『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
エルレイ「出すの遅すぎ、死」
えちょ…ま(殴)
エルレイ「ん…ふぁ…あ…」
リィエルの短期留学が無事に終わり、エルレイは安堵しながらセラの家の前で背伸びをしていた。
エルレイ「システィーナにも会えたし、悪くない収穫」
そう言いながら、エルレイはポストを確認した。特に何もなし。
エルレイ「さて、そろそろ準備しないと」
今日は、リィエルの留学終了記念、そしてエルレイの退職騒動のお詫びもかねて、エルレイのお金でどんちゃんしようぜ★ということで、出かける予定だ。セラはもう出て行ったらしい、姿が見えない。
エルレイ「やっと…羽が伸ばせる…。ゆっくり英気を養わない──」
そういいながら、エルレイは見渡すと、見た。いや見えてしまった。
ライト「……」
玄 関 前 で 倒 れ て い る 少 年 の 姿 を。
エルレイ「……はぁ、なんでこうも面倒が………」
エルレイはため息をつきながら、その少年を抱えて自分の部屋まで運んだ。
ライトが目が覚めるとそこは見慣れない所だった。
机や椅子があり、机の前には写真が飾られている。ライトはどうやらベッドに寝かされているようだ。
ライト「...........どこだ? ここ」
ゆっくりと体を起こし、周りを見る。
なぜ自分はこのような場所にいるのだろうか。
エルレイ「・・・ん、目が覚めた?」
少し困惑していると、隣に女性がいることに気付いた。
その女性は青髪でアホ毛が少し目立つ魔導士礼服のような服を着ている20代くらいの女性だった。
エルレイ「大丈夫?どこも打ってない?」
心配そうな声で女性は聞いてきた。
しかしその女性は…なんとなくだが…ある少女に似ている気がした。
ライト「.....リィエル?」
思わずライトがつぶやく。
その女性は、ライトの古い知り合いのリィエルに似ていた。
まるで、リィエルがそのまま10年程成長したような姿だ。そこで、ライトはその女性に聞いてみることにした。
ライト「えぇと......どちら様ですか?」
エルレイ「……またその名を…」
その女性は少しため息をついたように見えが、すぐにライトの元に向き直る。
エルレイ「私は、エルレイ、リィエル・レイフォードの…保護者…かな?」
そう言いながらエルレイと名乗る女性は苦笑いをした。
ライト「......リィエルの保護者?」
ライトはその言葉に疑問を覚える。
アルベルトから、リィエルは何かしらの計画によって作られた人造人間と聞いている。
そのことについて詳しく聞いたわけではないが、目の前の人物が嘘をついていることは明白だ。
ライト「あぁ。リィエルの保護者さんですか。僕は、ライト=シュラウザー。リィエルの古い友人......ですかね」
だが、あえてライトは気づかないフリをした。
エルレイが味方であるという保証はどこにもない。ひとまずは様子を見ることにしよう。
エルレイ「…ま、警戒するのも無理ないね」
そういいながらエルレイは頭を掻いた。まるでライトの心中が見えているかのように、的確に警戒しているのを見抜いてきた。
エルレイ「まあ、いいや、ご飯は食べれる?」
そういうとエルレイは片手にサンドイッチをもって、ライトに差し出す。
ライト「....お見通しってわけですか」
バレた以上、隠す意味はないだろう。
警戒を解かないまま、ライトはビルドフォンを取り出し、サンドイッチに特殊な光を当てる。
しばらくすると、画面に『
ライト「......毒や薬の類は入ってないみたいですね」
安心すると、サンドイッチを一切れだけ口に放り込んだ。
口中にイチゴジャムの甘い味が広がる。
正直、腹が減っていたので助かった。
エルレイ「それって…ビルドフォン?」
エルレイは少し驚いた表情を見せる。
エルレイ「それにシュラウザー…もしかして君、ビルデネアの出身?」
ライト「.....ッ!?」
ビルデネア、という名を口にしたエルレイを驚愕の表情で見つめる。
ライト「なんでその名前を....?」
そして、ある1つの考えが浮かぶ。
リィエルを知っていて、ビルデネアのことまで知っている。
そんなことを知っているのは、天の智慧研究会のメンバーしかいないはずだ。
そう考えると、ライトは素早くビルドフォンからドリルクラッシャーを転送し、エルレイの喉元へ突き出す。
エルレイ「…ごめん、混乱させちゃったね」
そう言いながらエルレイはドリルクラッシャーを優しく触る。
エルレイ「ちゃんと本当の事を話すよ、落ち着いて聞いてね」
エルレイは覚悟を決めたように目を鋭くさせた。
エルレイ「私はリィエル・レイフォード、ちょっと先の未来の…ね、そしてここは…゛君の知る世界じゃない ゛」
ライト「........未来とか、君の知る世界じゃないとか、簡単に信じられると思うか?」
ライトはドリルクラッシャーを突きつけたまま、語調を荒くしてエルレイに問う。
エルレイ「もっとも、だから信じろなんて言わない」
そう言いながらエルレイは、いちごタルトを差し出した。
エルレイ「だから君は、私の首を今すぐ斬っても構わない、少しでも信じてくれるなら……私の話を最後まで聞いて?」
ライト「.........」
ライトは大人しく剣を下ろした。
信用した訳では無いが、エルレイからは敵意を感じなかった。
ライト「......わかりました。話を続けてください」
そう言い、ライトはベッドに座り込む。
エルレイ「…ありがとう」
エルレイはそう言いながら一礼をした。
エルレイ「順番に問に答えるよ、まず私が、リィエルだという証明…」
そういうとエルレイはがさごそとポケットを弄る…、そして数秒後。
(あ……、やばい。そういえばタロットカード)
エルレイ「あっ……そうだ、あの子に渡しちゃったんだ…」
そう言いながらエルレイはため息をついた。そしてエルレイは、苦笑い混じりに聞いてくる。
エルレイ「リィエルの証明…錬金でいい?」
ライト「.....まぁ、いいですけど」
脂汗を垂らしながら答える。
ライト「...それと、なんでビルデネアのことを知っているのかも教えてもらっていいですか?」
エルレイ「ん、《万象に希う・我が腕手に・剛毅なる刃を》」
ドンっつ!!エルレイ詠唱した後が地面を殴って辺り一帯に紫電が走る。
次の瞬間。
エルレイの手に大きなクロスクレイモアの大剣が出現した。
エルレイ「私は特務分室時代、ある奴らがキッカケで、ビルデネアの警護をしていた事があってね、それで君の名前が、ある科学者の夫妻と同じだったから、もしかしたらと」
ライト「......本当にリィエルなんだな」
エルレイが握っている大剣を見つめて、そう言う。
リィエルとわかった以上は敬語を使う必要はないだろう。
ライト「......俺の父さんと母さんを知っているのか?」
期待を込めた目つきで、ライトはエルレイに問う。
エルレイ「……」
──────
『…悪いことは言いません、極秘に廃棄すべきです、我々に渡すべきでは…ない』
『ごもっとも、確かにこの機密事項は帝国軍には渡してはいけないものでしょう。しかし、リィエルさん。貴方なら』
『…』
『我々を救い、我々を理解してくださった貴方なら、これを正しく扱えると信じております』
この
─────
エルレイ「やっぱり…君はあの二人…」
エルレイは自分がリィエルだと理解してくれたことを確認し、武器を消失させる。
エルレイ「ん、知ってる、かなりお世話になった二人だからね」
ライト「.......ってことは、この世界の俺のことも知っているんですか?」
ライトは両親と一緒にいて、科学の研究をずっと見ていた。
ならば、ライトのことも知っているはずだが......。
エルレイ「ごめん、その答えはのー」
エルレイは少しうつむいた。
エルレイ「確かに私は、君の両親であろう人を知ってる、けど君は知らない」
エルレイはそう言いながらいちごタルトを頬張った。
エルレイ「つまり私は、君の両親はいたけど君自身はいない世界にいた…というわけ」
ライト「.......そうか」
ここは、エルレイの言う通り、ライトが生まれなかった世界線なのだろう。
つまり、ここは仮面ライダービルドが存在しない世界という事だ。
ライト「じゃあ、スマッシュのことは知ってるか? .....人間がネビュラガスを吸って変化する怪物なんだけど......」
エルレイ「知ってる、私の世界で、天の智慧研究会という組織が目をつけたProject:Revive lifeの代用品…」
エルレイは少し悔しそうに唇をかんだ。
ライト「.......そうなのか」
やはりこの世界にもスマッシュはいるのだ。
だが、この世界にはビルドは存在しない。
もしかすると、ライトがいた世界よりも酷い状況なのかもしれない。
ライト「そういえば、2年前の事件は....? ビルデネアが襲撃されて、父さんはどうなったんだ.....?」
ライトは悲痛な曇りを帯びた顔をし、エルレイを見つめる。
エルレイ「それはビルデネア襲撃事件の事…だね」
そう言いながらエルレイは何故か微笑んだ。
エルレイ「君のお父さんは無事、どうにか助けれた。ま、ライダーシステムの研究データはその事件がきっかけで完全に抹消することになったけどね」
ライト「....そっか。それならよかった」
その言葉を聞き、ライトは安堵するように息を吐いた。
エルレイ「それで、わるいけどこっちからも質問…いい?」
ライト「あぁ、なんでも聞いてくれ」
エルレイ「どうして君は……」
prrrrrrr!!!
エルレイ「ん?ちょっとごめん」
急に大きな音が鳴り、ライトはビクッ、と体を震わせてしまった。
電話を取りに行くエルレイを呆然と見送ると、自分のポケットを漁り始めた。
ライト「......ビルドドライバーはある。ラビット.....タンク....ゴリラ.....ダイヤモンド.....」
と、ぶつぶつと呟きながら、ボトルを取り出して現在の戦力を確認したが、無くなっているフルボトルは.......ない。
エルレイ「もしもし.........システィーナ、お出かけはまだ時間があるハズ...ん? うんうん...はあ...わかった」
そんな声が聞こえたと思ったら、足早にエルレイはこの部屋に戻ってきた。
エルレイ「質問は後でする、今からここが別世界の証明してあげる、ついておいで」
ライト「あぁ、わかった」
そう言うと、ライトはビルドドライバーとフルボトルをしまい、エルレイの後について行く。
──────
ライトが連れていかれたのは近くの公園であった、ブランコや滑り台が並ぶ中、ベンチで座っている見知った人物三人。
システィーナ「あ、エルレイ先生!」
リィエル「ねえね、おはよ」
ルミア「おはようございます、エルレイ先生」
全員私服姿のシスティーナ、リィエル、ルミアと。
セラ「…」
グレン「…」
なぜか砂場の真ん中で睨みを聞かせている、グレンと、そして銀髪の緑のリボンを付けた、見知らぬ女性がいた。
ライト「..........」
エルレイの聞いた話通りならば、目の前にいるシスティーナやルミア、グレンはこの世界の住人のようだ。
だが、ライトがいる世界とは少々状況が違った。
まず、システィーナやルミアと一緒にいるリィエル。
なぜリィエルが今ここにいるのだろうか。しかも、前よりいささか雰囲気が緩和している。
(しかも、エルレイのことをねぇねって呼んでるのか....)
エルレイが未来の自分だと知っているのだろうか。
まぁ、まだそれはいい。.....問題はグレンの隣にいる人だ。
美しい銀髪にリボンを付けた、グレンと同じぐらいの年齢の女性。ライトの世界の学院にはこんな人はいなかったし、まずライト自身がこの人のことを知らない。
そこで、エルレイに聞いてみることにした。
ライト「.....なぁ、あそこの銀髪の人って誰なんだ?」
エルレイ「彼女はセラ、執行官《女帝》の、元特務分室だよ」
エルレイは小声で、ライトの問いに答えた、そうしているとシスティーナはライトに気付いたようだ、じっとライトのほうを見つめてくる。
システィーナ「‥‥エルレイ先生、この方は?」
エルレイ「話はあと、まずは喧嘩を止めないと」
エルレイはそう言いながらグレンたちのほうに目を向けた、二人ともどこか緊張した様子で、いつにもましてヤバイ、喧嘩するぞっ!というオーラが漂って来る…早く止めなくては───
グレン「だっかっらっ!!!最強はなんだかんだ言ってラッキースケベ♡的な展開だと言っておろうが!!なんっで!!エルレイの百合が最高♡見てえな言い方してんだよ!?突然のエルレイの女の子的悲鳴に心が躍らなかったお前じゃないだろう!?」
セラ「そういう時にちょっとぐっと来るのは認めるよ?!ウン認めるっ!!!!!でもレイちゃんがリィエルちゃんを抱きしめてる時にグッとくるのも事実!!グレン君だってそうでしょ?!?!」
グレン「がぁぁ!!!!!!」
ライト(なんなんだこの人達は......)
確かにグレンであることは間違い無いのだが、ライトの世界のグレンより、なんというか......変態に近づいている気がする。
謎の話題で喧嘩するグレンとセラをジト目で見ながら、ライトは脂汗を垂らしながら、システィーナの質問に答える。
ライト「...あぁ、俺はライト=シュラウザー。.....まぁ、エルレイの友人.....かな」
ルミア「‥‥友人…ですか」
何か思うところがあったのか、ルミアはじっとライトを見つめる。
エルレイ「まあ、あんまり、気にしないで、はい、いちごタルト」
リィエル「わぁい」
ルミアに渡していたはずなのになぜかリィエルが手に取とり、サクサクと食べ始める。
ルミア「…もしかして、未来の…人?」
エルレイ「だから、あんまり気にしないでってば」
エルレイはため息を付きながらなぜか、少し顔を赤くしている。
すると、また砂場からグレンとセラの叫び声が聞こえる。
セラ「ああもうっ!!めんどくさいなぁ!レイちゃん最高だぜイェェアァ!!それでイイでしょ?!」
グレン「レイちゃん最高だぜイェェアァ!!なのは一応認めるっ!認めるけどなぁ!!」
その喧嘩を聞き、またエルレイの顔がもっと朱色に染まる、どうやら、赤くなっているのはあの喧嘩が原因のようだ。
ライト「えぇと.......とりあえずうるさいのでそろそろ終わってくれません?」
そう言って、ライトは喧嘩をしている2人の間に入り込んだ。
ライト「ほら、エルレイも困ってますし」
頬を赤くしているエルレイを流し見ながら言う。
グレン「あ?誰だよお前?エルレイのこれか?」
そう言いながらグレンは親指を立てた。
ライト「.....違います」
軽くイラッとしたライトは、ゴリラフルボトルを見えないように手に持ち、逆の手でグレンの親指を掴んでグリッと曲げた。
グレン「あ゛あ゛あ゛あ゛あいでででででっ!!!」
(さ、さりげなくひどい)
エルレイは横目でゴリラフルボトルを見ながら苦笑い気味にそう思った。
ルミア「エルレイ先生の知り合いらしいですよ?」
セラ「へえ…じゃあこれなわけじゃないんだね」
セラも親指を立てた。
ライト「そういうわけないですって。本当にただの友人ですよ」
そう言いながら、ライトはようやくグレンの親指を解放した。
エルレイ「そ、友人、深い関係じゃない」
エルレイはそういいながらコホンと。咳払いをした、どうやら少し落ち着いたようだ、顔が元通りになっている。
リィエル「?深い関係じゃないの?」
リィエルはキョトンと首をかしげる。
エルレイ「そ、そもそも私、婚約者いるし」
システィーナ「あ、婚約者いたんですね、エルレイ先生・・・ってえ?」
ルミア「まあ、エルレイ先生美人ですし、そりゃあ恋人の一人や二・・・ってえ?」
セラ「そうだよね!!そもそも婚約者・・・・え?」
グレン「そうか、お前は玉の輿に乗ってたのか此畜生が・・・・え?」
ライト「……え?」
リィエル「?」
全員数秒沈黙した後‥‥。
「「「「「えええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇっっっ!!!!」」」」」
エルレイ、つまり未来のリィエル=レイフォードが婚約しているとは思わず、全員公園という公共施設で絶叫した。
(………え?そこまで驚く?)