ、信じてなかったが……。

まさか事実だとはエルレイも想定外だった。

 

「えっと…。じゃあわたしはいきます!」

 

「ルミアが行くなら、私も行く」

 

ルミアとリィエルがすぐに、名乗り出てくれた。この調子ならすぐにシスティーナも。

 

(…あれ?)

 

なぜか不機嫌そうなシスティーナ。

おそらくプライドが邪魔をして、名乗ることができないのだろう。そんなこんなでかなりの2組の生徒が参加してくれることになった…。ありがたい限りだ。

 

「おっけー、これでいきたい人は全員だね?じゃあ詳しいことは後のミーティングで」

 

「まって」

 

セラが手をおぱんぱんと叩いて、応募を締め切ろうとしているところをエルレイは止めた。セラは不思議な顔をする。

 

「ん?どうしたの?」

 

「連れていきたい人がいる」

 

そういうとエルレイはその場から数歩歩き、ある生徒の目の前まで来た……その生徒は。

 

「エルレイ………先生?」

 

何か…、もう完全に元気がなくなっているシスティーナの元へだ。

 

「君が、一番こういうのは向いてるし、将来的にも、役に立つよ、ついてきてくれない?」

 

エルレイはしゃがみ込み、システィーナにそう言った。するとシスティーナは元気を取り戻したかのように。

 

「し、仕方ないですね!エルレイ先生がいうなら仕方なく!行きます!仕方なくですからね!普段エルレイ先生にはお世話になってますしその先生からの提案を破棄するようなこと私にはできないですしそもそも────」

 

そんなことを言いながら、システィーナはうれしくてたまらない様子、エルレイは苦笑いしながら、その場にいる全員、こう思った。

 

((((やれやれ、面倒な子だなぁ……))))

 

 

 

 

★★★

 

『リィエル…リィエル…』

 

「……ん…?メロンパンを買ってくるのです?」

 

『違うよ!…気を付けて』

 

「なに……ひめ」

 

『何か胸騒ぎがする…』

 

「……胸騒ぎ?」

 

『今回の調査、十分に気を付けて…』

 

「…わかった。エリエーテ様、おおせのままに…」

 

『君にそういわれると何かくすぐったいな』

 

「急に夢に出てきた仕返し…。じゃあね」

 

『ああ、気を付けて』

 

・・・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・

・・・・

・・・

・・

 

「……ん」

 

エルレイが目を覚ますと、そこは馬車の中だった。

どうやら移動している途中で眠ってしまってらしい。エルレイは欠伸をしながら周りを見渡した。ギャンブルをしていたり、皆それぞれで楽しんでるようだ。

 

「あ、レイちゃん、おきた?」

 

隣りにいたセラが優しい声で話しかけてきた。どうやら結構寝ていたらしい。

 

「……ん」

 

「いい夢はみれた?」

 

「……まあまあ」

 

夢の中に知り合い?が出てきたことを思い出し、あいまいな返事をセラに返す。

 

「まあまあか~、まっ、私はレイちゃんの寝顔見れたからいいんだけどね」

 

「……そ」

 

セラのよくわからない反応に、どう言ったらいいかわからず…苦笑いでエルレイは返した。

 

(ひめ…、一体何をそんなに心配してるの?)

 

最近疲れてるせいか、昔起こった出来事をロクに思い出せれない。もしかしたらレオスの一件であの術式を使ってしまったからその反動が出ているのかもしれ───

 

「……?」

 

「ん?レイちゃんどうしたの?」

 

「何か可笑しい」

 

「え?」

 

周囲を見渡していたエルレイはある違和感を覚えた。

何故なら乗っている馬車は、左右鬱蒼と深く茂る森沿いを走っているからだ。こんなルート使わなくてもタウムの天文神殿には行けるハズ、なぜ。

 

「業者さん、このルート、可笑しくはありませんか?」

 

「……」

 

業者はエルレイの疑問を無視し、そのまま黙々と馬車を操り続けている。

 

「黙ったままならば……」

 

エルレイは懐から拳銃を取り出し、業者に向ける。

 

「撃つ」

 

「ちょ、ちょっとレイちゃん落ち着いて…」

 

セラがエルレイを宥めようと近づいてきた。

 

────その時。

 

馬車の左右の鬱蒼と茂る森──その薄暗い森奥から。ざざざざ──と複数の何かが駆け寄って

近づいてくる気配。

 

「…気が緩みすぎていた」

 

エルレイはくやしそうに唇をかんだ。

その瞬間馬車の前方と後方、森の茂みの中から、無数の黒影が飛び出してきた。その影たちはあっという間に馬車を取り囲み、それに驚いた馬はその場に止まってしまった。

 

「シャ、シャドウ・ウルフ!?」

 

システィーナは驚愕の声を上げる。

シャドウ・ウルフとは鋭い爪と牙、らんらんと光る眼、読んで字のごとくの影のように真黒な毛並みを持つ…、狼型の獣だ。

 

「あ、あ……ぅ…ひぃ……魔獣……あんなにたくさん」

 

「うう……どっ、どうして私がこんな目に…っ!」

 

生徒たちが混乱している、このままではまずい。

リィエルをルミアが起こそうとしているが全く起きる気配がない。

 

(寝てる間に…こんなことあったなんて)

 

「みんな、落ち着いて、セラ、みんなの事任せる」

 

「う、うん!」

 

エルレイはそういうと、業者に向けていた銃を数十体はいるであろうシャドウ・ウルフに銃口を向ける。

 

「…数が多すぎる」

 

エルレイは仕方ないという顔でもう一丁拳銃を取り出して、二丁拳銃で構えて、何かを詠唱し始めた。

 

「《おいでなさい・ザフキエラー》──!」

 

エルレイがそう詠唱すると、エルレイの後ろに錬金術で生成された小さな金色の時計のようなものが宙を舞う、その時計はエルレイが弾丸を発射したと同時に時計の針が一回転し。

 

バシュン!!

 

片手拳銃とは思えない速さでシャドウ・ウルフへ飛んでいき、頭をぶち抜く。

バシュン!!バシュン!!バシュン!!バシュン!!バシュン!!バシュン!!

エルレイは高速化した弾を使い、シャドウ・ウルフに向けて撃ちまくる。

 

「さ、さすがエルレイ先生!俺たちにできない事を平然とやってのけるっ!!」

 

「「「「そこにしびれる憧れるぅ!!」」」」

 

「う…うるさい」

 

カッシュを筆頭に騒ぎ出す生徒たちをエルレイは顔を朱色に染めながら口で宥める。

……そんなとき。

 

カシュッ、カシュッ

 

「っ、弾切れ」

 

エルレイは現在交換用の弾を持参してきていない。

なので詠唱して生成し、球を補充する必要があった。エルレイはすぐさま詠唱しようとした……、その時。

 

「エルレイ!いったん下がれ!」

 

そんなグレンの声が後ろから聞こえた。エルレイはその指示に従い、生徒たちが居るところまで下がった。

 

「この不届き者め!俺の生徒たちに手をだそうたぁ、いい度胸じゃねえかっ!」

 

威風堂々と腕を組んだグレンが、不敵にそう言い放ち……。

 

「この俺が成敗してくれる──とうっ!」

 

窓の珊に足をかけ、跳躍、そのまま馬車の外へ飛び出し──。

 

「──ふっ!」

 

前方宙返りにひねりを三回加え、きれいに着地……。

 

ぐぎり。

 

決めれるわけがなかった。

グレンの右足首から、変な音がした。

 

「ああああああああああああああああ!!!アシクビヲクジキマシタァァァァァ!!」

 

 

(なんで私は素直に下がっちゃったんだろう)

 

エルレイはこの光景を見て両手で顔を隠した。

 

「グレン君!!なんで舗装されてない場所でカッコつけようとするかなぁ!」

 

「グレン、やっぱりいい、さがっ──」

 

エルレイがそんなことを言おうとした瞬間。

 

「《罪深き我・逢魔の黄昏に独り・汝を忍ぶ》」

 

不意にエルレイの耳へ、そんな呪文が届いた。

その刹那、ひゅご─、と御者台空旋風が吹き荒れて、グレンを襲おうとしていた、魔獣の鮮血がまき散らされ、空に飛んで行った。

 

「…セリ、アルフォネア教授??」

 

「ム?気付くのが意外と遅かったなエルレイよ」

 

「なんだ、お前いたのかよ」

 

そんなことを言いながら、業者の者はフードを取った。そこに現れたのはセリカだった。

 

「しかし、お前のあの高速弾丸は驚いたぞ?オリジナルか?」

 

「……違う、親友の精霊術のアレンジ」

 

「精霊術?」

 

エルレイが先程使っていたのは、ロクサスという者の戦闘スタイルの一つを真似ようとしてできたものだ。なのでエルレイのオリジナルというわけではない。

 

「まあ、いい、とりあえず後は私がやるさ」

 

「了解、です」

 

そういうとセリカは剣を片手に戦闘を始めた。それはあまりにも一方的な虐殺だった。

視界の端から端へ、霞消える様に高速移動し、剣を振るうセリカ。この攻撃をすべて見切れるものはほとんどいないだろう。

 

(…やっぱり、ひめみたい)

 

エルレイはセリカの戦いを見ながら、夢の中に出て来た者がセリカの戦闘を見ていてフラッシュバックした。

 

 

★★★

 

「なんかレイちゃんって何でもできるよね」

 

「……ん?」

 

セリカの戦いを見終えた後、馬車の中でセリカ、グレン、セラに囲まれ、話しかけてきた。

 

「二丁拳銃なんてほとんどだれも使ってねえだろ、それにお前剣術の伊能もあるしよ」

 

「私の剣術は、シュウの受け売りで、二丁拳銃はロクサスっていう人のかじった」

 

「シュウって、たしかレイちゃんの初恋の人だったよね?」

 

エルレイはこくりと頷く。

 

「あれほどの二丁拳銃の腕前、受け売りのロクサスとやらは相当強いのだろうな」

 

セリカはにかっと笑いながらエルレイに向けて言う。

 

「つよ…い?」

 

確かにロクサスは強い、それは事実だ。

しかしあれを強いというカテゴリで分類していいものか……、寧ろロクサスという少年自体が()()だとエルレイは思っていたので、少し言いよどむ。

 

「その二人は、エルレイにとってマジで大切な二人なんだな、どんな奴らなんだ?」

 

どんな奴ら……シュウと、ロクサス、どんな奴。

エルレイは少し唸った後に、同級生を例える言葉とは思えない言葉を口にした。

 

「ツンツンデレクソ野郎、と超絶ダメ人間製造野郎、かな」

 

「「「……え?」」」

 

三人とも目を丸くした。

 

 

 

 




エルレイ2「エルザ、ロクサスって強いで、良いのかな?」

エザリー「え?何急に……」

エルレイ2「いや……人間の強さじゃないし、なんていえばいいのか…天災かな?」

エザリー「…ブラックホール。じゃない?」

エルレイ2「それだ」

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