『完結』(番外あり)ロクでなし魔術講師と帝国軍魔導騎士長エルレイ 作:エクソダス
二人の感情を意識したので、二人の気持ちの強さを少しでも感じてくれたらうれしいです!
「いいいいいいやああああああああ!!」
「っ!!」
エルレイはとミアルは誰も動こうとしないダンスの会場で…二人だけ動けるこの状態で、武器を交えていた。
一回、一回、武器がかち合うたびに空気が重々しく揺れるのが肌で感じた。
「リィエル…、貴女は他人の同意を得られないような人じゃなかったハズだよね…。私の話を、ロクサスと私の話を聞いて落ち着いて──」
「うるさいっ!!!ルミアだってそう!いつもいつも私やシスティーナの気持ちを考えずに無茶して…、少しは心配する身にもなってよっっ!!!!」
エルレイはミアルの話を聞こうとせず、光を纏った水の大剣をミアルに当てるために何度も何度も振り下ろす。
「っ!!」
ミアルはギリギリのところで躱すが、武器を使って反撃をしようとはせず、ただエルレイに当てないことだけを考えているかのように、武器だけを集中して狙っていた。
「私はっ!!…もう自分の力が弱くて助けられないのはごめんなの…私は斬ることでしかなにかを守れない…満たされない…」
エルレイはそう言いながらもう一度強く大剣を構えた。
「リィエル…」
「だから私は、みんなの手を血で汚させない…。全部私が引き受ける」
「そういうところだよ」
「……!」
ミアルは少し俯きながら答えた。
「シュウ君言ってたよね。みんなを守りたいだけって、それはリィエルも入ってるんだよ」
エルレイは少し水の大剣を持つ力を緩めた。
「シュウ君は、一番リィエルの事を思って頑張ってたよ?それを無下にしたい?」
「……それ…は」
「勿論。リィエルが快感を斬ることでしか得られなくなったのは…、愚痴をこぼしてくれたから知ってる…。でもそれを理由に二人のやることを否定するのは違うんじゃない?」
「…っ」
エルレイは唇をかんだ。
言い返せない。言い返すことができない。実際その通りなのだから、しかしエルレイは声を荒げる。
「じゃあ黙ってみてろっていうの!!2人が殺戮してるのをっ!!私達のために頑張ってくれてたシュウとロクサスが狂気に笑うのを黙ってみてればいいのっ?!」
「っ!だから、シュウ君とロクサスが望むことをやらせてあげようって言ってるのっ!!それとも二人の力を拒絶してきた人間どもに愛想振りまいて普通に笑えとでもいいたいのっ?!」
ミアルもたまらず声を荒げる。
「違うよっ!!!違う!!」
「何でそこまで二人が殺戮することが嫌なの?お願いだから教えてよ…」
「…一人の少女と会ったの」
「一人の少女?」
エルレイの言葉にミアルは耳を傾ける。
「面識は1日だけだったけど…。その子は優しくていい子で撫でると少し照れる年頃な女の子、それなのに…それなのに……っ」
「…リィエル?」
「…とにかく、私はもう皆が頑張るのは見たくない、ただそれだけだよ」
エルレイは少し言葉が詰まった後。剣を一振りした時──、浮遊していた水の塊が一つに塊大きな球体の塊になる。
「《拘束せよ》」
「…っ!」
エルレイが指示すると、その塊はミアルの体をすっぽりと包んだ。ミアルの周りには空気があるようだが、ミアルが中から攻撃してもびくともしない。
「これ以上おいたしたら…爆発するからね」
「…そういえばこの水…。爆発したっけ」
そう、この水は爆発が可能なのだ。その爆発は力の制御が可能で、場合によっては国一つ滅ぼす程の威力がある。
「じゃあそれを閉じようかな」
「…どうやって」
「こうやって」
ミアルは持っていたものを、もう一度鍵に形状変化させた。
「《
ミアルがそう言いながら鍵を水の球体にさして、カチャっと回すとその水は力を失ったようにしたに落ち、その場の地面が濡れる。
ミアルも濡れた。
「あはは…。びしょびしょ…」
「…なるほど、力を閉じたの」
エルレイはそう言いながら唇を噛んだ。
《
その能力は自在に開けたり閉じたりできる能力…。それだけではただの鍵開けと思われかねないがその能力はすべてを閉じて開けることができる。
その能力の効果範囲は幅広く、人間の記憶や力など、形のないものにまで及ぶ。魔術、魔法さえも起動することができないのだ。
「相変わらずちーと」
「それはどうも」
その言葉にミアルは微笑んだ。するとミアルは突然外を見て呟いた。
「…迎えが来たみたい」
「…迎え?」
その言葉に反応し、エルレイは窓を見てみると、そこには…。
「よっリィエル、いやこっちだとエルレイだっけか?」
羽根も何もないのに空を飛んでいるロクサスがいた。魔術で飛んでいるわけでもないようだ。
「よっ…じゃない、人の気も知らないで」
エルレイはそういうとロクサスを睨みつけた。
「きひひひっ、悪い悪い」
「ロクサス、もうやりたいことは終わった?」
「ああ、粗方な」
そう言いながらロクサスはエルレイの目の前に立った。
「そろそろ帰るぞ、ルミア」
「うん、じゃあリィエル。またね」
「…まって」
「シュウによろしく言っといてくれ、じゃあな」
「待てっ!!!!」
エルレイは叫びながら高速で刀を生成し、とんでもない速度で背を向けたロクサスに向けて。
容赦なく肩を切り落とした。
ぼと……。
ロクサスの右腕が力なく地面に転がる──
「…何考えてんだ、リィエル」
「大丈夫?ロクサス」
「ああ」
ミアルがそう尋ねるが、その声はとても剣で斬られた事を動揺しているとは思えないほど冷静な声だった。
「…治り始めたか」
そうロクサスが言うとなくなったロクサスの肩から炎が出て、どんどん腕の形を取り戻していく。
「…面倒だな《
そういうとロクサスはどこからが古式な拳銃を左手で取り出して、その後銃口を失われた肩に向け、
パンッ!!
肩に向けて銃を撃った。
すると転がっていた右腕が突然 ‘‘時間が戻ったかのように‘‘ ロクサスの肩に吸い寄せられ、元の右腕としての活動を再開する。
「リィエル、俺にそんなものが、効くわけないだろう?」
「知ってる」
エルレイはそんなこと重々承知、ロクサスは何度斬ったとしても死ぬことはない、分かりきっていることだ。
「言って聞かないのはわかった…。でも一つだけ聞かせて、なんでこんな事するの?なんで私に任せてくれないの?」
「そんなの決まってるだろ
そっちのほうが面白いからだよ」
そう言い残し、ロクサスとミアルはその場を去ってしまった。
★★★
「リィエル、お疲れ様」
「ありがとね、リィエルのおかげでかなりスムーズに事が進んだ」
「…」
社交舞踏会が終わった後、ハル、エザリーは誰もいない路地でエルレイと接触していた。
「リィエル、疲れちゃったかな?お疲れ様」
そういうといつもの事のようにハルはエルレイを抱きしめた。
それを見ていたエザリーは苦笑いする。
「シュウ君にとっては、リィエルはいつまでも自分の妹的存在なんだね」
「まあ、そうかもね」
そう言いながら二人は微笑む。いつもならばエルレイは抱きしめ返して落ち着いたように微笑むのだが…。
「…」
何故か顔色を変えていない、何か腑に落ちないように。
「どうしたの?今は誰もいないし、全部終わった後なんだからシュウ君に思いっきり甘えたら?」
そう言いながら、エザリーは少し小悪魔的に笑いながらエルレイの頭を撫でた。
「面白いものがあるって言ってたけど、結局、‘‘何も起きなかった‘‘し何がしたかったんだろうね兄様」
そう言いながらハルは微笑んだ。
まるで先程まで《
「あはは…何がしたかったかはわからないけど良かったよ、リィエルがなにもされなくて、大体あの人──」
「あ、兄様だ」
「わああああああああああぁ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!ごめんなさいっ!!」
「じょ、冗談だよ、そんなにおびえないで」
ハルはジョークで、エザリーがハルの背中にぴったりと張り付いてしまったことに苦笑いしながら、ハルはエザリーの頭を撫でた。
「ねえ、リィエル。最近マキナ様から聞いたんだけど、リィエル、経路に接続してるんだって?」
「…」
「あれは‘‘人間の魂を捧げる‘‘物だって教えたよね?そもそもどうやって接続したの」
「…シュウには関係のないこと」
そういうとエルレイはハルの傍から離れた。
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『ごめんなさいね、殺戮人形さん、あの男の魂は私の所有物なの』
「……っ!!」
どこかもわからない空間、その真っ暗な空間に無数の時計がグニャグニャと動いている。そんなところでリィエルは自分の唇をかんだ。
「シュウは……。貴女の所有物じゃない!!」
『所有物よ。聞いてないの?現シュウ・イグナイトは前世で死んで…私、デウス・エクス・マキナに‘‘魂を売った‘‘と』
「…聞いてる。でも今は私の大切な人…!」
リィエルが話しているデウス・エクス・マキナと名乗る女性は銀髪のロングで20代くらいだろうか、白いノースリーブとミニスカートを着ている。
『貴女の大切な人かどうかは関係ないわ、神の所有物であることは変わりないんだもの』
そう言いながらデウス・エクス・マキナはため息をついた。
『最も、あの子はそんなことよりも‘‘イザナミ‘‘の奴に魂を奪われたお兄さんの事が気になるみたいだけどね』
「…イザナミに、魂を奪われた?」
『あら、そのあたりは聞いてないのね』
「……」
『まあいいわ、気まぐれで教えてあげるわ、あの子のお兄さんはね……』
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「大丈夫、シュウは心配しなくてもいい、お願いだから後はわたしに任せて」
★★★
「あはははははははははっ!!!!!あははははははっ!!」
「ご機嫌ですね」
何かご機嫌なセリカを見ながらエルレイは苦笑いをした。エルレイは少し用事があり、この学院長室にきていた。
「まあな!!昨日お前たちがダンスをやっている時に私は陛下のところに野暮用でいってな、そこで面白い青髪の男と金髪の女と会った」
「…面白い男、金髪の女」
エルレイはとても嫌な予感がした。
「いや〜、ゼロースのやつを気絶させてアリスに何をいうかと思ったら
『お前の出来損ないの娘の旦那の魔王だ!』
『出来損ないだと分かってて旦那となる…変な人だねお母様』
『うるせぇ!!』
だとさ!あはははははははっ!!!そのあとお前と同じ次元のルミアだって聞いたぞあははははは!!!」
「セリカくん、はしたないですぞ」
そんなやり取りを見て、エルレイは苦笑いをした。
「なんであんな面白そうな奴のことを早く言ってくなかったんだ?」
「…一応ロクサスのことは話した」
「あそこまで面白いとはおもわなかったぞ!いやー愉快愉快あはははははははははっ!!!」
「………」
アイツラマジデイツカナカス!!
そう思ってからエルレイは、何かの封筒をポケットからてにとった。
「その話は後でゆっくり聞くとして…お二人共、お話が」
「ったく、結局イヴの奴の手のひらで踊らされてたってだけかよ」
社交舞踏会が終わった後、グレンは2組の教室でため息をついた。
「まあ、今回は特務分室全員参加してたわけだし、こうなることはわかり切ってた気がするけどね」
そういうとセラは苦笑いをした、エルレイはボーっと空を見つめている。
「……」
「エルレイどうした?浮かない顔してるが」
「イヴ、レイちゃんの事ほめてたよ?あそこまで上手く状況対応できるとは思わなかったって」
「……」
「すげえよな、イヴの奴が魔の右手だって言う奴にも『あえて光栄です』だもんな、しかもいつでも殺せるようにどこかに小型ナイフ忍ばせてたんだろ?」
二人はエルレイの事をほめたが、まだ上の空、なにかを必死に考えているようだ。
「…そうだね」
(ここが潮時。だよね、どう考えても)
「先生方!そろそろ授業はじめてください!!」
そう怒鳴るのはシスティーナだ、エルレイは少しため息をつく。
「わーったよ白猫、今日は自習だ」
「ふざけないでくださいっっ!!」
「じゃあ今日はダンス・コンペの振り返り?」
「そんなの、必要ありませんっっ!!」
「……」
エルレイはいつも道理のこの状況を少し悲しそうに見ながら、口をひらいた。
「今日は自習、ダンスの疲れもあると思うから自分のペースでするように、明日小テストするから手を抜いた自習はしないのが得策」
そう言いながらエルレイは黒板にでかでかと自習と書いた。
「あ、相変わらずエルレイ先生が言うと説得力が……」
「おい白猫ぉ!!俺もさっき自習って言ったろぉ!!なんで俺に説得力がなくてエルレイには説得力があるとおもってんだよぉ!!こいつ腐っても未来のこのちんちくりんなんだぞ!!」
そう言いながらグレンはリィエルの首根っこを掴んだ。
「?」
「誰の未来の姿だったとしても、セラ先生とグレン先生よりはよっぽど信頼できます」
「「「「まじそれな~~」」」」
「「辛辣ぅ!!」」
そんなことをしているグレンたちを微笑みながら、エルレイはぱんぱんと手を叩いた。
「みんなも、自習でいいね?」
「「「「はっ!!!エルレイねえね!!!」」」」」
「……黙れ」
そう言いながらエルレイは少し顔が赤くなる。まだ慣れないねえねという呼ばれ方、リィエルから呼ばれるのは慣れたが、全員から呼ばれるのは本当になれない。
「あ、エルレイねえね、今日自習なら魔術で教えてほしいことがあるんですけど」
「ずるいよシスティ!私だってエルレイねえねに教えてほしいことあるのに…」
「ねえね、いちごタルト頂戴?」
「ドサクサに紛れてシスティーナも、ルミアも、ねえね呼びしない」
エルレイの顔がもっと赤くなる。エルレイはそれでも少し微笑んだ、ここは心地良い、いつまでも講師として皆に教えていきたい……
でも。
「では、みんな自習開始の前に業務連絡
‘‘
「ん。ねえねいなくなっても頑張──」
「大丈夫ですよっ私はエルレイ先生に色々な感情を教えてもらいましたか──」
「そうなんですね!また会う時には立派なエルレイ先生みたいな魔術師になってて御覧に入れま──」
「おい、てめぇがいなくなったら仕事増えるだろう!!!──が」
「来週には講師やめちゃうんだねっ、りょうか──え?」
「「「「「えええええええええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇえ」」」」」
突然すぎるエルレイの爆弾発言に、誰もすぐに反応できずかなりの沈黙があった。
「ど、どういうことですかっ!いきなりやめるなんて!」
「そ、そうですよ、考え直してくださいっ」
「ねえねがいなくなったら………悲しい」
システィーナとルミア、リィエルが必死に止めてくれる、正直嬉しい限りだ。
「私は、この世界に守りたい人がいることがわかった、だから」
「貴方達が邪魔になった」